東証一部上場の大手住宅メーカータマホーム(本社・東京都港区)の玉木伸弥社長(42)が、社内向けに配信するビデオレター新型コロナに関して不正確な情報を発信していることが「週刊文春」の取材で分かった。

 先週号の「週刊文春」では、玉木氏が「ワクチンを打ったら5年で死ぬ」などと発言、ワクチンを打った社員には無期限の自宅待機が命じられ、その間は社用パソコンへのログインなども禁じられて仕事ができなくなる、事実上の“ワクチン禁止令”が出されていると報じた。

 当該記事についてタマホーム7月22日付けで「事実と異なる内容が含まれており(略)誤った印象を与える」とするリリースを公表。だがその後も、複数の同社社員から情報提供が相次いだ。そのうちの一人、社員のA氏より、「ネット上の真偽不明な説に飛びついてはコロナについて不可解なアドバイスを連発する社長の実態を伝えたい」と、社内動画「タマちゃんTV」が提供された。

 例えば昨年2月の動画では、玉木氏はこう語っている。

〈ある学者さんから聞いた話ですが、新型コロナウイルスマイコプラズマの菌に、エボラとHIV、いわゆるエイズですね、エイズの菌を混ぜて作ったウイルスだと言われております〉

 また昨年4月の動画では、こう語っている。

〈「コロナになったら死ぬんじゃないか」とかですね、不安になっていると思います。そういう時どうすればいいか。秘密の言葉を、こっそりと教えたいと思います。それは「大丈夫大丈夫」ということです。「大丈夫大丈夫」。心の中とか、自分に向かって、家族に向かって、『大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫』と言うと、本当に大丈夫になってきます〉

 他にも、「人づくり部」(人事部署)が昨年、社内メールで社員に対してこう呼びかけている。

コロナは耐熱性に乏しく、26―27度の温度で殺傷」

コロナウィルスは非常に熱に弱いことがわかりました。耐熱性に乏しく、26―27度の温度で殺傷します。(略)外出時も暖かいお茶などをポットで持ち歩いて飲んで下さい。※ポットを持って出かけられない時は、出先で熱いお湯や白湯を調達して頻繁に飲むようにしてください〉

「そんなわけないだろ~と脱力しました。玉木社長はこうした説を突然言い出すのが常ですが、それに意見したり諫める社員は子会社に異動させるなど“排除”される、ともっぱらの評判です。実際に異動した社員がいるので、理由は不明でも、みんな疑心暗鬼になる。その結果、幹部はイエスマンばかりになり、社長の思い付きが誰にも止められることなく下におりてきます」(社員のB氏)

 こうした情報について、医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が指摘する。

新型コロナウイルスは、SARSなどと同様、エイズウイルスたんぱく質の配列と似ている点はあるが、構造上、エボラウイルスマイコプラズマとはまったく無縁です。また『大丈夫大丈夫』と気持ちを前向きにすること自体は悪いことではありませんが、過度に楽観的に考えてしまうことで、悪化の兆候を見逃したり、他人に感染させてしまう行動につながる危険性もある。ウイルスが熱に弱いことは事実で、80度の熱水に1分間さらすことでウイルスを死滅させることができます。しかし、26~27度では意味がありません。この温度で殺傷できるなら、人の細胞に入った途端に体温で死滅することになります。

 社長の発言は、全体的に科学的根拠に乏しく、鵜呑みにしては危うい事態につながりかねない情報が含まれています。優越的な立場にある社長が、自社社員に対してこうした発信を断定的に行うのは軽率で危険です」

 タマホームに「タマちゃんTV」の内容などについて尋ねたが回答はなかった。

 7月28日(水)16時配信の「週刊文春 電子版」および29日(木)発売の「週刊文春」では、本社の役職者がワクチン接種後は「出社できない」と社員に説明している音声、タマホーム社内で飲み会や国内旅行が推奨されている実態、玉木社長に過剰な敬語を使う社内資料の存在などを報じている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年8月5日号)

社内動画「タマちゃんTV」で「大丈夫、大丈夫」と繰り返す玉木氏