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猫のゲノムは人間に似ている。謎のDNA配列「ダークマター」解明に猫が役立つ可能性
 幸か不幸か、遺伝子の研究において猫はあまり脚光を浴びてこなかった。しかし、いよいよ猫が主役になるときが来たのかもしれない。

 米ミズーリ大学で教鞭をとる、猫の遺伝子が専門の獣医レズリー・ライアンズ(Leslie Lyons)氏によると、猫のゲノム構成は犬やマウスよりも人間によく似ており、遺伝子の研究を進める上で貴重なモデルになるのだという。

 『Trends in Genetics』(7月28日付)に掲載された研究では、そうした特徴は謎のDNA配列「ダークマターDNA」の解明にも役立つと述べられている。

【猫がモデル生物としてぴったりである理由】

 猫がDNA研究のモデル生物としてぴったりなのは、サルを除けば、ゲノムの構成が人間にもっとも近い動物の1つと考えられるからだ。

 それと対照的に犬やマウスの場合、進化を通じて染色体がかなり入れ替わっており、その研究結果を人間に当てはめるにはやや複雑すぎるきらいがある。

 またサルほど高価でもなく、それなりに従順な性質である点も好ましいという。
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ダークマターDNAの解明に猫が役立つ

 脊椎動物のゲノムには、種を越えて超高度に保存された、役割の分からないDNA配列が存在する。これは「ダークマターDNA」と呼ばれている。多種多様な動物の間で同一性が保たれているが、タンパク質コードしておらず、機能がまだ解明されていないのだ。

 宇宙の総質量の85%を占めるとされるダークマター(暗黒物質)のように、ダークマターDNAは遺伝子の95%を占めている。

 それだけ大きな部分を占めるにもかかわらず、これまではほとんど何の影響もないガラクタのようなものだと考えられてきた。

 しかしその割にダークマターDNAの10%ほどの部分は、哺乳類全体に保存されている。

 ライアンズ氏によると、このことはダークマターDNAに何か見過ごされている役割がある可能性を示唆しているという。実際、遺伝子の発現を微調整して、脳の発生を誘導しているとする研究も発表されている。

 そこで猫だ。ゲノムの構成が人間にもっとも近い猫なら、ダークマターDNAの解明に役立つ可能性があるという。
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photo by Pixabay

メンデルの法則を破ったクローン猫

 猫が遺伝子研究のモデル生物として優れている点はまだある。それはすでにクローンを作る技術が確立されていることだ。

 世界で初めてクローン猫が誕生したのは2001年12月22日のことだ。「CC」(コピーキャットカーボンコピーの意)と呼ばれたその子は、黒と白とオレンジ三毛猫の細胞から作られた。

 それなのにCCの毛皮にはオレンジがなかった。メンデルの法則をはじめとする遺伝子の基本原則を破っていたのだ。

 これは最近になって理解され始めた遺伝子のメカニズム(X染色体の不活発化/ライオニゼーション)が関係していると言われている。

 ちなみにCCは2020年3月3日18歳72日で、腎不全のため死去した。

猫の研究が、猫や人間の病気の治療法につながる

 猫の遺伝子を理解することは、その遺伝病の治療にも役立つことだろう。たとえば猫の品種の中には、遺伝性の多発性嚢胞腎になりやすいものがある。

 だが猫だけではない。この病気には人間もまたかかる。そのため猫の遺伝子研究から病気の根本的な治療法がわかれば、その成果は人間の治療にもつながると期待できる。

 最近、東京大学の研究チームが猫の腎臓病の治療薬の開発が新型コロナの影響で資金難となり中断しているというニュースが話題となり、その反響の大きさに寄付専用のページを設けたところ、2週間で1.4億円の寄付が集まったことで話題となった(寄付窓口はこちらから).

猫と人間の腎臓病の過程が似ていることから、この研究も、将来的には人間の腎臓病にも応用可能だという。

References:Human Genomes Are Surprisingly Cat-Like / Man’s New Best Friend: What Cats Can Teach Us About the Human Genome and Our Genetic “Dark Matter” / written by hiroching / edited by parumo

 
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