近年、動物の権利を守る動きが活発になってきている。同じ生きとし生けるものとして、動物の福祉を重視し、尊厳のある生き方をさせてあげようというのがその狙いだ。
既にヨーロッパでは20か国ほどが、サーカスで生きた動物を使用するのを制限もしくは禁止にしているが、水族館やテーマパークで野生生物を飼育し繁殖させることにも反発の声があがっている。
そういった動きの中、アメリカ、カリフォルニア州にある企業は、アニマトロニクスで本物そっくりのイルカを開発。いつの日か、水族館には本物の生き物に代わって、全てが本物そっくりのアニマトロニクスとなる時代がくるのかもしれない。『The Brighter Side Of News』などが伝えている。
This robot dolphin could replace captive animals at theme parks
映画やテーマパークに登場する動物たちは、このアニマトロニクス技術を駆使したものもあり、例えばハリウッド映画の『フリー・ウィリー』や『ディープ・ブルー』などでも、水中生物はアニマトロニクスが使用されている。
近年、動物の権利が大きく注目されるようになったことから、アメリカのカリフォルニア州に拠点を置く環境保護団体『Edge Dolphin Spirit』がアニマトロニクスのイルカを使ったプロジェクトを去年から実施している。
医療用シリコンで作られた皮膚を持つ体重250キログラム、体長2.6メートルの“デル(Delle)”と名付けられたイルカは、本物のイルカと同じように泳いだりジャンプしたりすることができる。The robot dolphin that could replace captive animals at theme parks one day https://t.co/YcmJrs2Ari pic.twitter.com/tcRHC3DAt8
— Reuters (@Reuters) October 14, 2020
デルは、『フリー・ウィリー』や『ディープ・ブルー』、『アナコンダ』に登場する水中生物の作成を手掛けたアニマトロニクスと特殊効果部門を持つエンジニアリング会社Edge Innovationsにより、多額の予算をかけて作成された。
目的は、環境保護およびこうしたロボットの海洋生物と個人的な交流を持つことで、新たな種の教育およびエンターテインメント体験を生み出していくことだ。
将来の水族館には本物と代替でアニマトロクスのイルカが登場か
デルのようなロボット・イルカは、将来の潜在的な水中生物として今後の活躍が期待されている。現在、実施されているのはPETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)主催のカリキュラム『TeachKind』と提携して、学校向けの教育プログラムだ。
デルと子供たちが交流することで、野生生物を飼育下に置かない理由などを学んでもらうという。
デルをフィーチャーした最初のアトラクションは、来年の夏にオープン予定だそうだ。
このリアルなイルカが、この先世界各地のテーマパークや水族館で本物のイルカに代わる可能性は高いということで、もしかしたら日本の水族館にも、デルのようなアニマトロニクスのイルカやシャチが泳いでいるという日がやってくるかもしれない。
written by Scarlet / edited by parumo
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