放送中のTBS系連続ドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(毎週日曜 後9:00)で主演を務める俳優・鈴木亮平さん。同ドラマは、最新医療機器とオペ室を搭載した大型車両「ERカー」で、重大事故や災害現場などの緊急事態に駆けつけて救命処置を施す救急救命チーム「TOKYO MER」の活躍を描いたストーリーで、鈴木さんは「TOKYO MER」のチーフドクター・喜多見幸太を演じています。

 近年は主演作も増え、さまざまな作品での活躍が続く鈴木さん。その特徴や魅力について、作家・芸能評論家の宝泉薫さんに聞きました。

役作りへの高い熱量

 鈴木さんは2006年7月期に放送されたドラマ「レガッタ~君といた永遠~」(テレビ朝日系)で俳優デビュー。以降、「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」「メイちゃんの執事」「全開ガール」(いずれもフジテレビ系)などのドラマに出演し、俳優としてのキャリアを重ねていきました。

 2013年には主演映画「HK 変態仮面」が公開され、その後、続編が製作されるなどのヒットを記録。翌年、出演した朝ドラ花子とアン」(2014年前期)でヒロインの夫役を務めたことで注目を集め、その後も「天皇の料理番」(TBS系)や「東京タラレバ娘」(日本テレビ系)、映画「海街diary」「俺物語!!」など、話題作への出演が相次ぎました。

 2018年には、大河ドラマ初出演にして主演を務めた「西郷どん」(NHK総合)で西郷隆盛を演じ、俳優としての地位を不動のものに。昨年1月期に放送されたドラマ「テセウスの船」(TBS系)では、作品のヒットとともに大きな反響を呼び、その演技力が高く評価されました。

 これまで、多くの作品に出演し、さまざまな役柄を演じてきた鈴木さん。宝泉さんは「役作りに対する超人的な才能は俳優の中でも群を抜いている」と評します。

「『俺物語!!』『天皇の料理番』で体重を増減させたりと作品ごとに体格を変え、役作りに対する思いがずば抜けているように感じます。これを可能にしているのは、本人の役者としての情熱や真面目さからくるものであり、この役作りに対する熱量はスタッフからの信頼感や期待感にもつながり、近年、出演作が絶えない理由の一つであると考えられます」(宝泉さん)

 宝泉さんは、鈴木さんの俳優としての特徴についても言及しています。

「少し前までは脇役、個性派の役者という印象が強く、また、バラエティー番組などに出演した際には『変態仮面』のキャラクターでいじられたり、世界遺産好きがフィーチャーされるなど、本業以外のことが注目されることも多かったように思います」

「しかし、近年は主演作も増え、スタッフからの信頼感はもちろんのこと、座長としての風格のようなものも出てきているように感じます。また、朝ドラ花子とアン』への出演は一つのターニングポイントで、鈴木さんの特徴でもある“優しい目”がヒロインの相手役として見事ハマり、その包容力が視聴者の癒やし的存在にもなったのではないでしょうか」

“作品で勝負”ができる俳優

TOKYO MER~走る緊急救命室~」の好調ぶりについて、宝泉さんは鈴木さんの力によるところが大きいと分析しています。

「医療ドラマということもあり、熱くなりすぎてはいけない役どころですし、シーンによっては少し抑えめに演技したり、ほっこりするような場面も作中では見られるなど、ドラマ全体のリズムやトーンを作り出している演技が目を引きます。もはや、円熟味さえ感じる演技力で、これまでの経験からも自信を得ているのでしょう」

「また、ドラマはアイドル的な目線のファンがいるイケメン俳優がキャスティングに挙がりやすいですが、鈴木さんについては、固定ファンをあてにしない“作品で勝負”ができる俳優でもあります。この鈴木さんの力はまさに『日曜劇場』にはうってつけの存在で、今作が好調なのも納得の理由ですし、人間力の高さが表れているように思うのです」

 宝泉さんは、鈴木さんの今後についても大きな期待を寄せています。

「鈴木さんのもう一つの特徴として、後輩たちを引っ張っていく“アニキ”的存在の一面もあるように感じます。そのような特徴から、学園ドラマの教師役として、生徒たちを引っ張っていくような姿は絶対にハマりますし、『ドラゴン桜』の阿部寛さん、『3年A組』の菅田将暉さんのように、役者の先輩後輩という間柄でもいい相乗効果が生まれるのではないでしょうか」

「また、もう一つの期待としては今だからこそ、もう一度、脇役で味を出す演技も見てみたいです。主演でなければオファーできない俳優になるよりも、脇役もこなせる総合力の高い姿を見せることができれば、この先もオファーが絶えない、重宝される俳優になれるはずです」

オトナンサー編集部

鈴木亮平さん