クレイジーケンバンドを率いるミュージシャンの横山 剣さんは、レーサーの顔も持つ大のクルマ好き。楽曲には数多くの名車が登場します。剣さんワールドを彩るのはどんなクルマか、その一部を紐解きます。

クルマ好きがわくわくする名車揃い まずは国産車

クレイジーケンバンドを率いる横山 剣さんは、ミュージシャンであると同時にレーサーの顔も持つ、大のクルマ好きとして知られています。それにはご両親の影響が大きく、6才の時お父さんに連れられて見た映画『グラン・プリ』から、クルマの魅力にどっぷりとハマってしまったのだとか。

運転している時にメロディが浮かぶことが多いということもあり、クルマモチーフにした楽曲は100曲近くもあるそうで、なかには剣さん自身が愛する名車が登場する曲も。そんな横山 剣ワールドを彩る名車を紹介します(以下、曲の作詞はすべて横山 剣)。

●『ベレット1600GT(ヨコスカ仕様/CKB仕様)』のいすゞ「ベレット1600GT」

♪俺のベレット1600GT いすゞのベレット1600GT
1800GTより1600GT 唐辛子みたいな1600GT
世界は広いぞ1600GT 逆輸入しても1600GT
愛と平和の1600GT かっこいいベレット1600GT
俺のベレット1600GT いすゞのベレット1600GT

「ベレット1600GT」は、いすゞ自動車1964(昭和39)年に発売したスポーツカーで、通称「ベレG」。日本初のGT(グランツーリスモ)で、当時の日本車としては桁違いの機能性から「和製アルファロメオ」とまで称された名車です。

剣さんは幼稚園の頃、友達のお父さんが乗っていたこのクルマを見て、一目でトリコになってしまったそうです。さらにクルマ好きのお母様からは、ミュージシャンミッキー・カーチスさんが「ベレG」でレースに出ていると教わり、カッコよくてシビレたんだとか。そんな憧れ続けたクルマを実際に手に入れたのは23、24歳の頃だそうです。

あるインタビューで「『ベレG』はスタイル抜群!それでいてハンドリングもいい。いわば、見た目はイタリア車で乗るとイギリス車」と絶賛していますが、その惚れ込み様は、「1600GT」を連呼する歌詞からも伝わってきます。

ドイツ車にアメ車!

●『スポルトマティック』の「金のポルシェ

♪君を乗せるなら 金のポルシェがいいだろ
ポルトマティック だからイージードライヴ

ポルトマティックとは、1960年代にポルシェが開発したシステムで、シフトチェンジドライバーが行うもののクラッチは自動という、マニュアルオートマの中間的な立ち位置。2ペダルが特徴でした。だから歌詞のようにイージードライブが叶うわけですね。

『スポルトマティック』の歌詞では、「♪君を誘うならニューグランドスウィートルーム」「♪君と暮らすなら山手の丘のメゾネットのマンション」と続き、ポルシェは最高級の憧れイメージで歌われています。ちなみに剣さん自身は所有したことはないそうです。

●『GT』のフォードマスタングGT」

♪GT!GT!GT!GT!GT!GT!GT!GT!
LET'S GO GO 遊びに行こうハンサムなGTで
夏は短いから焦るよね ハートがね

1964(昭和39)年にニューヨーク万博で発表されたフォード社のマスタングは、ベビーブーマーの若者向けに売り出されたクルマでしたが、低価格ながらスポーティな外観と高性能さでターゲット以外の層をも巻き込み大ヒットとなりました。

剣さんは5才の時に本牧でアメリカ人が運転するマスタングを見かけ、子供ながらにそのデザインパワーを感じ、身体に電流が走ったそうです。

『GT』は、そんな剣さんがマスタングGTの65年式を買ったことで生まれた曲とのこと。納車後そのまま第三京浜を飛ばしながら、鼻歌で作ってしまったのだそうです。明るいサマーチューンからは、マスタングを手に入れた剣さんのウキウキ気分が伝わってきます。

そして実は、「♪俺の話を聞け」のフレーズで有名な『タイガー&ドラゴン』も、同じマスタングに乗っている時に生まれたのだそう。

トンネル抜ければ 海が見えるから
そのままドン突きの 三笠公園で

この歌詞は、まさに剣さんがマスタングトンネルを抜けた時そのままだそうです。

最後はイタ車だ!

●『血の色のスパイダー』のアルファロメオスパイダー

♪「僕は過去は振り返らない」なんて
うそぶく間もなくレトロな排気音
いろんな場面 駆け抜けて来た
血の色のスパイダー

アルファロメオの「スパイダーデュエット)」は、1966(昭和41)年に発売された2ドアのオープンカー。映画『卒業』のなかでダスティン・ホフマンが乗っていた、あの真っ赤なクルマです。剣さんも『卒業』では、スパイダーカッコよすぎてそればかり見ていたそう。

歌詞のなかでは「♪こいつ あとどれくらいで タダの鉄くずになる?」と続け、歳を重ねた姿が自分に似ていると歌いますが、そこには最後に動かなくなるまで現役でいたいという思いを込めているのだそうです。

※ ※ ※

曲のなかに登場するクルマを思い浮かべると、歌詞の世界観もより深くわかってきます。クルマに思いをはせながら、剣さんワールドにひたってみるのもいいかもしれません。

いすゞ「ベレット1600GT」。そのものズバリの曲名も。写真は最上級モデルのタイプR(画像:いすゞ)。