31日、東京オリンピックの男子サッカー準々決勝が行われる。我らがU-24日本代表は、U-24ニュージーランド代表と対戦する。
勝てばベスト4入り。2012年のロンドン・オリンピックと同じ舞台にまでたどり着く。目指す金メダルまではあと3つ。その第一歩を踏み出す。
◆唯一の3連勝、状態は良好
中2日での難しい日程、そして高温多湿というサッカー以外の競技でもアスリートたちに多くの影響を出しているこの気候。そんな中、開催国のプレッシャーもある日本だったが、グループステージでは16チーム中唯一の3連勝で突破を果たした。
大会前から森保一監督をはじめ選手たちも公言していた金メダルに向けて、グループステージ突破は必須だったが、3連勝という結果を残せたことは大きな力となっているはずだ。
南アフリカ、メキシコ、フランスと苦しいグループとも言われたが、各国が調整や選手招集に大きく苦しむ中、日本は大きなバックアップも受けてチーム作りを進めてきた。その結果が出たグループステージだったと言えるだろう。
ここまでの戦いで失点もU-24メキシコ代表戦のFKが直接入ったもののみ。流れの中からの決定機は3試合を通じてほとんど作らせていない。結果だけでなく、内容を見ても大きな手応えを感じているはずだ。
フランス戦ではリードを奪ったこともあり、選手をわずかでも休ませることができた。その辺りのマネジメントが上手くいっていることも金メダルへの好材料といえるだろう。
気にすべきは出場停止にリーチがかかっている選手が多いという点か。すでにフランス戦でDF酒井宏樹(浦和レッズ)がイエローカードをもらい、このニュージーランド戦を欠場する。現在、MF遠藤航(シュツットガルト)、MF堂安律(PSV)、DF中山雄太(ズヴォレ)、MF田中碧(川崎フロンターレ)、DF冨安健洋(ボローニャ)が1枚もらっている状態。このニュージーランド戦が終われば一度リセットされるが、勝ち上がらなければ意味をなさない。ハードに行きつつも、カードはもらわない戦いが求められることとなる。
◆危険なのは高さと強さ
対するニュージーランドは、グループBを2位で通過。1勝1分け1敗という成績だった。
初戦のU-24韓国代表戦では、難しい試合をしながらもワンチャンスをものにして1-0で勝利。勝ち切る強さを持っており、最終戦のU-24ルーマニア代表戦もしたたかに引き分けて勝ち上がりを決めた。
一方で、第2戦のU-24ホンジュラス代表戦では2-3と敗戦。終始リードして戦っていながらも、終盤に押し込まれて敗れたという稚拙な試合運びも見せていた。
そのホンジュラス代表は、大会前に日本が対戦。調整もまだしっかりできていない状態だったとはいえ、3-1で日本が勝利した相手だ。チーム力という観点から行けば、日本の方が優位に立てるだろう。
しかし、気をつけなければいけない相手でもある。それは高さと強さ。ヨーロッパでも戦っている選手がいるニュージーランドにおいては、その強度は低くなく、油断しては足元をすくわれる可能性はある。
特に警戒すべきはオーバーエイジで参加しているバーンリーのFWクリス・ウッドだ。プレミアリーグでも通用している高さを持つウッド。A代表が二ユージーランドと対戦した直近の2試合は、2014年に4-2、2017年に2-1と日本が勝利しているものの、ニュージーランドの3点は全てウッドが決めたものだ。
クロスからの失点、セットプレーの対応など、流れを無視した得点も奪える相手。CKなどの対応にはしっかりと行いたい。
◆予想スタメン[4-2-3-1]
GK:谷晃生
DF:橋岡大樹、吉田麻也、冨安健洋、中山雄太
MF:遠藤航、田中碧
MF:堂安律、久保建英、三笘薫
FW:上田綺世
監督:森保一
これまでから大きなメンバー変更はないと見る。GKは4試合連続でGK谷晃生(湘南ベルマーレ)だろう。徐々に落ち着いたプレーが増え、安定感も増してきた。3試合目のクリーンシートを目指してもらいたい。
最も懸念されるのが酒井の不在だ。フランス戦で見せたFWアンドレ=ピエール・ジニャックへの対応はニュージーランドも狙ってくるはず。中に絞ってしっかりと競り合えるSBが不在であることは、日本の唯一の不安材料と言っても良い。
代役は間違いなくDF橋岡大樹(シント=トロイデン)だろう。フランス戦も酒井に代わって途中出場し、予行演習は行えた。高精度のクロスで何度か決定機を生み出した点もプラス。ジニャック対応も本来の橋岡の強みである対人の強さを見せていた。クリス・ウッド相手にどういう対応を見せられるか。橋岡の真価が問われるだろう。
センターバックはDF吉田麻也(サンプドリア)とDF冨安健洋(ボローニャ)だろう。安定感は抜群。2人の連携でしっかりと対応してクリーンシートを目指してもらいたい。
左サイドバックもDF中山雄太(ズヴォレ)で変わりないだろう。3試合連続での先発で、徐々に安定してきている状況。前の組み合わせが変わった中でどういう動きを見せるかに注目だ。
ボランチはともに累積警告がリーチだが、MF遠藤航(シュツットガルト)とMF田中碧(デュッセルドルフ)で間違いない。安定したパフォーマンスを見せている中で、休みを与えられる試合展開にできるのが理想だ。
2列目も右にMF堂安律(PSV)、中央にMF久保建英(レアル・マドリー)が入ることは間違いなさそうだ。久保は4戦連発に期待がかかる。フランス戦は休めただけに、万全の状態で勢いづけるゴールを期待したい。
そして注目の左サイドだが、満を辞してMF三笘薫(川崎フロンターレ)と予想する。ここまで三好康児(アントワープ)、相馬勇紀(名古屋グランパス)、旗手怜央(川崎フロンターレ)と唯一3試合とも違う選手が先発したポジション。4枚目のカードとして三笘が相手の守備網を切り裂くことを期待したい。
1トップも悩ましいところだが、FW上田綺世(鹿島アントラーズ)と予想する。フランス戦を休んだFW林大地(サガン鳥栖)という手もあるが、ゴールへ向かうクオリティという点では上田はフランス戦で素晴らしいものを見せた。自身のゴールはなくとも2点につながるシュートを打てたことが大きな違いだ。林のポストプレーで2列目を生かすという選択肢もあるが、上田のゴールへ向かう動きで2列目を生かすという戦い方を期待したい。
負ければ敗退の一発勝負。なでしこジャパンの無念を晴らすために勝利が期待される一戦。U-24ニュージーランド代表戦は31日の18時にキックオフを迎える。
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