アニメ製作大手、東映アニメーションの株価が上昇気流に乗っている。

2021年7月29日には前日発表の21年4~6月期連結決算の内容が好感され、940円(6.7%)高の1万5060円に急伸して上場来高値を更新、翌30日もさらに更新した。8月3日の終値はやや下げて1万4950円だった。

海外で勝負できる「クールジャパン」銘柄

東映アニメは海外で勝負できるコンテンツを擁する「クールジャパン」銘柄と言えるかもしれない。国内での人気も根強いものがあるが、2021年現在の海外でも通用するのが「ドラゴンボール」「ワンピース」などの東映アニメの作品。7月28日発表の4~6月期決算では、営業利益が前年同期比6.5%増の42億円と市場予想平均(34億円)を上回り、投資家の買いを呼び込んだが、その営業増益を招いたのは海外での「版権事業」だった。

では、21年4~6月期連結決算内容を詳しくみてみよう。売上高は前年同期比4.0%増の131億円、最終利益は4.5%減の30億円だった。

東映アニメの事業は大きく3つに分かれる。主力の「映像製作・販売事業」は売上高が前年同期比16.0%減の43億円、セグメント利益は37.2%減の9億円。この事業では映画館向けの劇場アニメテレビ放送用作品を製作する。国内は映画が減収、テレビが増収だったが、海外で前年同期に「ワンピースシリーズブルーレイDVDが売れた反動減が全体に影響した。

他方、「版権事業」は国内で減収だったが、海外で「ドラゴンボール」のゲーム化権の販売や、「ドラゴンボール」「ワンピース」「デジモンアドベンチャー」の各シリーズを商品化するための権利の販売が好調だったことから、売上高は21.3%増の84億円、セグメント利益は25.8%増の42億円。利益の大半を海外の版権事業が稼いでいる姿が浮かぶ。

もう一つの「商品販売事業」は規模では他2事業より小さい。映画公開に合わせたノベルティグッズの販売などで売上高は前年同期比19.8%減の3億円、セグメント損失は8700万円だった(前年同期は7500万円の損失)。

懸念材料は「親子関係」?

東映アニメはどういう会社なのか、おさらいしておこう。始まりは1948年設立の「日本動画」。56年に東映傘下に入り、東映動画へ商号変更、98年に現商号になった。アニメ製作の草分け的存在で、67年に「魔法使いサリー」でテレビカラー放映開始。75年にテレビアニメの海外販売を始めた。作品名を挙げ始めると、たいへんなスペースを使ってしまうのでやめておくが、東映アニメの歴史は日本のアニメの歴史と言っても過言ではないことに多くの人が賛同するだろう。

株式上場は2004年ジャスダックで、現在は東証JASDAQ(スタンダード)に属する。筆頭株主は連結親会社の東映で34.17%を保有、続いて2位テレビ朝日(20.00%)、3位バンダムナムコホールディングス(11.00%)、4位フジ・メディアホールディングス(10.25%)と大口取引先が並ぶ(いずれも2021年3月末現在)。

懸念材料は、むしろ、その「親子関係」かもしれない。じつは時価総額でみると「親子逆転」してしまっているのだ。7月末時点で親の東映2952億円に対し、子の東映アニメは6333億円に達し、2倍を超える水準だ。

親子上場、なかでも親会社のほうが市場の評価が低い場合はアクティビスト(もの言う株主)から「親会社に子会社株の売却を求める」といった攻勢の対象になりやすい。国内では日立製作所が次々と子会社株を手放して親子上場の解消にメドを付けたところだが、東映も親子上場について市場との対話を求められる可能性がありそうだ。

ジャーナリスト 済田経夫)

東映アニメの歴史は日本のアニメの歴史(写真は、アニメファンが集まる秋葉原界隈)