2021年8月4日発表のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”では、ジャニーズWESTの「でっかい愛」が首位を獲得した。この曲は7月28日リリースされた彼らの新曲で、メンバー重岡大毅が主演するテレビドラマ#家族募集します』の主題歌でもある。そのためCDの売上数も19万9千枚と好調で、BTSを始めとする2位以下の競合に勝てたのは、さすがジャニーズといえるだろう。

 しかし、ポイントの内訳を見てみると、CDの売上数とレンタルの指標になるルックアップ(PCによるCD読取数)以外はそれほど大きな動きはない。Twitterは14位までじわじわと上がってきているが、ラジオのオンエア回数や動画の再生数も目立った動きはないし、もちろんダウンロードストリーミングなどの配信もない。言い換えると、CDを買うかレンタルで借りた特定のユーザー以外には届いていないということになるだろう。

 ジャニーズは配信を行わないことを、ある種のステータスとしてきたのは確かだ。そうすることによってファンを囲い込み、しっかりとCDを売るという図式は、ビジネスパターンのひとつとしては有効なのだろう。ただ、そうなるとコアなユーザーにしか届かず、それ以外の音楽リスナーにはなかなか行き渡ることがない。もちろん、そこはテレビの歌番組出演などで補完するのだろうが、アイドルグッズ的な売り方ではなくもっと音楽的な側面でヒットを出したいのであれば、非常にもったいない。

 ジャニーズは楽曲制作においてクオリティが高いことは、ジャニーズファン以外にもよく知られている。古くはSMAPも音楽的な側面で洋楽を含む音楽マニアも魅了してきたし、V6や嵐も例外ではない。とくに嵐はストリーミングを解禁したことにより、彼らの楽曲の良さを再認識したという海外も含めたコアな音楽ファンは結構多い。もちろん、闇雲にストリーミングを解禁すればいいわけでもないし、それによってCDが売れなくなるリスクもある。そのあたりのさじ加減は難しいが、長い目で見ればストリーミングで多くのユーザーに聴いてもらうチャンスを作ることこそ、これからのグローバルなヒット作りには重要だ。単純にプレイリストに入れ込んでヒット曲として聴かれることはもちろん、TikTokなどの動画に使われてバズる可能性もある。こういった昨今のヒットの可能性からジャニーズの楽曲はあまり縁がないし、万人に受け入れられるようなポップな楽曲であるとしたら、尚更もったいない。

 ジャニーズWESTは、今回のシングルで20万枚近くの売り上げがあったとはいえ、前作、前々作に比べるとセールス数は若干下がり気味のようだ。そういったことからも、そろそろ配信とどう向き合うかを考えた方が良い時期に来ているのかもしれない。そしてこの問題は、ジャニーズに限らず未だにストリーミングに参入していないアーティストすべてにおいての課題でもある。海外も含めて音楽ファンのマーケットを網羅するには、今やストリーミングは必須。ガラパゴス的なヒットの図式にとどまらず、もっと可能性を広げるためにも配信を活用しない手はないのではないかと思っている。

Text:栗本斉

◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。