2019年の第72回カンヌ国際映画祭で脚本賞とクィア・パルム賞を受賞した『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督の長編2作目で、第61回ベルリン国際映画祭テディ賞審査員特別賞を受賞するなど世界中の映画祭で好評を博した映画『トムボーイ』(2011)が、9月17日より公開されることが決定。予告編が解禁された。

【動画】“ミカエル”と名乗るロールのひと夏の挑戦 映画『トムボーイ』予告編

 本作は、田舎に引っ越してきたのを機に、新しい友人たちに自分を男の子だと信じ込ませたロールのひと夏の挑戦を描く成長物語。低予算のインディペンデント作品ながら、本国フランスでの劇場公開時には30万人動員の大ヒットを記録するという異例の快挙を成し遂げた。第61回ベルリン国際映画祭テディ賞審査員特別賞受賞のほか、第14回ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭で主演女優賞や、第2回オデッサ国際映画祭でグランプリを獲得するなど、世界中で高い評価を受けた。

 夏休み、家族と共に新しい街に引っ越してきた10歳のロール。引っ越し先で「ミカエル」と名乗り、新たに知り合ったリザたちに自分を男の子だと思い込ませることに成功する。やがてリザとは2人きりでも遊ぶようになり、ミカエルとしての自分に好意を抱かれていることに葛藤しつつも、お互いに距離を縮めていく。しかし、もうすぐ新学期。夏の終わりはすぐそこまで近づいているのだった…。

 主人公のロール/ミカエルをゾエ・エラン、愛らしい妹ジャンヌマロン・レヴァナ、引っ越し先でロール/ミカエルと出会うリザをジャンヌ・ディソンが演じる。

 予告編は、ロール(ゾエ)が新しい街で同年代のリザ(ジャンヌ)から名前を尋ねられ「ミカエル」と答える姿や、新たな仲間たちに迎えられる場面から始まる。夏休みの間、新しい仲間と過ごす新しい自分。サッカーや海での遊びを楽しんだり、妹ジャンヌマロン)の協力のもと襟足を整えたり、ミカエルとして過ごすことに余念がなかったが、そんな日々も長くは続かない。ある日母親に「みんなに男の子だと言っていたの?なぜそんなことを?」と詰め寄られてしまう…。果たして、主人公の瑞々しくもスリリングなひと夏の挑戦の行方は。

 「女の子が男の子になりすますという物語は、長いこと私の頭の中にありました」と当時の構想を明かしたシアマ監督は、「映画のもたらす複雑な感情の部分と対照的に、太陽を感じさせるような作品を作りたいと思っていた」と本作に込めた想いを語っている。

 映画『トムボーイ』は9月17日より新宿シネマカリテほかにて公開。

映画『トムボーイ』場面写真 (C)Hold‐Up Films & Productions/Lilies Films/Arte France Cinema 2011