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CTで明らかになったサメの螺旋状の腸
奇妙な螺旋を描く「アブラツノザメ」の腸。入り口は左側で、右側が出口 image credit:Samantha Leigh / California State University Dominguez Hills

 海の食物連鎖の頂点にいるとされるサメだが、実のところ、本当は何を良く食べているのかあまりよくわかっていない。彼らが食べたものが消化・排泄されるプロセスや、より大きな海洋生態系にはたす役割なんてことはもっとよくわかっていない。

 そうした秘密を解明するために、アメリカ・カリフォルニア州の研究グループは、病院でお馴染みのCTでサメの腸を撮影してみた

 そこで判明したのは、螺旋状をした不思議な形の腸だった。その螺旋はニコラテスラの発明品「テスラ・バルブ」と同じ働きをしている可能性もあるそうだ。

【CTで明らかになったサメの腸】

 『Proceedings of the Royal Society B』(7月21日付)で紹介されている高解像度3D画像は、カリフォルニア州立大学ドミンゲスヒルズ校やカリフォルニア大学アーバイン校をはじめとする研究グループが、ロサンゼルス自然史博物館に所蔵されている3ダースものサメの標本の腸をCTで撮影したものだ。

 これによって解剖で切り刻んでしまうことなく、お腹の中に収まっているそのままの腸の姿を観察できるようになった。

奇妙な螺旋を描く「アブラツノザメ(学名 Squalus suckleyi)」の腸

Video: Pacific spiny dogfish intestine

螺旋形の腸でゆっくりと運ぶ、テスラ・バルブのような機能

 サメが食べたものは、重力と腸の蠕動(腸の筋肉の収縮運動)によってお尻へと運ばれていく。不思議な螺旋形をしているのは、食べたものの移動を遅くするためだと考えられている。

 研究グループによると、ほとんどのサメは一度大きな獲物を食べたら、数日から数週間は何も口にしなくてもいいのだという。
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生きているアブラツノザメ(学名 Squalus suckleyi)(Credit: Samantha Leigh/California State University Dominguez Hills)

 彼らの腸の螺旋は、食べたものを長くお腹の中にためておき、栄養をできるだけたくさん、かつ効率的に吸収するための仕組みなのだそうだ。

 その機能は「テスラ・バルブ」と呼ばれる装置にも似ているかもしれないという。この装置は発明王エジソンがその才能を恐れた天才ニコラテスラが1世紀前に発明したもので、可動パーツがなくても流体の逆流を防ぐことができるという現代にも通用する性能が秘められている。
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こちらはアブラツノザメ(学名 Squalus suckleyi)の腸を上から見下ろした様子(Credit: Samantha Leigh/California State University Dominguez Hills)
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「イヌホシザメ(学名 Mustelus canis)」の腸を上から見下ろしたもの(Credit: Samantha Leigh/California State University Dominguez Hills)

より大きな生態系を理解する手がかり

 海の生態系の頂点であるサメは、魚やほ乳類だけでなく、無脊椎動物や海草などさまざまなものを食べる。またそうやって海洋生物の数を調整しながら、食べたものを海に排泄する。

 こうしたサメの営みを理解することは、より大きな生態系を理解するうえでも大切なことなのだそうだ。

 研究グループは今後、CTスキャンしたモデルを3Dプリンターで印刷し、そこに実際にものを流して不思議な腸の働きを調べてみる予定であるとのことだ。

References:Shark spiral intestines may operate as Tesla valves | Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences / Amazing New 3D Images of Shark Intestines Show They Function Like Nikola Tesla’s Valve / written by hiroching / edited by parumo

 
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