「お客さんが乗れば以前より利益を出しやすい」とのことです。

固定費削減、便数や機材も適切配備

航空会社のANA(全日空)、ピーチなどを傘下にもつANAホールディングスが2021年7月30日(金)、2022年第一四半期(2021年4月から6月)の決算を発表しました。新型コロナウイルス感染拡大により航空需要の大幅な低迷が続いており、純損益は511億円の赤字となるなど苦境は続いているものの、その赤字幅は昨年第一四半期と比べて576億円改善。売上高も前年比63%回復したといいます。状況は大きな改善が見られるといえるでしょう。

なぜ1年で、純損益の半分以上を”取り戻す”ことができたのでしょうか。ANAによると、これにはいくつかの取り組みが関係しているといいます。

まず、固定費の削減です。ANAでは大型の旅客機を中心に早期退役を進めたことで、減価償却費・整備費などの固定費の削減を進めたほか、便の設定に関して、経験を積んだANAのスタッフが、適切な便設定や機種の選定をできるようになったこと、スタッフの外部出向の拡大で人件費を抑制していることなどが、この理由としています。また、航空貨物事業については過去最高収益を更新しており、「今年の夏は、フレイター(貨物専用機)をフル稼働させていく」(ANAホールディングス ANAホールディングスの福沢一郎専務)としています、

ANAホールディングスによると、現在の状況はこういった取り組みが功を奏し、「損益分岐点が大きく下がったことによって、お客様が乗ってくれさえすれば以前より利益を出しやすい状況にある」とのこと。緊急事態宣言下ではあるものの「私たちも衛生対策に注力していますし、お客様もPCR検査をしつつ、移動する流れが見られます。現に発出後もいまのところ、夏場の予約動向に大きな変化はありません」(福沢一郎専務)と話します。

ただ一方で海外の航空会社では、2021年に入ってV字回復し、黒字化を果たすところもある一方で、ANAをはじめ国内の航空会社では、それほど大きな回復は見られません。今後の需要回復について福沢専務は「ワクチン接種が鍵となるのでは」としたうえ「国内のワクチン接種率が4割を超えると旅行需要が改善する傾向にあるようです。日本でもワクチン接種をしたうえで、お客様が移動できるようになることを期待したいです」と話しました。

ANAの旅客機(乗りものニュース編集部撮影)。