新型コロナ感染拡大で定期便運用から外れて以来、503日ぶりに2往復のみ成田~ホノルル線に復帰したANAの巨大機「A380」。その機内はどのような感じで、コロナ禍以前と変化はあったのでしょうか。搭乗してきました。

2020/3/27に定期便から外れ…

ANA全日空)が保有する総2階建ての超大型旅客機エアバスA380ANAではこの機に「ウミガメ」の特別塗装を施し、平時は成田~ホノルル線専用機として投入しています。愛称は「空飛ぶウミガメ」の意味をもつ「フライングホヌ」。機体のサイズももちろんのこと、塗装や投入路線に至るまで、非常にユニーク旅客機です。

2019年に華々しいデビューを飾ったANAA380フライングホヌ」。しかしここに、新型コロナウイルスの感染拡大が襲います。渡航制限などで国際線需要が落ち込んだことから、同期の2020年3月25日成田着のフライトを最後に、成田~ホノルル線の運用から外れていました。それから503日後となる2021年8月9日(月)、再度A380がこの路線に帰ってきたのです。

A380の成田~ホノルル線への投入は9日から14日(土)まで2往復で、お盆の高需要期に照準をあわせたもの。復活初便となった9日成田発のNH194便は143人が乗り込み、ハワイホノルルに向かいましたが、この機内はどのような様子だったのでしょうか。実際に乗ってきました。

8月9日成田空港ANAチェックインカウンターは、コロナ禍らしからぬ賑わいをみせています。出発は20時10分の予定で、東京五輪関係者の帰国ラッシュとも重なり、チェックイン開始は17時半から始まりました。チェックインについては、これまでの国際線よりも長い時間が必要になります。陰性証明をはじめとするコロナ関係の書類提出作業が追加されるためです。一方で、所定の手続きさえ済ませてしまえば、ホノルル到着後隔離されることなく、現地ですぐに行動を開始することができます。

いよいよ搭乗!503日で変化はあったのか

この日のANAA380は、成田空港第1ターミナル54番スポットから出発します。夜の成田空港の駐機場に、この日見送りを行ったANAスタッフたちが持つ青のサイリウムの光が灯るなか、20時半頃に出発です。旅客には、スタッフ直筆のメッセージが書かれたオリジナルステッカーも配られました。

ベルトサインが消えしばらくすると、夕食の機内食が配膳されます。メニューはシーフードドリアを中心としたメニュー。朝食は袋に入れられたマフィンスナック菓子の軽食が前日夜に配られ、それを適宜食べるスタイルです。アルコール類も頼むことができ、この点ではコロナ感染拡大前と大きな変化はないように思われます。

ただ変化は、サービス内容というより、乗客の乗り方にありそうです。1階席最後方からエコノミークラスを見ている限りでは、乗客もお酒を飲みすぎるということもなく適量を楽しんでいるようで、客室の様子も非常に静かです。エコノミークラスの利用者が少なかったということもありますが、乗客の意識の変化は、平時のホノルル行きとは大きく異なる点でもあり、将来、国際線での旅行需要が回復した際の安心感向上にも繋がりそうです。

食事を終えると消灯し数時間の仮眠をとったのち、再度明かりがつき窓の日除けを開けると、そこには青い空が広がっています。一方スマートフォンの日本時刻は深夜2時頃を示していました。ホノルルの空の玄関口、ダニエル・K・イノウエ国際空港へ到着したのは、現地時間8時40分(日本時間では午前3時40分)頃。出国時の手続きが厳重なぶん、ホノルル到着後の手続きは非常にスムーズでした。

この便の機長は、「このA380は世界最大の旅客機で、私たちはこの機に『空飛ぶウミガメ』の意味をもつ『フライングホヌ』という名前を付けました。ウミガメハワイで、幸運と長寿をもたらす海の守り神で、とても神聖な生き物とされています。『フライングホヌ』とともに、ご搭乗のお客様にたくさん幸運がもたらされることをお祈りいたします」と、機内アナウンスを実施しています。

2021年8月10日(日本時間11日)にホノルルを離陸したANAのA380(乗りものニュース編集部撮影)。