いきなり「記録更新」となりました。

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 7月27日、東京は1日当たり感染者2846人、過去最高であった2021年1月7日、真冬のピーク2520人を300人以上も超える大変残念な「1位更新」となってしまいました。

 しかし、このレコードは長く続かないでしょう。

 というのもいまピークに向かって急坂を駆け上っている最中だからで、早ければ、この記事がリリースされる7月28日、記録が更新される可能性があると考えられます。

 実は本稿の予定稿は以下のような書き出しで準備していました。

 7月25日東京都は日曜日の新型コロナウイルス感染者数として「過去最多」の1763人を記録しました。五輪期間中のレコード、オリンピック記録です・・・。

 それどころではなくなってしまいました。

 前の週の日、月、火曜日が各々1008人、727人、1180人、感染は「比」で伝播します。

 単純に日曜日の増加率約1.7を掛けてやれば月曜は1271人、火曜は2063人と、週前半の感染者増加数推移がおおよそ見当がつきます。

 本来なら感染が穏やかなこの時期に2000人を超える「新記録」が出る可能性、小中学生でも予測ができる数字でした。

 果たして、蓋を開けてみると月曜日の感染者は・・・1429人。

 小中学生方式の単純な比(線形外挿)で考えた1271人よよりはるかに多い1.96倍の感染者数を記録しました。

 そして火曜日の感染者が・・・2848人、あっさりと記録を更新、ほとんど3000人に手の届く数字です。

 倍々ゲームというか、高等学校で習う指数増加に近いことが分かります。正味で「五輪第5波」と呼ぶべき急激なピークが形成されつつある。

 これを日本全国のデータでみると、さらに状態が悪そうです。

 今回の五輪第5波、現時点までのピークは「開会式」直前の7月22日に5395人を記録しています。

 ところが、7月25日は日曜日だというのに5020人、前の日曜日7月18日3103人ですから、日本全体でも1.6倍という急激な感染増加の真っ最中にある。

 7月19日の全国感染者数が2328人ですから、やはり等比的に考えれば3766人程度の感染が予測されましたが、蓋を開けてみれば4692人。

 前の週の2倍超え、東京より日本全国の方が、限られたスポット比較ですが、感染者増加比に加速が掛かっていました。

 蓋を開けてみると、火曜日の全国感染者数7401人。やはり1週間前の3755人の1.97倍。万のオーダーに乗るのも時間の問題と思われます。

 本来なら、とてもではないですが五輪何のという情勢ではありません。さてしかし、この感染はどこまで、どれくらい伸びるのでしょう?

 それを考えるうえでは「ワクチン接種率」を検討するのが一番の早道です。

 一度でもワクチンを打っていれば、新型コロナへの罹患率は著しく下げることができる。その観点から、もう一つ浮かび上がってきたのが「オリンピック・アスリートのワクチン未接種」問題です。

ワクチン未接種の五輪選手問題

 今回の新型コロナウイルス感染症ワクチン、特に成功しているmRNAワクチンについては、重篤な副作用は非常に少数しか報告されていません。

 接種直後に死亡した例は、7月7日現在で453ケース。その中で「明らかにワクチン接種と因果性がある」と認められたのは1件だけ。

 451件は「関係があるともないとも言えない」。要するにわけが分からないということになっています。

 それはそうでしょう。「ワクチン接種が原因」と認定されれば、予防接種法に基づいて国が賠償せねばなりません。

 数千万円に上る賠償金です。おいそれとは認可できないという役所的な事情も分からないわけではありません。

 しかし、逆に言うと、それまで全く健康でぴんぴんしていた人が、特に病気でもないのに「予防のため」にワクチンを打ったら、次の日に亡くなった・・・。

 医者は「自然死」だという。統計的にも特に死亡率は上がってみえないなどと正当化して見せる。その実、保証金など一切支払われない・・・そういう状況にあるわけです。

 この状況は「最後のひと藁」問題として国際的にも論じられており、稿を改めて取り上げる予定です。

 基礎体力の落ちている高齢者などは、ワクチン接種が引き金を引いて「自然死」してしまい、何の保証もされない制度状況にあることは、注意しておいてよい点です。

「そんなことありませんよ、ワクチンは十分安全です。それは打てば、最初はインフルエンザに罹ったような状況になります。注射をしたところは腫れますし、脇の下が腫れたり腕が上げにくい状況がしばらく続いたりするけれど、その程度・・・」

 確かに「その程度」と多くの人は思うでしょう。しかし「左手が上がらなくなる状況が数日続く」といった状況を徹底して忌避したいと思う人も世の中には存在している。

 オリンピック・アスリートは、その少数の例外に相当します。

 競技によって千差万別ですが、100分の1秒といったタイムの差を競って、全世界で「その専門」の選手たちがしのぎを削っている。

 そうした中で、五輪選手の座を競っている最中のアスリート、あるいは、オリンピック出場を射止め、本番に向けてあらゆる体調をベストに整えようとしている選手たちが、わざわざ「まずもって必ず、数日インフルエンザ同様の症状が出、数日は片手が上げられなくなる」ワクチン接種をしてくるか・・・? 

 実際、ワクチンを打ちたくないというアスリートの声は報じられており、それを「懸命に説得する」各国五輪委員会という、もう一つの構図が浮かび上がってきます。

未接種者すべてが「感染の伸びしろ」

 米国のオリパラ委員会の医療責任者は7月23日、米国代表選手613人のうち、約100人がワクチン未接種であることを明らかにしました。

 IOC東京オリンピックに参加しているアスリートの「約85%がワクチン接種済」と「推定」していますが、大会関係者、その他を含めた母集団で、いったいどのような数字になるのかは、率直に言って全く分かりません。

「『ほぼ』全員が一度は接種している『と確信している』」など、およそ歯切れのいい話にはなっていない。

 選手総数約1万1000人強、来日関係者数5.3万人を念頭に置くと85%の既接種でも15%は未接種。

 つまり、選手だけでも1700人、関係者を含めれば約8000人の「未接種者」が、わざわざ、感染拡大のるつぼ状況にある「夏風邪ピーク期」の東京そして日本に終結してきている。

 大会開始わずか3日ですでに132人の感染者は1.7%ほど。すでに上昇している「バブル内」の感染率を考え、未接種者の数を念頭におけば、急増しても何の不思議もない。

 同じことが日本人全体にも言えます。

 政府は7月19日現在の、ワクチン接種済ならびに未接種の人口割合を、年齢と地域にわけて発表(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000809571.pdf)しました。

 本質的に重要な部分だけ抜き出せば

◎日本全国に未接種の人は「8600万人強」存在する

◎そのうち、65歳未満の「若中年層に限定すれば7900万人強」

 つまり、東京五輪で約8000人の未接種関係者がいるのに対して、日本全国では8000万人、1万倍の規模で「感染オリンピック」の記録が出されようとしていることになる。

 いまや入院者、重症者の6~7割は「20~30代」と「40~50代」が占めるようになり、ワクチン接種率の上がった65歳以上は横ばいの状態は見せていますが決して患者数は増えていない。

 これに対して、正確な統計は知りようもありませんが、五輪関係者は一般的に「高齢者」ではなく「若年層」「中年層」つまり、いまのデルタ系変異株が感染者数を伸ばしている最中の「新患層」と重なっている可能性が高い。

 要するに、五輪関係者も、日本人全体も、これから2週間ほどの間、相当規模の感染拡大が正味で懸念されることになります。

 ちなみに、2020年から21年にかけての冬の「第3波」、春から連休にかけての「第4波」では各々30万人規模の患者数拡大と6000人規模の死者が出ました。

 物理屋の好きな「フェルミ算」で、1億2000万人あるいは8000万人の未接種者に対して30万人の感染と6000人の死者を先ほどの「小中学生方式」つまり「線形」で考えれば、母数の0.25%とか0.375%が感染し、そのうち2%程度の致死率となるので、早い話、2万人に1人が亡くなる計算です。

 そう考えると、いやな計算になりますが「東京オリンピックで来日し、五輪で感染したことで命を落とす人」が2.5人程度いても、こんな荒っぽい計算ですら不思議でないことが分かります

 こういう「線形外挿」は、実は「下限評価」などに用いるのに便利です。先ほども「最低これくらいの感染増」と見込んでいたら、よほどそれより多かった。

東京オリンピックのために来日して、コロナに感染し、それで命を落とす人」の「下限」が2~3人程度いる・・・というあまり考えたくない話ですが、子供でも分かる計算でリスクを評価してみました。

 はっきりと一段ギアを上げた予防対策にシフトしないと、前回までと桁の違う被害を食い止めるのは困難でしょう。有効性に根拠を持った施策が必須です。

[もっと知りたい!続けてお読みください →]  オリンピックで次々コロナ感染するアスリート

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