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4人目の自殺者が出て閉鎖となったニューヨークの大規模観光施設「ベッセル」
 ニューヨーク・マンハッタンのハドソンヤードにある複合大型施設「ベッセル(The Vessel)」は、蜂の巣型のユニークな形状から人気の観光名所だったのだが、7月29日の午後、14歳の少年が頂上部分から飛び降り死亡した。

 2020年2月にオープン以来、ベッセルで自殺者が出たのはこれで4人目となり、現在2度目の閉鎖中だ。

 今年1月に3人目の自殺者が発生して以降、一時的に閉鎖されていたが5月に再開。入場者を2名以上のグループにし、警備員数を増加するなどより安全対策を強化していたものの、更なる悲劇が起こってしまった。

【NYの人気観光名所「ベッセル」で4人目の自殺者】

 マンハッタン史上最大の再開発プロジェクトとして2012年12月に着工されたハドソンヤード地区の複合大型施設は、大型ショッピングやレストラン、カフェ&バー、ホテル、展望台「エッジ」、劇場や映画館などの文化施設が揃った最新の観光名所だ。

 中でも、一番人気なのは英国人デザイナーのトーマス・ヘザウシック氏がデザインした「ベッセル」だ。

 高さ45メートル、8階建て構造のらせんインスタレーションは、2500の階段と80の踊り場のみで構成されたユニークなハチの巣型オブジェとなっており、頂上からはマンハッタンやハドソン川を一望できる。

ガラス製の柵の高さに問題が?

 ベッセルには、全体に手すり付きのガラス製の柵が設置されているが、高さは大人の腰から胸程度と決して高くはない。

 そのため、ガラスの障壁を飛び越えて訪問者が自殺するという痛ましい事故が2020年2月のオープン以降3件発生していた。

 今年1月に3人目の自殺者が出たベッセルは一時的に閉鎖し、5月に再開。

 その際には、入場者を2人以上のグループに限定し、警備員を3倍に増加するなど安全対策を強化していた。

 ところが、7月29日に4人目の自殺者が出たのだ。

Walking NYC : The Vessel at Hudson Yards

今後、永久的に閉鎖の可能性も

 7月29日ニュージャージー州から来た14歳の少年が、ベッセルから飛び降り自殺をした。

 メディアが伝えたところでは、少年は両親と妹、祖母との家族5人で入場したが、午後1時頃に頂上部分から障壁を超えて飛び降り、その場で死亡が確認されたという。

 この事故で、ベッセルは再び閉鎖を余儀なくされた。

 ハドソンヤードの複合大型施設の開発を手掛けたスティーヴン・ロス氏は、今回の再びの悲劇について、このように話している。
こうしたことが、どのように起こり得るのかを実際に予測することは非常に難しく、遺族のことを思うとただ胸が痛みます。

可能な限り、全ての安全対策を講じたいですが、現段階では閉鎖する以外に選択肢はありません。

 4人の自殺者を出したとして、ベッセルは今後永久的に閉鎖となる可能性があると、ロス氏は示唆している。

 一方、ハドソンヤードのスポークスパーソンは、「29日の件については現在調査中」と述べている。

 総工費2億ドル(約220億)をかけて設計・建設されたベッセルは、ハドソンヤードの人気の名所となっていただけに、オープンからわずか1年余りで4人もの自殺者が出る悲劇に見舞われたことは、開発側にとってはまさに予測不可能な悲劇だろう。

 一部の批評家からは、「障壁の高さを上げることが、唯一将来の悲劇を防ぐ方法では」という声もあがっているという。

 このまま永久的に閉鎖となってしまうのか否かについては、現時点では公式発表はなされていない。

Top image:Epicgenius/ WIKI commons References:Teen jumps from the NYC Vessel in front of stunned family - New York Daily News / written by Scarlet / edited by parumo

 
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