昨今なにかと話題に上りがちな「病院」。その経営を面白おかしく行ってしまおうというのが、この『ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション』(以下『ツーポイントホスピタル』)。 

『ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション』

 ともすると「不謹慎な!」という声も聞こえてきそうな病気という重いテーマを、ブラックユーモアオブラートで包み、軽~いノリに仕上げた今作。ボリューム満点で遊び応え十分なだけでなく、意外(?)にもゲーム界に名を残す、レジェンドの系譜に連なる作品となっているのです。その詳細をさっそくレポートしていきましょう!

文/ヤマダマサミ


『ツーポイントホスピタル』が由緒正しい経営シミュレーションな理由

 『ツーポイントホスピタル』は2021年7月29日PS4/Nintendo Switchで発売されたヘンテコ病院経営シミュレーション2018年Steamで発売され、300万人以上が遊んだ同タイトル日本語版となります。

 いきなり話がそれて恐縮ですが、このタイトルを語るうえで知っておいてほしいのが、 “あの”ゲーム開発スタジオ「Bullfrog Productions」の存在。
 往年のゲームファンなら一度はその名を耳にしたことがある(かもしれない)ピーター・モリニュー大英帝国勲章やフランスの芸術文化勲章も受賞しているスゴイ人!)が少人数の仲間と1987年イギリスで設立し、ゴッドゲームという1ジャンルを作った『ポピュラス』や、経営シミュレーションの草分け的存在テーマパークシリーズを開発したスタジオだといえば、“あの”という形容に足る存在だと理解してもらえるでしょうか。

 そんな「Bullfrog Productions」に在籍していたスタッフによって、2016年に新たに設立されたゲーム開発スタジオ「Two Point Studios。そのデビューとなったのが、今回紹介する『ツーポイントホスピタル』なのです。
 このタイトルは、かつて「Bullfrog Productions」が開発した病院経営シミュレーションテーマホスピタル』1998年にPC・1999年PS1でも発売)のシステムやノリを引き継いだ、精神的続編にあたります。
 つまり『ツーポイントホスピタル』は、ゲーム界の伝統あるスタジオシリーズDNAを継承した、由緒正しい経営シミュレーションと呼ぶにふさわしいタイトルなのです!

病院経営に求められるマネジメント力とは!?

 プレイヤーツーポイントという地方の病院経営者となり、地域に点在する病院が円滑に運営され、しっかりと利益を上げられるようマネジメントしていくこととなります。
 運営する病院は、基本的にゲームスタート時には何もないガランとした空っぽの建物なので、そこに受付や診察室、薬局、トイレなどの設備を建設。スタッフも医者、看護師、事務員、管理員の中から各設備に配置していく必要があります。

 必要最低限の設備と職員がいれば、病院の運営は可能ですが、それだけでは病院を訪れる患者たちは満足してくれません

 受付や診察を待つ時間を過ごすためのベンチを設置し、その周囲に暇つぶし用の雑誌棚やゲーム機などの娯楽品、のどの渇きや空腹を満たすための給水器や自動販売機、院内の環境や見栄えを良くするための観葉植物や絵画などホスピタリティアイテムの設置が求められます。患者数が増えてくれば、売店やカフェなどの施設の建設も必要となるでしょう。

 病院で働くスタッフへのケアも欠かせません。スタッフが休憩時間を過ごすためのスタッフルームを建設し、その中に患者に対するものと同様のホスピタリティアイテムが必須となります。
 スタッフの能力を伸ばすための研修室も重要です。新たな能力を取得したスタッフは、病院の運営をより円滑にしてくれるでしょう。ただし、しっかり働いたスタッフは昇進させ、給与も上げなければいけません。ケアを怠るとスタッフたちは不満を蓄積させ、最悪のケースでは退職してしまいます

 プレイヤーは病院の経営者ですから、患者とスタッフの双方に気を配ったマネジメントが求められます。すべて限られた予算の範囲内で。もちろん、一筋縄ではいきません。思い通りにならないことも、予想外トラブルに見舞われれることもあるでしょう。この苦労を経験したあとは、現実で病院を利用したときに多少の不手際に遭遇しても、広い心で許せるようになる……かもしれません。


ツーポイント州ではキミョウキテレツな病が大流行中!

 たとえば「白熱頭症」。その名のとおり頭が電球化してしまう奇病です。治療するには専用の病室で、頭の電球を取り外して、新しい人間の頭につけ替える必要があります。何を言っているのかよくわからないと思われる方も多いでしょうが、この病気はツーポイント州で実際に流行しており、この治療法が理想的な対処法なのです。

 「病みなべ症」も猛威を振るっています。真っ暗な部屋でなべを作るというキケンな調理を行った際に起こる副作用で、頭に覆い被さったなべが取れなくなる奇病です。治療するには専用の病室で強力な磁石を使い、頭のなべを無理矢理引っこ抜きます。一見乱暴ですが、これが最も理にかなった治療法です。

 「ロックでなし病」という奇病も存在します。これは患者が自分自身を有名なロックスターだと思い込んでしまう、大変深刻な病です。治療するには、優秀な精神科医がカウンセリングし、患者に自分はロックスターではないという残酷な現実を理解させる必要があります。

 その他にもピエロコンプレックス「ボグワーツ・ポッター症」フロイト症候群自撮り貴族症」8ビット化」など奇病のオンパレードです。これらは病名も症状も悪ふざけのように見えなくもありませんが、長期間放置したり治療に失敗すると、患者が死に至る場合もある大変深刻な病なのです。病院では常に適切な対処が求められます。

医は仁術か、それとも算術か!?

 病院を運営するプレイヤーに対しては、常に幾つかの目標が設定されます。

<一定人数の患者を完治させる>
<病院の評判を一定%まで上げる>
<病院の価値を一定金額まで上げる>
スタッフの満足度を一定%まで上げる>
<一定人数のスタッフに研修を受けさせる>

 などなど。
 目標を達成すると「星」を獲得し、「星」を一定数獲得すると新たな病院がアンロックされ、運営できる病院の数が増えていきます。郊外の小さな病院からスタートし、患者を診つつも病気の研究も行う大学付属病院、雪深いリゾート地の病院、都市部に居を構える大病院まで、運営方針の違うさまざまな病院が用意されています。

 各病院には運営方針にそった目標が設定されているので、ひとつひとつステージクリアするように、それぞれの病院で「星」を獲得していってください。目指すは、もちろん最高級の3つ星病院です。

 序盤の難易度は緩いものです。求められる施設を適当に建設して、適当に職員を配置すれば病院はそれなりに運営されていきます。トラブルも多少起こりますが、正直、鼻歌交じりの対処でなんとかなるレベルです。しかし、ここを漫然と進めていては先が思いやられます。病院が牧歌的な雰囲気であるうち、運営のイロハをしっかり学ぶ必要があるでしょう。

 中盤以降の難易度は、一筋縄ではいきません。牧歌的な雰囲気は消え失せ、病院はまさに戦場と化します。病院に大量の患者が押しかけ、受付や診察室の前には長蛇の列ができ、長時間待たされた患者たちは不満を溜め、怒って帰ってしまう場合もあります。対応を誤ると医療崩壊へ一直線です。

 人が増えたことによって、病院内は汚れが目立つようになり、自販機の在庫は切れ、ゴミ箱はあふれ、トイレは詰まって使用できなくなる場合もあります。ときには、治療中に死亡した患者が幽霊になって出現、なんてトラブルも起こるのです。そうなれば、当然病院の評判はガタ落ちになります。

 問題解決には、設備の増設とスタッフの増員が不可欠です。
 とはいえ病院の大きさには有限。敷地を購入して拡張することも可能ですが、限りがあります。なんでもかんでも好きなだけ設備を作れるわけではありません。必要なものと、そうでないものの見極めをしっかり行ってください。

 場合によっては、あまり患者の多くない病気の治療設備を作らず、その病気の患者にはお引き取りを願う、くらいの割り切りが必要かもしれません。すべての患者を救おうという姿勢は立派ですが、選択と集中も大事です。経営者である以上、ときには非情な決断も求められます。

 スタッフの増員も野放図には行えません。能力の高いスタッフが多いほど運営は円滑になりますが、優秀なスタッフは当然のことながら給与が高くなります。能力が低く給与の安いスタッフ多めに雇い、研修で育成するという方法は経済的ですが、戦力となるまで時間がかかるうえ、能力が上がった以上、最終的に給与を上げざるを得ません。

 人件費というものは、常に経営を圧迫するものです。ときには給与が高くなりすぎたスタッフリストラし、経営を健全化する必要もあるかもしれません。医は仁術といいますが、ときには算術も重要ではないでしょうか。

追加コンテンツもまとめて収録! 遊び応えは計り知れない!

 もともと経営できる病院の数や設置できる設備、装飾アイテムなどが豊富に用意されている『ツーポイントホスピタル』。ですが、4つの拡張ダウンロードコンテンツと2つの追加アイテムパックが最初から収録されていることもあり、そのボリュームの相当なものです。
 さらに、マップや患者の傾向、予算などを詳細にカスタムして遊べるサンドボックスフリープレイモードもあるので、治療が整然と行われ管理が隅々まで行き届いた夢のような病院から、患者やスタッフの怨嗟の声が鳴り止まない悪夢のような病院まで、幅広く自在に経営できます。

 病院というものは患者として通うよりも、経営するほうが健康的で愉快なものです。みなさんもぜひ『ツーポイントホスピタル』をプレイして、経営する側に回ってみてはいかがでしょう?

【公式】ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション公式サイトはこちら

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