マリオカート64RTAリアルタイムアタック)走者・Daniel Burbank氏8月9日(月)、作中の16コース全てのタイムアタックにおいて、同作史上初の完全制覇を達成した。1周と3周のタイムを計測する両レギュレーションでのグランドスラムを果たした氏は計32部門の世界記録保持者となる。この偉業の背景では、往年のライバルとの熾烈なデッドヒートが繰り広げられていた。

 『マリオカート64』のベテラン走者として長きにわたる挑戦を続け、2021年7月には30部門の制覇を遂げたBurbank氏。グランドスラム達成まで残り2部門と目前に迫るも、往年のライバル・Matthias Rustemeyer氏が生んだシャーベットランド」3周レギュレーションの世界記録“1分55秒07”の壁は厚く、わずかコンマ数秒を超えられずにいた。

 ちなみに本レギュレーションでは1秒間30フレームのPAL方式が採用され、ショートカットの使用は不可となっている。

 そんな挑戦の模様を連日Twitch上で配信していた氏が歓喜の声をあげたのは8月9日ヨッシーを使って世界記録タイの“1分55秒07”を叩き出した氏は「ついに…ついに終わったんだ…!」と叫び興奮を露わにした。ここまでの道のりは本作のコースと同様、決して平坦なものではなかっただけに喜びにも熱が入る。

(画像はYouTubeより)
(画像はYouTubeより)

 氏のライバルとして火花を散らしてきたRustemeyer氏もまたベテラン走者のひとりだ。かつてRustemeyer氏も完全制覇にあと一歩のところまで迫っていた。2013年には28部門を制した氏のグランドスラム達成を阻止するため、有志走者らが「反Rustemeyer同盟」を結成した歴史からも氏の伝説的な強さが伺える。

 人類未踏の偉業を果たした今回のBurbank氏の記録も、うち13部門がRustemeyer氏のタイムと並ぶもの。どちらも日々ベストを更新し合う譲らぬ接戦の末、最後にタイ記録によって完全制覇を遂げたのも両者の極限まで突き詰めた技術を象徴するようだ。

 だが一方で、Burbank氏には批判も寄せられた。氏はしばらく自身の記録を非公開にしたまま影でテクニックを磨いていたのだ。厳密にはチートに該当しないものの、他の走者を出し抜く「透明性とフェア精神に欠ける行為だ」とコミュニティから指摘を受けた氏は、フォーラムサイトに長文を投稿し「自己中心的な行いだった」と陳謝の言葉を述べた。

(画像は「Mario Kart MB」より)

 こうした騒動もまた、氏の記録に対する高い関心を示すものだろう。2人のレジェンド走者が出した“1分55秒07”というタイムが更新され、Burbank氏が再びチャレンジャーの座に舞い戻る日は訪れるのか引き続き注目したい。

ライター/dashimaru

Burbank氏のTwitchチャンネルはこちら