2021年7月、あまりヒットしなかったが、前回の松本さんに聞き続き、韓国系の方のお話を、この夏はしようと思う。今、日本は、韓国をディスっている余裕はない。コロナ禍の中のオリンピック強行によって、政治的に国民性が問われているからだ。

 歌手であり女優に、ソニンさんがいる。昔のことだからその詳細は確認しようもないが、石橋貴明さんと中居正広さんが司会する歌番組で「あたし、コリアンですよ」とニコニコして言った。筆者には、とても衝撃だった。衝撃の理由が何だったかはわからない。「そうか、コリアンなんだ」とうれしくなったのは覚えている。とても痛快だった。

 事務所はまったく別のところだったが、ハロプロのお嬢さんたちと出ることが多かったから、「ソニン」はアイドル名かなと思っていた。まったくの勉強不足だったのかもしれない。堂々と「コリアン」を名乗り、「なんか不都合あります?」と問いかけているようにも感じた。

 その後その番組で、祖先の故郷までマラソンさせられた時は、内心、なんだかなと彼女がかわいそうになったが、彼女は強かった。

 アイドルを卒業して、今は、ミュージカル界で頑張っている。経歴を見ると、朝鮮学校に在学していたようだが、その時心無い言葉で傷ついたりもしただろうに。

 それよりももっと昔、「笑っていいとも!」のテレホンショッキングに呼ばれた、俳優の伊原剛志さんが、「在日ですけど、NHKに出るために、帰化しました」みたいなことを言った。タモリさんは言葉を失っていた。伊原さんは隠してもしょうがないけど、なにか? 的なことを言った。ちょうど「ふたりっ子」の時期だったように思う。

 NHKという放送局は、日本人に帰化しないと、起用しないんだと思った。だったら、韓国人歌手は歌番組になんか出られないじゃないかとすら思った。

 ネットを開けば、芸能人の誰それが在日だと羅列してある。それをコピーして、誤字すらも全く同じの貼りつけがたくさんある。中には、官報での帰化した日付まで書いているのもある。

 まあ、韓国の方は、美空ひばりさんや長嶋茂雄さんのように、日本の一つの時代のヒーローを、実は韓国の血が入っているんですよと自ら投げつけることもするので、どこまで正しい在日名簿なのかはわからない。血が入っていることで追及したら、日本人も韓国人も、中国人もアジア系は、遠い昔の祖先で血がごちゃごちゃ混ざっているようにも思う。

 筆者が、後年そのスター性を改めて再認識してファンになった男性歌手も、実家はパチンコ屋さんだった。小5でドラムセットを買ってもらえるほど故郷ではお金持ちの子だった。その方は、帰化すらも隠したままで亡くなった。正直、日本人だろうと韓国人だろうと、あの歌声の前では関係ないのだ。

 また〇〇姉ちゃんと呼ばれる女性歌手もまた在日と言われている。彼女がデビューした時、過去は辛いことばかりだったので、上京する前にアルバムは全部燃やしてきましたとおっしゃった。どんだけ、辛かったのと切なくなった。

 とても素晴らしい歌唱力をお持ちなのに、その方のコメントは、司会番組が集中する週末に叩かれる。それは、日本人によるいじめなのかな。

 在日など国籍を、隠さない芸能人がいて、死ぬまで隠し通す芸能人もいる。どちらも正しい。でも、帰化しているかどうかまでを、官報まで探し出して書かなければならないことなのか。官報の日付まで書かれている芸能人は、既に引退している。

韓国のイメージ