
2児の母になり、芸能活動をセーブしていた安倍なつみが、映画『パウ・パトロール ザ・ムービー』の吹き替え声優として、約3年ぶりにメディアへ露出。10代の頃からみんなに愛されてきた「なっち」が8月10日には40歳を迎えるという節目の年でもある。そこで改めてこれまでの活動を振り返るとともに、母としての生活、これからの活動について話を聞いた。
【写真】40歳になっても変わらない“かわいらしさ” 安倍なつみ 撮り下ろしカット
■モーニング娘。のステージと同じハイテンションで声優に挑戦
――前情報を入れずに映画を拝見したのですが、本職の声優さんたちの中で、安倍さんがどの役を演じていたのかすぐにわからず、本当にお上手で驚きました…。
安倍:本当ですか!? ありがとうございます。声優のお仕事は今までに何度か経験をしているのですが、ハリウッド作品は初めてで。しかもスパンがあいていたので、声の出し方、テンションなど、悩みながら挑みました。でも、やってみたら全然違っていて、監督のご指導で勉強になったことがたくさんありました。
――最初からスムーズだったわけではないんでんすね。
安倍:私の演じているダックスフンドのリバティはすごくエネルギッシュなキャラ。自分ではこれでもかというくらいの声とテンションで臨んだんですが、監督には「いやいや、まだテンション低いね」と言われ、「すみません! 頑張ります!」という繰り返しでした。モーニング娘。の現役時代にファンの皆さんの前でパフォーマンスするときくらいのテンションを求められた感じです。私が今出せるエネルギーは全部ぶつけようと必死だったので、現場で見ていたマネージャーは「手も体全体もすごく激しく動いていた」と驚いていました(笑)。
――収録期間中は家に帰ってもテンションの高いお母さんでしたか?
安倍:そうですね。初日に興奮状態で「ママね、今日こういうのやって来たんだよ!」と子どもたちの前でセリフを何フレーズかやってみたときには、圧倒された顔をしていましたね(笑)。
――4歳と2歳のお子さんもこの作品のファンだそうですが、本作についてお話しされましたか。
安倍:子どもには映画館で観せたいし、楽しみにしてほしいので、詳しくは教えていないんです。家では子どもには内緒でこっそり夜な夜な練習していました。日中だと「ママ何やってるの?」とすぐ来てしまうから難しくて。私が作品に参加することだけは話しましたが、リバティは映画からの新キャラクターで、持っているグッズとか絵本にはいないので、「ママはどれなの?」と聞かれる度に「これから仲間に入れてもらうんだよ」と説明してます。
■子どもへの読み聞かせは夫婦それぞれ鼻歌まじりで色濃くアレンジ
――お子さんへの読み聞かせをよくされるそうですね。お母さんとしての経験が声優仕事に生きたところもありますか。
安倍:いつも読み聞かせはしてますね。私、最近、絵本の内容に感情移入しすぎて泣いてしまって、子どもが「ママ、どうしたの?」と心配するんです(笑)。子どもは集中力がすごくて、登場人物になりきって聞きますし、感受性も豊かなので、「こういうところに注目するんだ」などと大人には全く読めない感心することばかり。子どもたちには、ごまかしがきかないですよね。大人が本気で挑んだものはダイレクトに伝わるから、そこは一番意識した点です。
――夫・山崎育三郎さんとご夫婦で読み聞かせすることもありますか。
安倍:はい、いつもママパパどっちに読んでほしいかを含めて、子どもたちからリクエストされるんですが、すごく色の濃いものになってしまうんです(笑)。ママもパパも鼻歌まじりでやるのでミュージカルみたいだし、それぞれアレンジが入るんです。私が読み聞かせした同じ絵本を、次の日に夫が寝室で読み聞かせしているとき、私は翌日の準備などしながら聞いていて、「あのシーン、こうやったか!」なんて思うこともあります(笑)。
――なんと贅沢(ぜいたく)な読み聞かせ! そのうちにお子さんも聞く側じゃなく、ご両親のように出演する側になりたいと言いだすのでは?
安倍:どうですかね?(笑) 私自身は子どもに芸能をやってほしいとか全然思っていないんですよ。私たち自身が全力を注いで楽しんでいる感じです。
■なっちが今年40歳 ドリ娘。第2章の可能性は――「みんないけるかなあ(笑)」
――休業期間に、芸能界を外からどのようにご覧になっていましたか。また心境や考え方に変化は?
安倍:お休みしたことで、改めて本当に幸せなお仕事だなあと思っていました。自分の夢ややりたいことを実現できて、なおかつ人の心を動かすことができるだなんて、何にも代えられないお仕事だなと、さらに感謝が芽生えました。たくさんの人が関わって一緒にモノを作る中で、関わる一人一人に人生があり家庭があって…やっぱり子どもを育てる上でいろいろ見方が変わった気はします。結婚前までは自分のことだけを考えていればよかったのですが、選択の仕方も考え方も、今はまず子どもが楽しめるか、家族はどう感じるかを踏まえて判断したり動いたりしています。
――モー娘。時代はセンターで、自分の個を出すことを求められる機会も多かったでしょうし。
安倍:まわりはセンターとかモーニング娘。の顔とか言ってくださいましたが、自分ではそういう意識はなくて。私は器用じゃないので、一つのことにのめり込んでしまうとそれだけで頭がいっぱいになりがちでした。今もそういう部分はあるのですが、子どもをちゃんと見たいという気持ちと主人のことと、お仕事と、バランスよくできる気がしなくて、お仕事を少しお休みしたところは大きいです。
――10年前にOGの方々による期間限定ユニット「ドリームモーニング娘。」で活動された時はファンの方も喜ばれたと思います。あの時は<第一章>とのことでしたが、今後<第二章>の可能性はいかがですか?
安倍:私もコロナ禍でメンバーと全然会えていないので、とても会いたいんです。また何かみんなでできたらとは思いますが…どうでしょう、みんないけるかなあ(笑)。
――安倍さんご自身は40代になりますが、本当に10代から変わらないですよね。
安倍:いやいや、すごく変わっているんですよ! それが現実(笑)。ただ、自分で考えていた40歳はもっと大人で、完成されていて、何でもできるイメージでした。でも、今の自分はまだまだ未熟で、年齢に全然追い付いていない。だから、40歳というと「へえ、そうか…」という他人事みたいな感じなんです。30代はあっという間でしたね。
――40代でやってみたいこと、チャレンジしたいことは?
安倍:そうですね…私自身でなにかをというより、もし叶うなら、家族で海外旅行に行きたいです。今はコロナ禍で難しいですが、海外に移住しているお友達もいて「おいで」と言ってくれているので、子どもたちが小中学生になる頃には、歴史や文化を学びながら食べ物も楽しみつつ、長期で滞在をしてみたいですね。(取材・文:田幸和歌子 写真:ヨシダヤスシ)
映画『パウ・パトロール ザ・ムービー』は8月20日公開。

コメント