米国にいま、“不良チワワ”たちに悩まされている街があるという。アリゾナ州フェニックスのメアリーベールでは、昨年から街中をうろついているチワワの群れを巡る住民の苦情が急増。地元動物管理局が対策に乗り出しているものの、なかなか成果を出せずに手を焼いているそうだ。

米放送局ABCやFOX系列KSAZ-TVなどによると、メアリーベール地区の住民たちを悩ませているのは、全部で10匹前後と見られる“野良チワワ”の群れ。彼らはどことなく排泄をするため、街の衛生環境悪化を懸念する声が上がっているほか、時にチワワではない“大きな仲間”の犬をも巻き込んで街中を闊歩し、子どもたちを追いかけ回して襲う事例も起こしているという。地元動物管理局の話では、昨年1年間にメアリーベールの住民から受けた動物に対する苦情の数は約6,000件。この数は、周辺地域に比べて3倍近くも多いそうだ。

不安と不満を抱え、チワワの群れを見つけたら動物管理局へ捕獲依頼をする人もいるという住民たち。しかし、動きがすばしっこいチワワの群れを捕まえるのは容易ではなく、動物管理局職員が連絡を受けて向かうと、チワワがすでに違う場所へ移動していたり、フェンスの下に滑り込んで隠れたりなどするため、思うようにいかず苦労しているそうだ。当局では、こうした状況が続くとチワワ同士で繁殖が進み、さらに住民たちへの問題が大きくなりかねないと危機感を強めている。

そこで、広く住民たちにも協力を呼び掛けるなど、チワワの群れへの対策を強化する意向を示す動物管理局。例えば、野良チワワの捕獲を依頼しようという住民には、「庭へ誘い込む」などして逃げ場を失くした上で連絡をもらえれば、捕獲成功率にも「大きな差が生まれる」とアドバイスを送っている。また、住民が飼育している犬へ彼らの影響が及ばぬよう、今年の夏にも職員がメアリーベール地区を訪問し、無料での去勢や卵巣除去手術を実施する計画を進めているそうだ。

すっかり人間と敵対関係が出来上がってしまった様子の、メアリーベールに住み着く“不良チワワ”たち。しかし、彼らのような存在を生んでしまったのは少なからず人間にも原因がありそうで、何とも複雑な気持ちにさせられる問題と言えそうだ。

ひとまずは、住民たちの平穏を取り戻すためにも動物管理局が速やかな対策を行い、願わくはその後、彼らも優しい飼い主の元で幸せな生活が送れるようになって欲しいところだ。