“骨形成不全症”という骨がもろく簡単に折れてしまう疾患を持って生まれた8歳の少女が、このほどアメリカのジュニアオリンピック選手権に登場し、アーティスティックスイミング(シンクロナイズドスイミング)でソロ演技を披露した。これまでに40回以上も骨折し陸上での活動には制限がある中で過ごしてきた少女が、水中で輝く姿に多くの人が心を打たれていると『Upworthy』などが伝えた。

骨の構成成分の1つであるコラーゲンの遺伝的な変化が原因で発生する“骨形成不全症”は約2~3万人に1人の発症率で、日本では難病に指定されている。全身の骨が生まれつきもろく、すぐに骨折しやすいという特徴がある。

アメリカ在住のナタリエ・ニューマンちゃん(Natalie Newman、8)はそんな難病を抱えて生まれてきた。これまでのたった8年間の人生で、すでに40回以上の骨折を経験しているという。単純計算で1年間に5回も骨折していることになり、その苦労がうかがえる。

わずかな衝撃でも骨折してしまうため陸上での活動は大幅に制限され、移動時には車イスを使用することもあるナタリエちゃん。そんな彼女は、骨折の不安にとらわれることなく自由に動き回ることができる環境を見つけた。それは水の中だった。

水中では浮力が働き、近くに人や物がなければどんなに動き回っても骨折することはない。ナタリエちゃんにとって水中は自分の骨の弱さなど忘れ、自らを強く自由な存在であると再認識させてくれる場所だった。

さらに地上では活動制限があるため筋力も落ちやすくなるが、それを補うことができるプールでの運動はナタリエちゃんに最適だった。しかもプールでの運動を続けることで、筋肉をつけることだけではなく自身の持つ粘り強さも磨いていった。

そして忍耐強くトレーニングを続けたナタリエちゃんは、先月26日から今月3日にかけてアメリカで開催されたジュニアオリンピック選手権AWD(障害を持つアスリート)部門における「アーティスティックスイミング(国際水泳連盟が2018年4月1日より“シンクロナイズドスイミング”から呼び方を変更)」への出場権を掴み取った。

ジュニアオリンピック選手権はアメリカのアーティスティックスイミング協会が毎年開催する最大規模の大会で、地方大会で予選を通過した約1000人が集まる大会だ。

ナタリエちゃんはソロで出場し、ディズニー映画モアナと伝説の海』の挿入歌“どこまでも ~How Far I’ll Go~”の楽曲に乗せて演技を披露した。

ナタリエちゃんの演技を撮影した映像には、演技開始直前にプールサイドでポーズを決めて待機するナタリエちゃんが映る。そして音楽が始まると演技を開始し、プールへ飛び込んだ。

音楽に合わせて大きく腕や脚を動かし自由に泳ぐナタリエちゃんの演技を見て、会場は大きな歓声に包まれる。地上では見ることのできない、輝かしいナタリエちゃんの姿がそこにあった。

この映像を見た人からは、「本当に強い子だね。涙が出ちゃう」「思わず息を呑む演技だね」「ナタリエちゃんの姿に刺激をもらえたよ」「選曲も完璧だ」とコメントが多数届いており、多くの人が心を打たれたようだ。

今大会で見事金メダルを獲得したナタリエちゃんの父親であるジョーニューマンさん(Joe Newman)は「ナタリエは陸上では夢にも思わなかったことを、水の中ではできるのです。ナタリエの心は折れていません」と娘の雄姿を誇った。

また、ナタリエちゃんの介護者であるティーナ・ボールズさん(Teena Bowles)は「ナタリエは本当に素晴らしいです。いつかアーティスティックスイミングがパラリンピックの種目に登録されるその日まで、私は彼女と一緒に頑張ります!」とコメントしている。

画像は『USA Artistic Swimming 2021年7月6日付Instagram「If you need a little inspiration to start your week」』『USA Artistic Swimming 2021年6月28日付Facebook「No shortage of smiles at our Junior Olympic Championship」』『Teena Bowles 2021年7月6日付Facebook「Thank you all! She is amazing.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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