オウムの仲間、キバタンは賢く愛らしいのでペットとして人気だが、生息地であるオーストラリアの一部地域では数が増えすぎ問題となっている。
そんなオーストラリアのキバタンの間で、人間のゴミ箱の蓋を開け、中の残飯を食べ漁る行為が流行中だという。蓋の上に重しが置かれていても、器用にひょいとどかしてしまう。
最初はゴミ箱の蓋を開けられる個体数は限られていたのだが、最近の調査ではほとんどの場所でキバタンがゴミ箱を開ける姿が目撃されている。
なぜこれほどまでにゴミ箱攻略法が拡散していったのか?キバタンは、先に攻略した仲間の開け方を観察し、真似して覚え、次から次へと広がっていったのだ。
頭からピンと生えた黄色い冠羽が特徴的なキバタンは、オーストラリアに生息する大型のオウムの仲間で、一般的な体長は50cm、体重は800gくらい。非常に高い知能を持っており、更に生まれつき好奇心旺盛な生き物である。
ドイツ・マックス・プランク動物行動研究所のバーバラ・クランプ氏らは、シドニー郊外でゴミ箱のフタを開けるキバタンについての情報を収集。
住人から集められた1400件近い報告を分析したところ、2018年には3か所でしか目撃されていなかったキバタンのゴミ箱漁りが、2019年には41か所にまで広まっていることが明らかになったという。
Watch Cockatoos Open Trash Bins
仲間の行動を見て覚え、真似して習得する文化的適応
クランプ氏らの考えでは、短期間の間にここまでゴミ箱漁りが広まった原因は、キバタンに仲間の行動を観察して学習し、真似をすることで技能を身につける習性があるからだ。実際、シドニーの住民が目撃した9割の事例では、フタを開けるキバタンのそばにはほかのキバタンがいたそうだ。そうした状況は仲間から学習する絶好のチャンスである。
こうした仲間からの学習を通じて変化した行動は、都会の環境に対する「文化的適応」が起きている印だと考えられるという。
Cockatoo's getting into our bins
キバタンの文化的多様性
面白いことに、シドニーで暮らすキバタンの文化は一様ではなく、地域ごとにサブカルチャーまであるそうだ。たとえば、シドニー北部のキバタンはフタにつかまりながら、右側を歩き回る傾向がある。一方、街の中心のキバタンは、頭にフタを乗せて跳ね上げる。
こうした文化の多様性は、おそらくはその技を最初に学んだ相手のやり方の影響を受けることが原因であるという。
文化というと人間だけの話であるように思うかもしれないが、そんなことはない。1950年代に科学界に登場したとされる「人間以外の種も文化的に多様性があるかもしれない」という説が改めて裏付けられる結果となったようだ。
キバタンのゴミ漁りがなぜこれだけ拡散してしまったのか?その行動パターンは仲間を通じて社会的な学習をするとされる動物のものと一致している為、仲間の行動から学習しているという推測が成り立つが、非常に知能が高く好奇心旺盛な生き物なので、もしかしたら他にも理由があるかもしれないとのこと。今後も調査が進められていくそうだ。
上にレンガで重しをしてもそれをひょいとどかしてゴミ箱の蓋を開けてしまう
Cockatoo raiding bin
References:Clever cockatoos learn through social interaction | EurekAlert! Science News / written by hiroching / edited by parumo
動物・鳥類の記事をもっと見る
キンッキンに冷えてやがるぜ!キツネザルたちのアイスキャンディーパーティー - カラパイア
ひとり遊びにも飽きちゃった猫「お留守番はさびしいニャン!」と飼い主の帰宅を心待ちにする - カラパイア
コメント