泣き虫が、東阪ツアーTOUR 『東京驚異。』】のファイナル公演を、8月1日東京・恵比寿LIQUIDROOMにて開催した。

 今回のツアーは、今年2月にリリースした1stフルアルバムrendez-vous』を引っ提げた東阪ツアーツアーファイナルとなる東京公演は、泣き虫史上最大規模のキャパシティとなる恵比寿LIQUIDROOMにて行われた。ステージ上には、4枚のパネルモニターがそれぞれバンドメンバーを隠すように設置され、開演前にはツアータイトルである『東京驚異。』の文字が一文字ずつスクリーンに映し出されていた。

 開演時刻になり、パネルモニターの合間から泣き虫が登場。暗闇の中で小さくお辞儀し、ライブスマッシュヒットを記録した「大迷惑星。」からスタートする。ステージ背後のピンスポットライトが、アコースティック・ギターを抱えた泣き虫のシルエットを浮かび上がらせ、神秘的なムードを作り出す。曲初めは歌とピアノメインシンプルな編成で、泣き虫のトレードマークである鮮烈なハスキーボイスが、楽曲の持つ切ないイメージありありと表現する。2曲目「くしゃくしゃ。」も、「大迷惑星。」と同じくストリングスが印象的なバラードで、オーディエンスはその世界観に静かに耳をすませていた。

 MCを挟み、アニメ東京リベンジャーズ』のエンディングとして現在オンエア中の「トーキョーワンダー。」へ。エレキギターに持ち替え、歪んだギターサウンドを会場中に鳴り響かせる。1,2曲目では優しげな雰囲気を纏っていた歌声も、バックのオケが変わると途端に刺々しさが増す。ノリの良い曲調だが本人はどこかダウナーな印象で、オーディエンスの見えないところで沸々と闘志を燃やしているような、独特な凄みがあった。この“得体の知れない熱さ”が、彼がリスナーを惹きつけてやまないポイントの一つなのかもしれない。

 「気分転換に弾き語りやっていいですか?」と客席に問いかけた「207号室。」では、情けなさやだらしなさを、これほどまでに生々しく歌い上げる。続く「cider」では、メロウトラックの上でラップを披露し、シームレスに「アルコール。」へと繋げた。また「ケロケ論リー。」では、ファンキーなギターのカッティングに乗せ、流れるようなフロウを展開。バラードロック弾き語り、そしてR&Bと、一つのジャンルにこだわらず、あらゆるスタイルを臆することなく取り入れていく様からは、彼の表現に対する貪欲さを強く感じた。

 セットリスト終盤は、エネルギッシュな楽曲が続く。Adoとのコラボレーション曲「Shake It Now.」は、2人分のパートを泣き虫1人で担当。次から次へと畳みかけるような歌メロに、息継ぎをするのも大変そうに見えたが、その必死さが逆にライブならではの緊張感をもたらしていた。そしてラスト2曲は、泣き虫の独特なリリックセンスが光る「君以外害。」、yamaに楽曲提供したポップな一曲「Hello/Hello」で本編はフィニッシュ。「Hello/Hello」のサビでは、続々とオーディエンスの腕が上がり、声が出せないなかでも盛り上がりを見せた。

 アンコールでは、地元の海で作った楽曲だという「21g」を弾き語りで披露。続く「カエル。」では、本来はコールレスポンスをしたかったフレーズクラップに置き換え、"コールハンドレスポンス"を敢行した。何度か練習を重ねたおかげで、本番(曲中)ではしっかりクラップが揃い、泣き虫も「文句ないですね! 次はもっと複雑にしておくんで(笑)」と、満足気な表情を見せた。一体感を作り出した後は「寝れない電話のうた。」で、エモーショナルにエンド。最後の力をすべて出し切るように、髪を振り乱しながらエレキギターをかき鳴らす泣き虫。歌い終えると、力が抜けたような声で「ありがとうございましたー」と客席に手を振りながら、軽やかにステージを去っていった。

 以前インタビューで「この先は(中略)バンドもやりたいし、トラックで歌うことも続けたい。好きなことをやりたいという欲はすごいかも。」(引用元:泣き虫「rendez-vous」インタビュー|謎に包まれた新世代アーティストの独特なモットー - 音楽ナタリー)と語っていた泣き虫。この日のライブはその言葉通りのバラエティに富んだセットリストで、彼の音楽への実直な好奇心がよく表れていたライブだったと思う。これからどんな風に泣き虫のライブが進化していくのか、その行く先に期待したくなるような一夜だった。

Photo:後藤壮太郎


◎公演情報
TOUR 『東京驚異。』】
2021年8月1日(日)
東京・恵比寿LIQUIDROOM
セットリスト
1.大迷惑星。
2.くしゃくしゃ。
3.トーキョーワンダー。
4.からくりドール
5.207号室。
6.cider
7.アルコール
8.ケロケ論リー。
9.心配性。
10.Shake It Now.
11.君以外害。
12.Hello/Hello
En1.21g
En2.カエル
En3.寝れない電話のうた。

<ライブレポート>泣き虫、得体の知れない熱さを見せた【東京驚異。】ツアーファイナル