ジェネシス・ベランジャーは、パステルカラーを基調に炻器を用いて立体作品を制作。形状には人間の身体的造形を取り入れることが多く、鑑賞者にどこかしら親しみが湧くヴィジュアルを提示する。ポップなその作品には、進歩しつつも停滞する社会におけるジェンダー問題への指摘や、大量消費主義への批判をはじめ、巧妙なアイロニーが込められている。

ジェネシス・ベランジャー 『Wild Intervention』 (2021年) Photo :Pauline Shapiro Courtesy of the artist and Perrotin.

本展では、英語の慣用句“one man’s trash is another man’s treasure”(誰かのゴミは、誰かの宝)に由来したタイトル「Another Man’s Treasure」のもとに作品を展示。会場は、ストリートマーケット、つぶれた花屋、収集待ちのゴミなど、都市生活からインスピレーションを得た複数の作品によって構成されている。
また、別の展示室には一台のデスクが置かれ、職場の送別会を示唆するような作品展示となっている。

Exhibition view of Genesis Belanger “Another Man’s Treasure” at Perrotin Tokyo. Photo by Kei Okano. Courtesy of the artist and Perrotin

こうした一連のシーンをとおして、ベランジャーはオブジェクト一つひとつの間に介在する精神的な関連性を空間として表現。鑑賞者に“ゴミか宝か”という判断を探求させるとともに、“豊かにする経験”と“衰退させる経験”の認識を問いかける。淡い色彩、さりげない擬人観、廃れて必要とされない対象への愛情など、全体にメランコリックな雰囲気を漂わせている。

まるで鑑賞者を宝探しに誘うかのような、ジェネシス・ベランジャーの注目の個展。その独自の世界観を、どうぞお見逃しなく!

※掲載情報は8月7日時点のものです。
開館日時など最新情報は公式サイトをご確認ください。

ジェネシス・ベランジャー「Another Man’s Treasure
会期/2021年7月28日(水)〜9月15日(水)
8月8日(日)〜16日(月)は夏季休廊
会場/ペロタン東京
住所東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1F
開館時間/火〜土 12:00〜18:00
※予約制
URL/https://leaflet.perrotin.com/view/119/another-mans-treasure