倒壊の連鎖が魅力のドミノ倒しの難点はドミノをセットするのに多大な労力と時間がかかることだ。それもまたワクワクと緊張が味わえる醍醐味なのだが、ふとした拍子で総倒れになり心折れてしまった人も多いはず。
そんな失意をバネにして、元NASAのエンジニアが率いるチームは、5年の歳月をかけてすごいロボットを開発した。
ターミネーターならぬ「ドミネーター」と命名されたそのロボットはなんと1回で300個ものドミノを並べることができるのだ。
わずか1日で10万個のドミノを並べ、壮大なる『スーパーマリオブラザーズ』を描くことに成功。この作品は世界記録を樹立した。
【10万個を24時間で!究極のドミノ並べマシン「ドミネーター」】
World Record Domino Robot (100k dominoes in 24hrs)
このプロジェクトの発案者マーク・ローバーによると、ドミノ倒しの熟練ビルダー7人がかりで少なくとも1週間かかるという。
だが一回で300個のドミノを並べる究極マシン「ドミネーター(Dominator:愛称ドム)」がいる彼のチームは、その膨大な並べ時間を約24時間にまで短縮。
ボウリングのピンみたいに一気に並ぶドミノ
熟練ビルダーも降参の早さである
しかもただ並べるのではなくカラフルなスーパーマリオ風ドミノアートに仕上げていくのだ。
ドミノ並べの最速マシンを!頼もしい助っ人と5年がかりで完成
元NASAとAppleのエンジニアであるローバーは約2000万人のファンをもつ人気のYouTuberだ。 そしてこのほど彼の企画に乗ったのはスタンフォード大学の学生とソフトウェアエンジニアのアレックス・バウコムだ。
頼りになる助っ人を得たローバーは開発に着手。3Dプリンターでできた2,400個以上のパーツと14,000行以上のプログラムコードで動くロボットを完成させた。
およそ5年の月日を経て誕生したロボットの使命はただ一つ。ドミノをとにかく早く並べることだった。
ロボットアームとソートメカニズムで効率アップ。開発は試行錯誤
ローバーによると今回ドミネーターの作業がより効率的に進められたのはロボットアームのKuka(クカ)とミニカーブランドHotWheels(ホットウィール)のレールでできたソートメカニズムのおかげだという。ドミノの並べ替えに特化したその特殊なメカニズムにはなんとミニカーのレール約4.8km分が使われているという。
HotWheelsのレールでできたソートメカニズム
色分けされたドミノを拾うロボットアームのKuka
Kukaが落としたドミノがドミネーターにセットされる
さらに興味深いのはドミネーターのナビ部分だ。そのほとんどがGPS頼りだが、ドミノを正確な位置に倒さず置くには多くの試行錯誤が必要だった。
完成までにいくつかの方法を試したチームはカメラやマーカーシステムなども採用。最後まで苦心したセンチ単位のズレ問題もどうにか克服したという。
きれいに並んだ10万個が次々倒れる!昔の夢をかなえたローバー
24時間経過ですべての作業が完了し、ドミノアートがついに完成!記念すべきドミノ倒しは
見覚えのあるカメの甲羅でスタート!
100,000個のドミノの牌がどんどん倒れていく…
ドミノに夢中だった6歳の自分がこのロボットを知ったら大喜びするだろうな、と語るローバー。たとえ5年かかっても「あったらいいな」を形にしたこのプロジェクトは彼にとって価値があるものだった。
ちなみにドミネーターのハードウェアが気になる人はアレックス・バウコムの公式サイトBaucomRobotics、ソースコードについてはGitHubで共有中のDomino Robot project コードをチェックだ。
References:thevergeなど /written by D/ edited by parumo
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