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(写真:時事通信

7月23日、数々のトラブルに見舞われながらも予定通り東京五輪の開会式が行われた。楽曲制作に携わっていた小山田圭吾氏(52)が辞任し、ショーディレクターを務めていた小林賢太郎氏(48)が解任されるという“直前の大波乱”は世間の不安を掻き立てた。

過去に音楽雑誌で“いじめ自慢”をしていたことが問題視され、批判の声が相次いだ小山田氏。いっぽう小林氏はラーメンズ時代に「ユダヤ人大量虐殺ごっこ」と発言したコントがインターネット上で拡散し、批判が集まったのだ。大会組織委員会は両者が五輪から退くことで幕引きを図ったが、ネット上やテレビ番組などでは今も議論が続いている。なかでも、小山田氏と小林氏が「不適切な言動をとったことを反省し、現在に至るまでアップデートしてきたかどうか」を問う声が広がっている。

■“いじめている自覚”がなかった小山田

問題視された小山田氏の“いじめ自慢”は、『ロッキン・オン・ジャパン』(94年1月号)と『クイックジャパン』(95年8月発行)に掲載されたインタビューが発端となった。当時24、5歳だったにもかかわらず、障がいを持つ同級生らへの凄惨ないじめを“武勇伝”のように語っていた小山田氏。

「いじめ紀行」と題した『クイックジャパン』のインタビューでは、いじめの被害者に会いに行く“対談企画”も行われたが実現には至らなかったという。そのことについて「もし対談できてたら、何話してますか?」と問われた小山田氏は、《別に、話す事ないッスけどねぇ(笑)》と返答。最終ページには、障がい者の同級生から届い
年賀状までもが掲載されていた。

小山田さんはインタビュー内で、《僕って、いじめてる方なのかなあ?》と自覚がないようでした。もし過去の行いを反省しているのならばインタビューに応じないでしょう。

小山田さんの“いじめ自慢”はインタビューが掲載された当時だけでなく、その後も繰り返し問題視されていました。ですが彼は騒動が沈静化するのを待つかのように、受け流してきたのです」(音楽関係者)

小山田氏の“反省”に疑問を呈する著名人も。カズレーザー(37)は18日放送の「サンデージャポン」(TBS系)で「調べたら昔のいじめ、結構、酷いいじめのことはよく出てくる」とリサーチしたことを明かしていた。そのいっぽうで、「『いじめを悔いてるので、今はそういった行動を反省して今はこんな活動をしてます。償いのためにこんな活動をしています』という情報はあんまり見つからなかった」とも指摘していた。

■アップデートを重ねてきた小林氏

では、小林氏はどうだろうか。アメリカのユダヤ人人権団体「サイモンウィーゼンタール・センター」から、「どんな人にもナチスの大量虐殺をあざ笑う権利はない。
この人物が東京五輪に関わることは600万人のユダヤ人の記憶を侮辱している」と強く抗議されたように、不適切な発言だったことは紛れもない事実。

ただ小林氏は解任された際のコメントで、当時を振り返り、《思うように人を笑わせられない時期に、浅はかに人の気を惹こうとしました。良くないことと思い、人を傷つけない笑いを目指すようになっていきました》と記している。

そしてネット上では、次のように小林氏の“アップデート”を評価する声が少なからず上がっているのも事実だ。

小林賢太郎のあのコントについては当時でも少数ながら批判もあったし、彼自身もそれを受けて真摯に笑いを追求した結果「誰も傷付けない笑い」にシフトして今に至るまで作り続けてきたんだよ 間違ってたと思ったから、ちゃんとアップデートしてきたんだよ 一切の間違いを許さないのは違うと思う》

小林氏はソロプロジェクト「POTSUNEN」を05年に始動させ、海外でも舞台公演を行うなどコントの枠を超えた表現活動に挑戦してきた。15年1月に配信された『英国ニュースダイジェスト』のインタビューでは、《僕のショーを楽しむのに予備知識は要りません。国籍も性別も年齢も関係ないので、面白そうだなと思ったら、ぜひ劇場に足をお運びください》と呼びかけていた。

ラーメンズとしてデビューした当時は、笑いを取ることで必死だったといいます。ですが『見えないところで誰かを傷つけているかもしれない』と気づき、“面白ければ何でもアリ”といった考えから脱却していったそうです。また表現活動を通じて、社会貢献をしていることでも知られています。17年1月以降、ラーメンズの映像ソフト化されている全17公演をYouTubeで配信。動画の広告収入を、災害復興支援のため寄付し続けているのです」(テレビ局関係者)

東京五輪の開会式ではパントマイムのパフォーマーが全50競技を表すピクトグラムを再現し、世界中から賞賛が相次いだ。

「南大介さん、『がーまるちょば』のHIRO-PONさん、パフォーマーコンビ『GABEZ』といった、小林さんと所縁のあるメンバーによるパフォーマンスでした。開会式での小林さんの役割は“全体を一貫性のあるものにする調整役”とのことでしたが、ピクトグラムの再現は、かつて小林さんが手や指で人の動きを表現した“ハンドマイム”を想起させるものでした。“国籍も性別も年齢も関係なく楽しんでほしい”といった小林氏のポリシーが、随所に込められていたのではないでしょうか」(舞台関係者)

過ちをいかに悔い改め、現在に至るまでアップデートできるか。その軌跡の有無によって、人間性が左右するのだろうーー。