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 キツネザルにも様々な種類がいるが、我々の知っているキツネザルと言えば、せいぜい猫かタヌキくらいの大きさだ。

 そのすべての種がマダガスカルに生息しているが、500~2000年前には人間の大人と同サイズくらいの巨大種が存在していたという。

 その名は「メガラダピス(学名 Megaladapis edwardsi)」で、尻尾を含めない体の大きさは1.5メートル、頭骨長は30センチもある。

 ただ大きいだけではない。木に抱きつきやすいよう手が長く、足は短いといったコアラのような特徴まであったそうで、そのため「コアラキツネザル」とも呼ばれることもある。

【1475年前のメガラダピス、主食は葉っぱ】

 熱帯の気候は古いDNAの保存にはあまり向いていない。そのためとっくの昔に絶滅したメガラダピスについてはわからないことが多かった。だが最近になって、運よく発見された下顎の骨から保存状態が良好なDNAが発見されている。

 『PNAS』(6月29日付)に掲載された研究によると、そのメガラダピスは1475年前を生きていた。主に葉っぱを食べて暮らしていたことが明らかになったという。
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メガラダピスイメージ図 / image credit:FunkMonk / WIKI commons

 キンシコウやウマが持つものに似た、葉っぱの毒素を分解し、栄養の吸収を助ける遺伝子が発見されたのだ。

 米ペンシルベニア州立大学のステファニー・マーシニャク氏によると、雑食の動物に比べて、主に葉っぱを食べる動物は体が大きくなる傾向があるのだという。

 そのためメガラダピスもまた葉っぱが主食なのではと推測されてはいたそうだが、今回それがDNAからも確認された形だ。
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メガラダピスのイメージ図 / image credit:Alex Boersma/PNAS

進化の位置付け

 もう1つ明らかになったのは、進化の位置付けだ。

 頭蓋骨や歯を現生の「アカビタイキツネザル(学名 Eulemur rufifrons)」や「イタチキツネザル(学名 Lepilemur mustelinus)」と比較した過去の研究では、メガラダピスは後者に近いとされていた。

 しかし遺伝子の分析結果からは、むしろアカビタイキツネザルに近いことが判明したそうだ。
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メガラダピスの頭蓋を3Dスキャンしたもの。頭蓋と歯の形状はイタチキツネザルと類似しているが、DNAからはアカビタイキツネザルに近いことが判明した(出典: Alexis Sullivan and Stephanie Marciniak)

絶滅の原因は環境の変化

 なお現在、マダガスカルには100種ほどのキツネザルが生息している。しかし巨大なメガラダピスは500年から2000年前に絶滅してしまい、同時代に生きていた種で生き残ったのはもっと小さな仲間だった。
  マーシニャク氏によると、メガラダピスが適応していた環境が大きく変化してしまったことが絶滅の原因と考えられるそうだ。
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メガラダピスの骨格 / image credit:Vinithehat / WIKI commons
References:This giant, leaf-eating lemur was the size of a human and had paws like a koala | Live Science / written by hiroching / edited by parumo

 
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