自分が予約していた座席に別の人が座っている。新幹線や特急列車の指定席、飛行機などではこうした座り間違えはよくある話で珍しいことではありません。

新幹線通勤
画像はイメージです(以下同じ)
 食品メーカーに勤める隅田正也さん(仮名・29歳)も出張で利用した羽田空港飛行機の機内で、まさにこれと同じ場面に遭遇したそうです。

前の便の乗客の忘れ物と勘違いした?

「私は機内真ん中の3列シートの左端で、中央は空席で右端には若い女性(Aさん)が座っていました。でも、彼女はすぐに席を離れ、お手洗いに向かったようでした。すると、この間にアラフォーくらい別の女性(Bさん)が同じ座席に座ったんです」

 どちらかが座席を間違えているのだろうと思ったそうですが、自分と直接関わりがあることではないため、最初は気にも留めていなかったとか。ただし、後から座ったBさんが客室乗務員の女性に声をかけ、シート前のポケットに入っていたペットボトルのお茶を渡している場面を目撃。さすがにそのときは「さっき座っていたAさんが入れたものでは……」とモヤッとした気持ちなったといいます。

「このときに声をかけるべきだったかもしれませんが、それ以上に余計なことに首を突っ込みたくないという気持ちもありました。だから、少し気になりつつもそのまま傍観してしまったんです」

間違えて座った女性の態度に疑問

席間違い

 その後、お手洗いからAさんが戻ってきましたが、先程まで自分が座っていた座席にはBさんが腰を下ろしています。Aさんから声をかけられると自分が席を間違えていたことに気づいたらしく、1列前のシートに座り直します。

 ところが、BさんはAさんへのお詫びの一言はまったくなく、無言で席を移動したそうです

「私は過去に人の座席に間違えて座ってしまった経験がありますが、普通は『すみません』か『ごめんなさい』くらい言いますし、最低でも頭は下げますよね。けど、それをしなかったので個人的にはすごく感じの悪い人に見えました」

 ようやく自分の座席に座ることができたAさんですが、すぐに飲み物が消えていることに気づいた様子。床や周りをキョロキョロと見まわしていましたが、客室乗務員の方が持って行ってしまったので当然見つかるはずもありません。

思わずその場に参戦してしまう

 そこで見かねた隅田さんが事情を説明。すると、先程ペットボトルを持って行った客室乗務員が通りかかったので「あの方です!」と教えます。

客室乗務員さんは『本当に申し訳ありません』と謝り、代わりに機内サービス用のミネラルウォーターペットボトルを渡していました。ただ、一連のやりとりは前の座席に座っているBさんも気づいていたはずです。ところが、この状況でも彼女がAさんに謝罪してくることはありませんでした」

 あくまで他人事という態度のBさんにイラッとした隅田さんは、彼女に向かって「間違って他の席に座ったのは仕方ないとしても、飲み物を勝手に処分してそのことを言わないって失礼すぎませんか?」と言ってしまいます。

 まさかこんなふうに知らない男性から突然責められるとは思ってもいなかったのか、Bさんは大変驚いた様子だったそうですが、バツが悪そうな表情でAさんに謝っていたといいます。

いいことをしたと思ったのに妻からは…

夫婦

Aさんからは何度もお礼を言われ、人の役に立つことができてよかったです。ところが、出張から帰った後、妻にこのときの出来事を話すと、『それってどうなの?』とまさかのダメ出しをされたんです

 奥さんはAさんが座席にペットボトル以外の荷物を置いてなければ後から座ったBさんが前の便の乗客の忘れ物だと判断するのは仕方のないことだと指摘。彼女の態度が悪いというのもあくまで主観的な印象に過ぎず、責められるほどの非はないと言ったのです。

「最初はどうして? と思いましたが、詳しく聞いてみるとその通りのような気がして……。妻からは『ヘンな正義感を振りかざして恥ずかしい!』って怒られるし、スカッとした気分から一転して凹まされました

 一見、片方に非がある状況だと思えても誰の目からも同じように見えるとは限りません。一歩間違えば注意や忠告をした側が非難を浴びるケースもあるため、慎重に判断したほうがいいかもしれませんね。

TEXT/トシタカマサ イラストパウロタスク(@paultaskart)>

特集[令和のスカッとした話]

【トシタカマサ】

ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中