「これもメダルがあってこそかしら」そんな風に私がいぶかっていたのは月曜日、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で東京から帰国したオリンピック代表の銀メダル祝勝会というか、慰労会が開かれると知った時のことでした。いやあ、ユーロやW杯でスペインが準優勝だったケースを見たことがなく、今回のユーロ2020でも準決勝敗退だったため、大人のチームはマドリッドに戻って即解散だったんですけどね。最近ではコロナワクチン接種がかなり行き届いてきたのもあってか、大人数が参加するイベントも珍しくなくなってきたんですが、でもお、ホールに入って、皆が着席する前、協会関係者や選手たちの家族で密になった通廊スペースで、アペリティブ(おつまみ)やドリンクを提供していたのはちょっと不用心ではない?

だってえ、オリンピックは終わったとはいえ、今週末はもうリーガが開幕するんですよお。いえ、中にはフライトを決勝翌日の日曜に早め、夜にはバレンシア(スペイン南東部のビーチリゾート)で目撃されていたパウ・トーレス(ビジャレアル)のような例もあったんですけどね。ただ、彼の場合、火曜にはUEFAスーパーカップチェルシー戦(水曜午後9時/日本時間翌午前4時キックオフ)が開催されるベルファスト(北アイルランド)にチームと一緒に飛ばないといけないという特別な理由が。それこそ、昨季のリーガ終了後もEL決勝、すぐにユーロ合宿、続いてオリンピック合宿と、その間、数日ずつしか休んでいない当人が、いくら24才の働き盛りといっても、どうやって新シーズンに挑むのかはともかく、慰労会にいなかった選手はペドリ(バルサ)、ブライアン・ヒル(セビージャからトッテナムに移籍)など、7人だけ。

まあ、ユーロには行かず、オリンピックだけの参加だったマドリッド勢、レアル・マドリーのアセンシオ、足首のリハビリも必要なセバージョス(昨季はアーセナルレンタル)、どうやら、4人目のCBとして残留が決まったらしいバジェホ(同グラナダ)、そして弟分ヘタフェのククレジャらはバケーション取得済みと、そのまますぐ、クラブの活動に合流できるため、ラス・ロサスにいても何の不思議もないんですけどね。ワクチン接種は皆、していてもこの夏のプレシーズン練習中、そこここでコロナ陽性者は発覚。せっかく日本では感染者0で切り抜けたのに戻って早々、自宅隔離になり、チームに迷惑をかける選手が出ないといいのですが…。

まあ、それはそれとして、一応、ブラジルとの決勝についてもちょっと触れておくと。前半38分、GKウナイ・シモン(アスレテック)が取られたペナルティはリシャルリソン(エバートン)がPKを外してくれたため、事なきを得たスペインだったものの、41分にはダニエウ・アウベス(サン・パウロ)頭で落としたボールをクーニャ(ヘルタ・ベルリン)に決められ、うーん、この時はパウ・トーレスが珍しくミスッてしまいましたかね。先制点を奪われてしまったんですが、この日のデ・ラ・フエンテ監督は早めに対応。後半頭から、ミケル・メリノ(レアルソシエダ)とアセンシオをソレル(バレンシア)とブライアン・ヒルに代え、その甲斐あったか、16分にはソレルのクロスをオジャルサバル(レアルソシエダ)がvolea(ボレア/ボレーシュート)で決めて、同点に追いついてくれるんですから、さすがユーロ経験組じゃないですか。

とはいえ、終盤にはオスカル・ヒル(エスパニョール)とブライアン・ヒルのシュートゴールバーに弾かれるなんてこともあったものの、どちらも90分までには追加点を取れず、スペインは準々決勝コートジボワール戦、準決勝日本戦に続いて、3試合目の延長戦に突入することに。その前半は1-1のままだったため、これはブラジルに2戦連続のPK戦を強いることになるかと、ちょっと期待したんですが、ダメでした。ええ、後半3分、アントニー(アヤックス)のロングパスをバジェホがクリアできず、マルコム(ゼニト)に勝ち越しゴールを入れられてしまったから、さあ大変。再び追いつくことはなく、最後は2-1で負けてしまいましたっけ。

うーん、デ・ラ・フエンテ監督は「Ganamos la plata, no perdimos el oro/ガナモス・ラ・プラタ、ノー・ペルディモス・エル・オロ(銀メダルを勝ち取ったんだ。金メダルを失った訳じゃない)」と悔しさをあまり見せませんでしたけどね。確かに銀も2000年シドニー大会以来となれば、十分、賞賛に値しますが、不満が残るとすれば、スペインの決定力不足。コートジボワール戦でハットトリックを挙げたラファ・ミール(ウルバーバンプトンから昨季はウエスカにレンタル)も爆発したのはその試合だけでしたし、クラブが参加を許可してくれなかったボルハ・マジョラル(ローマ)、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)辺りがいたら、もっとゴールが入って、決勝トーナメントで毎試合、延長戦にもつれ込むこともなかった?

そして土曜の夕方にはオリンピックのことはすっかり忘れ、シュダッド・デポルティーバ・ブタルケに2部の弟分レガネスと、彼らを昨季の昇格プレーオフで下して、今季は3年ぶりに1部で戦うラージョのプレシーズンマッチを見に行った私だったんですが、ライブ配信で見た試合でわかってはいたものの、本当にこの時間帯はスタンド真正面から西日が照りつけて辛いんですよ。それでも丸1年、ひいきチームの試合を生で見られなかったファンがかなりの人数駆けつけて、応援も賑やかだったんですが、その日のラージョはマケドニア代表でユーロを堪能してきた正GKのディミトリエフスキがスタメンだったせいでしょうかね。昇格プレーオフには次男ルカの応援に来ていたジダン前マドリー監督の姿は見えず。

それは別にどうでもいいんですが、試合の方は前半11分にサビン・メリノゴールでレガネスが先行したものの、35分にはプレーオフ準決勝でも大活躍だったベベのクロスをイシに決められて、1-1でハーフタイムに。その日は午前中にも2部のマドリッド勢仲間、アルコルコンと試合をし、2-0で勝っていたせいか、アシエル・ガリターノ監督はほとんど選手交代をせず、柴崎岳選手もずっと出ていたんですけどね。後半もスコアは変わらず、引き分けで終わったかと思いきや、え、どうしてファンが誰も席を立たない?答えは簡単でこちら、ビジャ・デ・レガネス杯という、トロフィーありの試合だったんです。そう、先日、アトレティコが戦ったカランサ杯(カディス主催の夏の親善大会)同様、決着をPK戦でつけないといけないんですよ。

結局、マリオスアレス、トレホと成功しながら、イシとアンドレスがGKリエスゴに弾かれたラージョに対し、3人目のディエゴだけが枠外に蹴ってしまったレガネスが4-3で勝者となり、トロフィーのPepino de oro/ペペピーノ・デ・オロ(金のキュウリ)をめでたくゲット。ま、これはプレーオフのリベンジというより、2部2年目の今季こそ、昇格を果たしたい彼らが、土曜の開幕戦、シャビ・アロンソ監督率いるレアルソシエダBとの対戦に向けて勢いをつけるという意味で良かったかと。一方、この夏、第3のマドリッド勢2部、フエンラブラダから移籍したエヌテカがこの試合でネンザしてしまったラージョは待望の1部開幕戦を日曜午後10時15分から、サンチェス・ピスファンでのセビージャ戦で迎えることになります。

そうそう、同じ頃、レガネスのお隣さん、ヘタフェもイギリスブライトン戦をプレーしていたんですが、彼らはカバコとティモルのゴールで0-2と完勝。これでプレシーズンマッチ6試合、PK戦で勝ったサラゴサ(2部)戦も含め、全て白星なのは心強いっちゃあないんですが、実は開幕戦のトップバッターを務めるのがヘタフェなんですよ。ええ、金曜午後10時から、メスタジャでバレンシア戦なんですが、やはり見どころは昨季まで5シーズン、ヘタフェを率い、第1期のミチェル監督同様、EL出場も果たしているボルダラス監督との再会かと。アランバリやジェネ、ククレジャといった辺りは是非とも成長させてもらった恩返しをしたいと考えているはずですが、一体、どんな結果になるのやら。

え、それで日曜はマドリッドの兄貴分たちのプレシーズンマッチが続いたんだろうって?その通りで、先にキックオフとなったのはアトレティコだったんですが、ロッテルダムでのフェイエノールト戦が意表を突く展開になってねえ。いえ、とうとうスタメンのカンテラーノ(アトレティコBの選手)がシメオネ監督の三男、ジュリアーノだけになったチームが前半18分、敵のCKからパスを繋がれて、最後はリンセンに先制点を取られてしまったのは仕方ないんですが、まさか、ヒメネスのシュートばかりが続いた後、39分にマラシアに倒されたカラスコがプッツンしてしまうとは!多分、彼はベルギー人でフラマン語を話すため、オランダ人選手と言葉が通じてしまうのも悪かったんでしょうが、その2人の諍いにチームメートたちが次々と駆けつけ、tangana(タンガナ/小競り合い)が始まるって、これ、ただの親善試合ですよお。

最後はシメオネ監督までピッチに出て来て、カラスコを叱っていましたが、時すでに遅しレッドカードで当人が退場となったため、せっかくリーガ1節に向けて、イロイロ試そうとしていた目論見が崩れてしまったんですが、とりあえず、この試合で今季デビューしたコケとマルコス・ジョレンテの足慣らしを前半で終了させると、後半はゴールドカップメキシコ代表で準優勝、大会MVPに輝いたエレーラが入ります。まあ、1人少ないですから、私もあまり期待はしていなかったんですが、驚かされましたねえ。コパ・アメリカアルゼンチン代表として、アトレティコで唯一、昨季のリーガ優勝と合わせて二冠を達成したコレアがジュリアーノと交代して、希望の光を与えてくれるとは。

それは37分、直前にカンテラーノのカメージョが敵GKと1対1のシュートを失敗し、今季は3部(実質5部)で戦う彼なんだから、責めてはいけないと自分に言い聞かせている間に、大きくクリアされたボールアトレティコの選手たちの頭でエリア前に戻ってきたんですが、落ちて来たところを上手くキープしたコレアが敵DFをかわしてシュート。何せ、昨季はリーガ優勝に大きく貢献して、かなり評価が上がった彼ですからね。まだルイス・スアレスが1週間しか調整していない中、この同点ゴールで今季も幸先良く始めてくれるんじゃないかと思ったんですが…。

それがロスタイム3分、フェイエノールトのカウンターを喰らって、ハプスのスルーパスから、バニスに勝ち越しゴールを奪われ、最後は2-1で負けてしまうとはツイていない。うーん、いつもなら慎重なシメオネ監督が追いついてからも妙にアグレッシブで、チームに前に出ろ、前に出ろとせっついていたのも悪かったんでしょうかね。決勝点が入ってすぐ、試合終了の笛が鳴った後も審判にオフサイドの抗議に行くわ、フェイエノールトのスロット監督にも文句を言うわと、ちょっと親善試合ではありえない光景が繰り広げられていましたが、本当に大事なのは日曜午後5時30分(日本時間翌午前0時30分)に迎えるセルタ戦。

今のところ、まだ負傷のリハビリが終わらないのは足首の手術をしたジョアンフェリックスと新加入のマルコス・パウロ(フルミネンセから移籍)、フェリペぐらいで、サビッチは先週後半からチーム練習に復帰。まだルイス・スアレスサポートするCFの獲得はできていませんが、一時あったグリーズマン(バルサ)復帰の線もメッシの退団で完全に消えてしまったようですし、これはちょっと時間がかかりますかね。何はともあれ、今季は開幕からキャパ制限はあるものの、全ての試合が有観客になるため、2節のエルチェ戦でリーガ王者の勇姿を始めて見ることになるワンダメトロポリターノのファンガッカリさせるスタートはしないでほしいものです。

そして日曜にはアトレティコの試合と30分ぐらいかぶって、お隣さんもオーストリアミラン戦をプレーしたんですが、いやあ、アザールと共にベンゼマがお留守番だったのが響きましたかね。トッテナムへのレンタル移籍から戻って来たベイルが前半40分に見せ場を作り、トナリとカラブリアに挟まれながら、ドリブルでエリアまで到達したところで転倒。これでPKをゲットしたものの、当人がGKメニャンに弾かれてしまってはいけません。彼も含め、スタメン6人が代わった後半もモドリッチエリア外からのシュートゴール枠に弾かれる場面があったものの、どちらのチームも最後まで得点できず、スコアレスドローで終わってしまったとなれば、楽しかったのは母国の英雄、ダビド・アラバ(バイエルンとの契約を満了して移籍)のレアル・マドリーデビューを見られた現地クランゲンフルトの観客だけだった?

うーん、プレシーズンマッチが他より少ない4試合だけだったアンチェロッティ監督のチームなんですが、これで成績は1勝2分け1敗。勝ったのはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で非公開だったフエンラブラダ戦だけと、どうやら今季もゴール不足は解消されていないような。もちろん、土曜にカンプ・ノウで涙ながらにお別れ会見したメッシPSGに入り、玉突きでエムバペがマドリーに来てくれるのなら、何せ、彼は今年のユーロフランス代表に戻ったベンゼマとの相性もいいですからね。9月の各国代表戦後にリオープンするサンティアゴ・ベルナベウに戻って来るファンも新シーズンに大きな期待を抱けそうですが、今のところ、まだ前向きなニュースは聞こえてこず。

ちなみにマドリーのリーガ開幕カードは土曜午後10時(日本時間翌午前5時)からのアラベス戦。恥骨炎のクロース、昨季の負傷を引きずるメンディ、コロナ感染中のオドリオソラは欠場となりますが、現在、アザールが間に合わせようとハイピッチで調整を進めているのだとか。この夏、イストラからアラベスに加入した原大智選手もプレシーズンマッチにそこそこ出ているため、そういった意味でも楽しみな試合ではありますね。



【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファンワイン生ハムチーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している

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