
ETFやディフェンシブ銘柄を自分で買う方が、手数料や税金を加味しても利益も出やすそう
ファイナンシャルプランナーの仕事をしていると、「iDeCoを活用した方がいいでしょうか?」「iDeCoとは何でしょうか?」といった質問をよく受けます。iDeCoとは、簡単に言えば、「自分で決めた金額を毎月積み立てて、金融商品などで運用し、60歳以降に受け取る年金」のことです。公的年金とは別もので、「個人型確定拠出年金」と呼ばれています。
意外と大きなデメリット
一方で、デメリットは(1)原則60歳まで引き出しができないこと、(2)金融商品の手数料がかかること、(3)利回りが低いこと、の3点です。
先にメリットである「節税」について解説します。
まず、掛金が所得控除となります。そして、利息や運用益にかかる税金も非課税になります。所得税は課税所得額に応じて5~45%、住民税は10%節税できます。
例えば、iDeCoの掛け金を月1万円にした場合で、所得税控除が20%、住民税10%が控除だと仮定します。
この場合、年間の掛け金は、1万円×12ヵ月=12万円となります。
所得税の控除は12万円の20%=2万4000円
住民税の控除は12万円の10%=1万2000円
合計で3万6000円が控除され、それだけ税金が安くなります。
次にデメリットです。
まずは(1)60歳まで引き出しができないこと。
例えば病気で手術費が必要になっても、お金を引き出すことはできません。もし仮に大卒社会人の場合、23歳から積み立てると引き出しは37年後からになります。37年後に手に入る1万円と比べると、すぐに使える1万円の方が価値は高いです。お金をロックされるのは大きなデメリットです。
(2)金融商品の手数料や信託報酬などについては、たとえば
iDeCo加入時にかかる手数料 2,829円
積立時にかかる毎月の手数料 500円前後
iDeCoを他の年金に移す場合の手数料 3,000円
受取時にかかる毎回の手数料 440円
投資信託の場合にかかる各種信託報酬などの手数料
が必要です。
最後に(3)利回りについてですが、iDeCoの通算運用利回り(年率)の平均は、0.6%(前回2.3%)となっています(※編注)。
他のものと比べてみましょう。
ETF 平均年利回り 2?3%
日経平均配当年利回り 1.91%
米国株平均配当年利回り 2.39%
関西電力配当年利回り(予想) 4.77%
東京ガス配当年利回り(予想) 2.93%
これに手数料も考えると、iDeCoの利回りは随分低い印象を受けます。
なお、ETFとは上場投資信託のことで、簡単に言えば、パッケージ化された銘柄のことです。トヨタ自動車の株を買うと当然ですが、トヨタ自動車にしか投資ができません。しかし、NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信であれば、日経平均(業種などのバランスを加味して日本経済の指標となるように選んだ日本の企業225社の株価)に選ばれた株をまとめて買うことができるので、分散投資ができます。またインフラや銀行などのディフェンシブ銘柄であれば、景気に左右されにくいですが、配当は年利回りで3~4%ほどあります。
私なら、iDeCoに加入して毎月1万円の投資を依頼するよりも、自分で毎月1万円分のETFやディフェンシブ銘柄を買います。ETFやディフェンシブ銘柄を自分で買う方が、手数料や税金を加味しても利益も出やすそうです。時間もそれほど取られないし、手数料もかかりません。またiDeCoの最大のデメリット「60歳まで引き出せない」がありません。ETFやディフェンシブ銘柄を売って、証券会社から出金するなら、早ければ当日でも可能です。
iDeCoが気になっているという方は、この機会に、様々な金融商品のメリットやデメリットを比較・検討してみるといいのではないでしょうか。
(※企業年金連合会 会員サービスセンター 政策企画課が発表している2019(令和元)年度決算確定拠出年金実態調査結果より)

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