労働時間を短縮する試みは世界各国で行われている。アイスランドでは、労働時間を週35時間に減らす4年間の大規模実験が行われ、今年その結果が発表されたが、生産性やサービスが低下するようなことはなく、労働者の幸福度も向上し、結果的に成功であったことが報じられている。
今回アメリカでも労働時間を減らす方針を打ち出したようだ。民主党議員が週休3日制を導入する法案を提出したそうだ。
その目的は現在定められている週40時間の労働時間を32時間に短縮することであるという。
この法案を提出したのは、カリフォルニア州から選出されたマーク・タカノ下院議員だ。同議員はプレスリリースで次のように語っている。
週休3日を導入した多くの国や企業は、生産性が向上し、賃金も上がるといった大きな成功を収めています。新型コロナの世界的流行で数百万ものアメリカ人が失業しましたが、労働時間を短縮することで、より多くの人々がよりよい賃金で労働市場に参加できるようになります
Redefining the standard workweek by lowering the maximum hours threshold for overtime compensation to 32 hours could benefit millions of workers in this country.
Our business model must prioritize productivity, fair pay, and an improved quality of life. https://t.co/sPBGfTAxFY
— Mark Takano (@RepMarkTakano) July 29, 2021
従業員だけでなく、雇用者にもメリット
タカノ議員によれば、週休3日のメリットは賃金以外にもある。たとえば、病気欠勤が少なくなり、意欲が高まる。さらに親が直接子供の面倒を見る時間が増えるために、子育ての金銭的負担を減らすこともできる。 また従業員だけでなく、雇用者側にもメリットがあり、医療保険費の削減、営業費の削減、環境負荷の低減などにつながると説明されている。
32時間以上働いた場合には1.5倍の賃金
具体的に法案が変えようとしているのは、最大労働時間の引き下げだ。1930年代後半に施行された「公正労働基準法(FLSA)」では、週40時間以上働いた場合、1.5倍の賃金を支払うことを雇用者に義務付けている。この基準を32時間に引き下げようというのだ。
この法案を提出する理由は、週の標準的な労働時間を32時間に短縮することです。なぜなら今、人々はかつてなかったほど長時間働き続けており、その一方で賃金は停滞したままだからです。この現実をいつまでも受け入れるわけにはいきません
各国の事例。日本にも導入の動き
ちなみに週休3日を導入しようという動きは世界各地にあるようだ。イギリスでは、2019年にイギリス労働党のジョン・マクドネル議員が、週32時間労働は今後10年で可能になるだろうと発言。
さらにより最近ではスペイン政府がその全国的な導入準備に5000万ユーロ(約65億円)の予算を設け、今後3年にわたり週休3日を採用した企業を支援することにしたという。
同じような動きはアイスランド、ニュージーランド、そして日本でも見られる。日本政府が選択的週休3日制の導入を検討していると今年4月に報じられた。
References:Rep. Takano Introduces Legislation to Reduce the Standard Workweek to 32 Hours / written by hiroching / edited by parumo
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