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お宮参りやお食い初め、子どもの日や七五三など、愛らしいわが子の節目に記念写真を撮る風習は日本でもおなじみだがネットで1800年代の古写真が話題になっている。
主にヴィクトリア朝に撮影されたというこれらの写真はパッと見、子どもが主役のポートレートだ。
凄く違和感を感じるのは、子供を抱いている女性の顔が黒く塗りつぶされているように見えることだ。存在しているのにまるで存在を消されたかのような加工が施されている。いったいなぜ?その謎に迫ってみよう。
これらの写真は、ビクトリア朝(1837~1901年)のころに撮影されたといわれている。
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そこに写っているのは一見赤ちゃんや幼児だけだが、実は後ろで誰かが小さな彼らを膝に乗せたり抱きとめているのがわかる。
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まるで背後霊めいた絵面だが、後ろの人はカーテンやシーツに隠れていたり、現像後に顔を塗りつぶされている。
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なぜにここまで頑なに「ここに人などいない」めいた体を貫くのか。むしろバレバレな細工や雑な加工が人目を引きまくりな気もするがその目的はなんなのだろう?
母親を無視?存在を否定してるという声も
ネットを巡るこの写真について人々はさまざまな感想を抱いている。その一部は以下のようなものだ。
・なぜわが子を抱く母親がかたくなに姿をひそめ、かろうじて写っている顔を消されてしまうんだ?・不気味すぎてひたすら怖いんだけど。
・母親を消すなんて女性蔑視では?
・子どもが死神に抱かれてるみたい。
・抱いてるのが他人とか?
・写ってるのにわざわざ塗りつぶすなんてひどすぎ。
・背後霊っぽくて気味が悪い。
・なんか陰気な写真だよな。
露光時間が長すぎた当時のカメラ。母親が椅子代わりになり撮影
現代人に不穏な印象をもたらす古写真。その謎についてはいくつかの説が上がっているが、専門家によると当時の写真技術に深く関わりがあるという。image credit:vintag
1800年代後半のポートレートは、露光時間が非常に長いダゲレオタイプという撮影方法が主流で、撮られる人はしばらく静止していなければならなかった。
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その静止時間は1838年の初期型で20~10分、以降の改良版で1~2分から数十秒程度まで短縮したといわれるが、じっとしてられず大暴れする赤ちゃんや子どものみの撮影は特に難しく、姿を隠した母親が椅子代わりになり抱っこしたり眠りそうなタイミングで撮ったりするなどの工夫が必要だった。
塗りつぶされたのはスタッフの顔。痕跡を隠すための仕様?
一方「なら変に塗りつぶす必要はないのでは?」との見方もあるが、塗りつぶしがあるこれらの写真は母親ではなくスタッフが写り込んだものだという。image credit:vintag
たとえば母親がいても撮影がうまくいかない時、必要に応じてスタッフが代わりを務めて撮影し、現像後に痕跡を塗りつぶしたと考えられている。
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あるいは子どもをあやすのに必死でブレてしまった母親の顔の可能性もある。いずれにしても当時の人はおめかしした子どもが最高に目立つ記念写真を撮りたがっていたもよう。
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なにしろカメラの黎明期、中流階級以上でなければ撮影すらできなかった時代だ。技術はもとより気の利いたスタジオなども普及しておらず、失敗写真も数多くあったに違いない。
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てことで現代のネットをにぎわすこれらの写真は、不気味で怖いポートレートというより昔のカメラ事情を伝える貴重な作品みたいだよ。
References:vintag / dailymailなど /written by D/ edited by parumo
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