願いごとがかなったときに、お寺や神社にお礼参りに行く人も少なくない。海外では、お礼参りで、とんでもないものを神様にささげた人がいる。

 インド・タミールナドゥ州の寺院で、願いがかなったとして、60歳の男性が焼身自殺したと海外ニュースサイト『India Today』が7月10日までに報じた。

 記事によると、同州では4月6日に州議会議員選挙が実施されたという。同州在住の60歳の男性は地域政党のドラーヴィダ進歩党の勝利を望んでいた。男性は定年退職済みだが、前職は役所勤めの公務員だったそうだ。男性は寺院を訪れ、「選挙で党を勝たせてほしい」と願掛けをしていた。5月2日に結果が開示され、男性の願いが通じたのか、トラビダ進歩党が過半数の議席を獲得。10年ぶりに政権交代となった。

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 同党の勝利を受けて男性は7月9日早朝、お礼参りのため、同寺院を訪問。男性は寺院の建物の前で、自らに火をつけ焼身自殺をしたそうだ。警察が呼ばれ、男性の遺書とみられるメモが寺院内で発見された。そこには、「トラビダ進歩党の勝利を祈願した。かなったので命をささげる」とつづられていた。さらに男性は「この日は吉日だから命を絶つ」と、知り合いとみられる男性にも話していたという。

 本件は捜査中の案件だが、警察は男性の遺書などから、神様に自分の命をささげた自殺行為で事件性はないとみているという。

 インドでは、人間を神様へのいけにえとしてささげる人身御供は、法律で禁止されている。しかし、そうした事件は度々発生しているようだ。直近では2020年5月26日、70歳の僧侶の男性がコロナ禍の収束を願い、神様にささげるいけにえとして、寺院内で52歳男性の首を切り落とし逮捕されている。同年5月28日付『Hindustan Times』などが報じている。

 インドは多民族国家で、言語も宗教もさまざまだ。日本の外務省2011年インド国勢調査によると多数派はヒンドゥー教徒で、インド全人口の約80%を占めたとしている。ヒンドゥー教は、多神教で多くの神様がいる。そのなかでも、血と殺りくを好む戦いの女神カーリーが有名だ。カーリー神をまつる寺院では、いけにえとして生きたヤギを殺し、その命をささげる儀式が行われているという。自殺した男性がカーリー神を信仰していたかは不明だが、「命」を神様にささげる祈祷の方法が広く認知されており、本事件の男性にも影響を与えたのかもしれない。

 このニュースが世界に広がると、ネット上では、「命をむだにしただけ。選挙の勝利は神様のおかげではない」「たかが選挙。命をかけるものではない。信じられない」「焼身自殺した理由は、他にあったのでは?」「現代の神様は、『命』よりも『お金』が欲しいと思っている」「いつの時代の話?」「誰か止めてくれる人はいなかったのか?」「きっと信仰心の強い人だったのだろう」「宗教は、時として有害」など、様々な声が上がった。

 何事もできることをやり尽くしたら、最後は神頼みだ。うまくいけば、近くのお寺や神社にお礼参りに行くだけでも、感謝の気持ちは神様に伝わるはずだ。命までささげる必要はないだろう。

記事内の引用について
Man 'sacrifices his life' after wish for DMK win in Tamil Nadu came true(India Today)より
https://www.indiatoday.in/india/story/man-sacrifices-his-life-after-wish-for-dmk-win-in-tamil-nadu-came-true-1826247-2021-07-10
Odisha priest beheads man following dreams that it would end Covid-19Odisha priest beheads man following dreams that it would end Covid-19(Hindustan Times)より
https://www.hindustantimes.com/india-news/odisha-priest-beheads-man-following-dreams-that-it-would-end-covid-19/story-JmIYE7hIvTKN1jgWoZL7bP.html
外務省 インド基礎データ
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/india/data.html

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