SKY-HIが自腹で1億円以上を出資して開催しているボーイグループ発掘オーディション企画「BMSG Audition 2021 -THE FIRST-(以下、THE FIRST)」。その動画がアップされると、総再生回数は瞬く間に2500万回を突破。さらに、オーディション課題曲リリースされると、デビュー前にもかかわらず、音楽配信サイトの上位を席巻するなど話題沸騰中。ザテレビジョンでは、主催者のSKY-HIインタビューを実施。オーディションを行う中で感じたことや、今後に向けての思いを語ってくれた。(※取材は7月下旬)

【写真】“合宿審査”に臨んだ15名の参加者とSKY-HI

「THE FIRST」は、朝の情報番組「スッキリ」(毎週月~金曜朝8:00-10:25、日本テレビ系)で放送後、「Hulu」で完全版を配信。合宿審査などを経て、現在は最終審査を放送しており、8月13日(金)にデビューメンバーを発表する予定となっている。

デビューは一つの通過点であるべき

――4月から放送・配信している「THE FIRST」ですが、反響はいかがでしょうか。

ありがたい反響をいただいています。最初に、いわゆるサバイバル的なオーディション番組というものにしたくなかったのですが、彼らのスキルの高さや人間性、未来に進んでいく意志に共感して盛り上がってくださっていることにすごい喜びと安堵を感じています。

――ボーイズの成長が目まぐるしいですが、デビューに対する意識が変わってきたと思いますか?

自分は常々、世の中に出たい、デビューしたいという思いが目標になってはいけないと思っていました。デビューは喜ばしいことだけど、それで人生が全て決まるわけではないので。何か具体的にやりたいこと、こういう人間になりたいという目標がそもそもあって、デビューは一つの通過点であるべきというか…。今回、実は募集の段階では「スッキリ」とか「Hulu」というワードは一文字も入っていないんですよ。単純に、自分たちへの信頼や期待から応募してくれている人ばかりで。なので最初から、自分と同じような考えを持っている人が多く参加してくれていました。そして特に合宿を経験したことで、より自分はどうなっていきたいのかを考えてくれるように変わっていったと思います。

――審査の中で行われた1カ月の合宿の光景を見ていると、彼らが「音楽が楽しい」と感じているシーンが増えてきましたよね。そこが他のオーディション番組と違う部分でもある気がします。

合宿で課題を出せば出すほどみんなが「音楽が楽しい」と言ってくれたのは誇りですね。“音楽を好き”という気持ちが根本にないと、自分もサポートできなくなってしまうので、そもそも今回の大事な要素にしていたのですが、それを思っている以上に感じてくれていました。いろんなオーディション番組があってプロデューサーものもありますが、自分はまだ何一つ、結果を生み出していないので同列に語ってもらう立場ではないと思っています。ただそれでも合宿を経たときのみんなの成長だったり、成長の原因を作れたというのは、強い自信ですし、誇れるなって思います。

■最終審査は卒業制作そのもの

――審査でのアドバイスの的確さも印象的でした。

話をちゃんと聞いてもらうことは難しいです。人間って、どうしても伝えたいが強くなってしまうので。特に今回は、向上させることが目標なので、どういう話し方をしたらストレートに聞いてもらって向上につなげられるんだ…と悩みました。というか、まだ模索中です。ただ、放送を見ているとやっぱりこういう言い方をした方が伝わりやすかったかなと考えることは多いです。動画の編集をしていると、この言い方でなく他の文言で彼に伝えていなかった?みたいなのが出てきて、データを全部探してもどれもちょっとニュアンスが違ったりして…というのが何回かあって。なので、1年目ということを差し引いても、自分的には及第点ですかね。

――SKY-HIさんが思い描くグループ像がある上での審査をしていたのでしょうか?

メンバーには伝えていましたが、正直なところ最終ステージの2日前までは、彼ら個人の成長しか考えていませんでした。個人にとって何がベストなのかということだけを考えて。もちろん最後は、思い描く一番理想に近い形を探し出すという作業でしたが、乱暴な言い方ですが、音楽ファーストという思いさえみんなが持っていたら、メンバー構成はどうにかなるかなってというところもあって。グループの形は本当にさまざまなので、どんな形でも組めると思っていました。なのでこれは一貫してですが、こうやったら番組が盛り上がるとかは考えておらず…。スタッフさんには相当迷惑を掛けたかな?と思います(笑)

――最終審査の空気感はいかがでしたか?

改めて合宿がいい時間だったと感じさせてもらえました。才能というのは水や肥料のやり方ですぐ開花する可能性があって、そういったものが一堂に会して芽を出していく姿はいかに美しいものなのかを伝えたかったのですが、それがきちんとできたというか…。彼らにとってもちろんデビューというのは根っこにあったと思うのですが、最終審査で全員がそろったときに、全てのパフォーマンスにおいて、自分が目立ってデビューを勝ち取りたいではなく、今までやってきたこと、自分たちができることを全力で見せるというマインドでステージに臨んでいて。何というか、最終審査というより、このメンバーでの最後のステージというか、もうちょっとカッコイイ言葉で言いたいですが(笑)、卒業制作そのものというか、それに近い形になっていました。本来のオーディション番組の最終審査ではなかなか出ない空気になっていたと思います。それができているのは本当に美しいことです。

■音楽に対して誠実であって欲しい

――合格者は年内にデビュー予定ですが、そんな彼らが未来をサバイブするために大事なことは何だと思いますか?

いっぱいあるけど、やはり音楽に対して誠実であることです。誠実であれば、共に音楽を作る仲間、それを世に届けてくれるスタッフ、それを受け取ってくれるファンの方にも誠実に向き合えると思うので。そしてそういうブレない思いを持っていると、うまくいかないことが起きたときや不安や迷い、焦りと向き合っていかなければならないときに、足が止まらないと思います。そこに関しては、「音楽が楽しい」と言った彼らはまさしくそうなので大丈夫だと思いますが。

――「THE FIRST」を見て、音楽を本格的にやりたいと感じる若い世代も増えると思います。そんな人にメッセージをお願いします。

技術を磨くことはとても大事ですが、その前に心の部分を育てることも忘れないでほしいです。何となく音楽やパフォーマンスを好きになると思いますが、それらのどういった部分をなぜ好きなのかなど、好きな気持ちを具体化してください。そして、自分にはどういう音楽の適性があるのかなど、一つ一つの好きの気持ちを分解していくことが本当に大事だと思います。自分の音楽を好きという気持ちをもっと知り向き合っていったら、技術の伸び方が絶対に変わるので。あと本当に才能がある方は、BMSGに来てほしいです。「THE FIRST」を見ていいなと思ってくれた方は100%裏切らないと思うので。「THE FIRST」はオーディション番組ではあるけど、ドキュメンタリーですから! 一緒に才能を伸ばしていけたらいいですね。

取材・文=玉置晴子

オーディションを開催するSKY-HI/※提供写真