日本語表現の難しさについて描いた漫画「最後の最後ですれ違った話」がSNS上で話題となっています。日本でチリ人の夫と暮らす女性。あるとき、夫が日本語のテストで「洗濯機を○○」という問題に「おす」と誤答し、なぜ、正解が「まわす」なのか不思議そうに尋ねてきて…という内容です。作者の女性に聞きました。

夫の突拍子もない疑問が面白い

 この漫画を描いたのは、イラストレーターのシュウカ(ペンネーム)さん(25)です。インスタグラムでエッセー漫画を発表しています。

Q.漫画を描き始めたのは、いつごろからでしょうか。

シュウカさん「インスタグラムに初めて投稿したのは2019年12月末です。SNSでエッセー漫画を読むことが好きで、自分の持っているちょっと変わったエピソードやチリ人の夫バイちゃんとの生活をエッセー漫画にしたら面白いのでは?と思い、描き始めました。

当時は、イラストを描くことが好きなのに何を描けばいいのか分からず、『描きたいのに描けない』という状況に陥っていたので、『筆を取る良い目的を見つけられた!』とワクワクする気持ちもありました」

Q.今回の漫画を描いたきっかけは。

シュウカさん「同じ環境、文化、言語で過ごしてきた人同士では気付きにくい『異言語ならでは』の疑問だなと感じたからです。一緒に過ごしていると『国籍なんて関係ない』と思うのですが、そんな中で現れる夫の日本に関する突拍子もない疑問がとても面白いので、今後も発信していきたいです」

Q.指摘を受けて改めて、「洗濯機を回す」に疑問を感じましたか。

シュウカさん「感じました! 恐らく、このような矛盾や、よくよく考えると違和感のある日本語はたくさんあると思います。自分がどれだけ無自覚に日本語を操っているのか、よく分かりました」

Q.その後、バイさんは正しい言い回しを理解できたのでしょうか。

シュウカさん「理解はできたと思いますが、納得はできていないかと…(笑)『分かったけど、なんで?』という感じでした」

Q.このような慣用的な言い回しについて、どのように教えていますか。

シュウカさん「生活の中で最もスムーズに意思疎通できるのは英語なので、詳細を伝えたいときや何かを説明するときは英語を使います。英語での言い方が分からないときは翻訳アプリを頼りつつ、日本語でどのように使うかの例もいくつか教えます」

Q.他にも、伝えるのに苦労した言葉があったら教えてください。

シュウカさん「最近あったのは『足がつる』の『つる』です。これは英語での言い方を知らなかったので、バイちゃんの母国語であるスペイン語を調べて、そのまま伝えました…」

Q.漫画について、どのような意見が寄せられていますか。

シュウカさん「英語で『洗濯機を回す』になるべく近い言い方をコメントで教えてくださった方がいて、英語の勉強になりました。バイちゃんも、より近いニュアンスで理解できたようで、とてもありがたく感じました」

Q.創作活動で今後、取り組んでいきたいことは。

シュウカさん「インスタグラムでは引き続き、バイちゃんとの生活を発信しつつ、自身の就活・転職体験談や映画レビュー、海外旅行記などをたくさん描いていきたいです。もの作り全般が好きなので、似顔絵の受注やバイちゃんとのYouTube活動(今は完全に止まっています…)、オリジナルグッズの制作など…やりたいことが書ききれないくらいあって、体も足りなくて困っています(笑)でも、全部やるつもりです!」

オトナンサー編集部

漫画「最後の最後ですれ違った話」のカット=Shuka/シュウカ(shuka_087)さん提供