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 今年7月26日に運用終了につき国際宇宙ステーションISSから切り離されたロシアモジュールを見送る壮大な映像が話題を呼んでいる。

 そのモジュールは2001年の打ち上げ以来、長きにわたり船外活動や物資の供給に貢献したドッキング室「ピアース(Pirs)」だ。

 まもなくやって来る新モジュールに席を譲るため、役目を終えたピアースは再び大気圏に突入。その機体は火球のごとく燃え、残骸は南太平洋に落下した。

 寄る辺ない空間で20年続いたISSとの結合を解かれ、遠ざかっていくモジュールの姿はある意味切なく、永遠の別れを惜しんでいるかのようだ。

【ISSから分離し大気圏へ。役目を終えたピアースとの別れ】



Watch Russian Pirs module undock from ISS (Full Maneuver)

 今年7月29日ロシアの宇宙機関ロスコスモスハードウェアの終焉ともいえる壮大な映像を投稿した。そこにはISSから離れまぶしい火の玉へと変わるピアースの姿がとらえられていた。

 飛行機能をもたないピアースは無人補給船プログレスとドッキングしたまま、軌道上のISSを離れ地球に向かってゆっくり遠ざかっていく
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 周辺が夜になると明るい点になり、見失うほど小さくなってしまった
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20年ISSに貢献したピアース。ドッキングポートの仕事はナウカに

 ピアース・ドッキング室はロスコスモスによるISSへの貢献の一つといわれている。

 この小型モジュールは2001年の打ち上げ以後、ISSの居住および生命維持モジュールにドッキングされ、船外活動のエアロックや補給船のドッキングポートとして長らく機能した。

 なお20年もの間ISSの一部だったピアースの後継はすでに決まっている。エアロックの役割はすでに他のモジュールが引き継いでおり、残るドッキングポートの役割は新しい多目的実験モジュール「ナウカ(Nauka)」に引き継がれる。

最期は火の玉になり、残骸は太平洋に

 ISSからピアースを見送ったクルーの一人、欧州宇宙機関の宇宙飛行士のトーマス・ペスケはメッセージと共にいくつかの写真をシェアした。
ISSで最古参のロスコスモスモジュールの一つが約20年の任務を称えるメダルの代わりに大気圏を旅行しました
船の一部が空中に飛び立つなんてとてもおかしな気分です(ここは大気が無いので)。この火の玉は数時間後にはっきり見えました。 ピアースの最期のサービスです
燃えるピアースとプログレス
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 同様にその経過を見守っていたロスコスモスも、長い尾を引く火の玉の様子と太平洋に落下したピアースと補給船の残骸の確認をツイッターで報告した。

新モジュールのナウカがドッキング。ISSは新たな時代へ

 ロシアは29日、ナウカがISSとのドッキングに成功したと発表。その直後に推進装置の誤作動でISSが傾くハプニングがあったものの、その後は元に戻り乗組員への危険はなかったそうだ。

 1998年に打ち上げられて以来、軌道上に20年以上もいるISSはこれまでもアップグレードや新しいテクノロジーに対応してきた。

ISSは今年6月、ロール状の新型ソーラーパネルを設置

 ピアースの廃棄、ナウカ追加からその先へ。今後も時代に沿った進化を遂げていくのだろう。

References:cnetなど /written by D/ edited by parumo

 
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火の玉となって太平洋へと消えていく。国際宇宙ステーションから切り離されるモジュールの様子をとらえた映像