3世紀以上も忘れ去られていた、スウェーデンの伝説の城「セルビー」が発見された。そこは、人間や動物の生贄、黄金が神に捧げられた古代の儀式が行われたと伝えられる場所だった。
これまで、この古代の城の存在は、歴史家や考古学者の間で噂として囁かれていた、まさに伝説の城だった。だが本当に実在していたのである。
この城は、スウェーデンの海岸から東南沖に浮かぶバルト海の島で最大の城だったと言われていた。考古学者のヤン=ヘンリック・ファルグレンは、1704年の古文書の中にこの城に関する記述を見つけ、このたび実際に城の跡を発見するに至った。
この18世紀の文書をヒントに、ファルグレンは城を探し始めた。まずは、スケデモーゼ(Skedemosse)にある干上がった湖に向かった。
ここはクインノ(Kvinno)として知られる沼地に突き出た岬のようになっている場所で、当時はエーランドと呼ばれていた。この半島で、300年以上忘れ去られていた伝説の城が発見されたのだ。
Sorby borg o Skedemosse
古代の生贄を捧げる場所に建てられた伝説の城
スケデモーゼは、スウェーデン南部における古代でもっとも重要な生贄を捧げる場所のひとつだった。紀元前400年始めから紀元12世紀まで、人々はここに集まり神へ生贄を捧げる儀式を行っていた。およそ1トンにもおよぶ人間や動物の骨が、大量の武器や黄金と共にこの場所から発見されている。
地元のスケデモーゼ博物館によると、ここから発見されたものの中でもっとも有名なものは、重さ1.3キロにもなる純金のネックレス7つなど、"スケデモーゼ・ゴールド"として知られているものだ。
博物館は、鉄器時代に利用されていた、この生贄の沼地をめぐるガイドツアーを行っているが、今度は、新たに発見された伝説の城の遺跡めぐりツアーも組み込まれるかもしれない。
古代、砦の西側は、石の防護壁で三方を囲まれていることがわかった。これはかつて城壁を守るためのものだった。城の石壁は今はまったく残っていないが、その石は、近くのブレドセットラ・ルター派教会の建造に再利用されたと考えられている。
空から見た幻の城があった場所 / image credit:Waxfilm Kastlosa Youtube
農民たちが会合し、神に祈りと生贄を捧げていた場所
古代、スケデモーゼはまだ湖で、城は三方を水に囲まれていた。城の東側を守るだけでよかったからだ。エーランド半島で最大の城だったことを考え、ファルグレンは、城壁を備えた建物の名残が見つかるのではと期待したが、なにも残っていなかった。
しかし、地中レーダーで地面を調べたところ、予想どおり、いくつかの家屋の基礎と深い井戸が見つかった。
この古代の城には人が常に住んでいたわけではなく、周辺の土地を耕していた農民たちが年に数回集まって、宴会などを行うときに使っていたようだ。
このような会合が行われたときに、人や動物、武器、黄金が神に捧げられ、作物が病気に冒されることないよう、実り豊かな収穫が得られるよう祈った。
湖の東側の岸辺で競馬の大会が行われ、勝った馬が神に生贄として捧げられたこともあったという。
城が見つかった場所の地図。湖は湿地帯になっているが、古代ではまったく違う風景で、城は三方を水に囲まれていた / image credit:Waxfilm Kastlosa Youtube
伝説の城は実在した!揺るぎない証拠
最初、この幻の城の発見はかなり懐疑的に見られたという。だが、ファルグレンが、建物内部のレーダー画像を公開したところ、スウェーデンやスカンジナビア、そして世界中の同僚から祝福されたという。今、ファルグレンの発見は本物だと実証されている。ファルグレンは、この古代の城が神聖な湖があった場所に建てられていたことに、特別な興奮を覚えるという。この遺跡は、およそ2000年前に農耕民族が人や動物を神に捧げるために使っていた特別な場所なのだ。
つまり、この古城はヨーロッパのはずれで、農耕の成功をつかさどると信じられた原始の神々のために、饗宴と祝宴を催す目的で特別に建てられたものだったと結論づけられる。
References:Lost Swedish Mythical Castle Found In Dry Lake By Clever Archaeologist | Ancient Origins / written by konohazuku / edited by parumo
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