いよいよ開幕した東京オリンピックコロナウイルス感染者数の急増や、辞任・解任が相次いでいる運営のあり方にうんざりしている人も少なくないだろう。それは日本人だけでなく、テレビネットを通じて観戦する外国人も同じだ。

コロナ大拡散イベント?

 まずはアメリカの主要メディアから見てみよう。

東京オリンピックCovid-19コロナウイルスの大拡散イベントとなるか?」(Forbes)

東京オリンピック:Covidの金メダル獲得なるか?」(CNN-News18)

「東京の混乱:米体操選手、アスリートたちが選手村でCOVID-19の検査で陽性」(USA TODAY)

1964年大会は新たな日本を宣言した。今回は応援するべきものが少ない」(The New York Times)


 いずれも、開催前から散々指摘されていたコロナウイルスの感染状況を、辛辣に伝えていることがよくわかる。

「始まってみれば、お祭りモードになる」という希望的観測は、あくまで願望でしかなく、滞っているワクチン接種などの状況を考えれば、こうなることは当たり前だ。

「忖度」の通用しない海外メディアは、皮肉こそたっぷり効いているものの、オブラートには包んでくれなかったようだ。

◆開会式は「他に類を見ないショーに」

 続いては、イギリスの主要メディアだが、こちらも容赦がない。

東京オリンピックの準備に影を落とした失策とミスステップ」(INDEPENDENT

パンデミックと支持の低下で、東京オリンピックの開会式は他に類を見ないいショーに」(The Guardian

「恥ずかしい、気が進まない、怖い:Covidオリンピックに対する日本人のホンネ」(The Telegraph

コロナウイルスへの恐れから、イギリスのアスリートたちは開会式を見送ることに」(The Times)


 コロナの陽性反応が出たことで、来日した選手が五輪欠場を余儀されなくなるなど、楽しむどころではない様子のイギリス。開会式からも「ブリグジット」するなど、呆れや怒りが見出しからも伝わってくる。

 惜しくも準優勝に終わったものの、全試合を自国でプレーし、大盛り上がりだった「EURO 2020」の直後ともなれば、なおさらだろう。

◆汚職疑惑や段ボールベッドも話題に

 残念ながら、暗澹たる見出しが躍っているのは、米英メディアだけではない。そのほか欧州各国のメディアも、東京五輪に関しては懐疑的な報道がほとんどだ。

オリンピッククリエイティブ・ディレクターホロコーストを揶揄」(ドイツ・Bild)

2020年東京オリンピック:汚職疑惑を強めるメール」(フランス・Le Monde)

東京オリンピック:アスリートは選手村で段ボール製のベッドに寝ることに」(フランス・Le Figaro)

「『オリンピックを中止しろ』」(スペイン・EL MUNDO)


 東京五輪ショーディレクター小林賢太郎氏が、開会式直前に解任となったことは、長らく過去の記憶と向き合ってきたドイツにとっては、「風刺」では済まない話だろう。

 また、数々の不祥事に埋もれがちだが、そもそも招致の段階で賄賂を払っていたのではないかという疑惑も、海外メディアは忘れてはくれないようだ。検察当局が捜査を進めていることから、フランスでは特にそうなのかもしれない。

 スペインの「EL MUNDO」は、「Cancel the Olympics」と書かれた幕の写真などと併せて、五輪開催に反対する日本のデモを取り上げている。

◆裏方同士のバトルも報道されるまでに

 イタリアでは、「ボッタクリ男爵」ことIOCバッハ会長と、武藤敏郎事務総長とのやりとりまでもが、見出しになっている。

コロナ、武藤が発言して休戦を破る」(La Gazzetta dello Sport

 さらに、これまで東京五輪を巡る混乱が広く報道されてこなかった北欧や東欧のメディアも、その「ヤバさ」に気づき始めているようだ。

「東京でさらなるコロナの陽性反応」(ノルウェーStavanger Aftenblad)

コロナウイルスに揺れる日本。街の静けさに、蝉の声が聴こえる」(ポーランド・Wyborcza)

 北欧の地方紙にまで惨状が掲載されていることからも、いかに世界中に恥を晒していたのか、推して知るべし。アスリートたちの活躍で、明るい見出しが増えることを祈りたい。

<取材・文・訳/林 泰人>

【林泰人】
ライター編集者日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン

La Gazzetta dello Sportより