大手予備校・学校法人河合塾名古屋市)の世界史講師が不合理な雇い止めにあったとして、法人に地位確認などを求めた訴訟の判決が8月5日、東京地裁であった。

春名茂裁判長は「被告が原告の申し込みを拒絶したことは、『客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない』場合に当たらない」として請求を棄却した。

判決後、東京・霞が関厚労省記者クラブで会見を開いた原告の岡田浩一さん(62)は、「『汝自らを求めよ』という創立者の言葉を自らが実践するという形でこれからの裁判にも取り組んでまいりたい」と控訴する方針を示した。

授業2コマ減らされ

判決文などによると、岡田さんは1994年、学校法人河合塾世界史講師として採用され、1年間の有期雇用契約の更新を繰り返していた。

2016年には、浪人生向けの90分授業を週6コマ、現役生(高校生)向けの150分授業を週2コマのほか、夏期・冬期講習などを受け持っていたが、2017年3月に示された2017年度の契約では、浪人生向けの6コマが4コマに減らされた。

河合塾がコマを減らした理由は、(1)生徒を対象に行った授業アンケートの結果、前年度2学期の評価が1学期よりも下回っていた、(2)岡田さんが校舎内で「河合塾に労使協議会をつくりましょう」などと書かれた名刺を配布したことが懲戒事由に当たる、だった。

岡田さんは「コマの減少は不当である」などとして契約書への署名・捺印を拒否し前年度と同じ条件での雇用契約締結を求めたが、申込みは拒否され、そのまま契約は終了した。

判決内容は

判決は、岡田さんが少なくとも講座を複数担当する内容での契約更新がされると期待することについて合理的な理由があるとした(労働契約法19条2号)。

その上で、河合塾が岡田さんの更新申し込みを拒絶したことが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないかについて検討した。

授業アンケート結果などを理由に1コマ減を提示したこと、懲戒事由に当たる名刺配布行為をしたためさらに1コマ減を提示したこと、コマ減提示が他の講師との間でも均衡を欠くものではないことなどから、「客観的合理性があり、社会的相当性を有する」と認め、雇い止めは有効とした。

原告代理人の指宿昭一弁護士は「塾講師であっても、有期雇用の契約更新を期待することについて合理的な理由があると認められた点はいい判決だ。結論は不当だが、裁判所は途中まで丁寧に検討し、こちらの主張を7〜8割認めてくれた」と話した。

河合塾は「詳細を把握していないので、コメントできない」としている。

「雇い止め」訴えた河合塾元世界史講師が敗訴 「コマ数削減提示は合理的理由がある」