自らが動かない植物は、様々な方法を使って種子を遠くまで運ぶ。
フタバガキ科ショレア・シアメンシスのは、種子が入った5枚羽根がの翼果をヘリコプターのプロペラのようにクルクルと回転させ、少しでも遠くまでと運んでいく。
その落下する瞬間は、神秘的でとてもうつくしいんだ。
この映像は海外のTwitterで最近話題となっていたものだが、撮影したのはタイに住み、世界中の木の実の収集や動植物の観察を続けている研究者、山東智紀(@TomokiSANDO)さん。
撮影場所はタイ東北部のナコンラチャシマ県で昨年2000年の3月に撮影されたそうだ。「ふしぎな木の実図鑑」 発刊を記念して、この動画をアップしてみる。
— Tomoki SANDO (@TomokiSANDO) November 24, 2020
図鑑のp70に掲載しているフタバガキ科のShorea siamensisの落果の様子。 pic.twitter.com/m5gInqVeoE
一部の植物は、果皮の一部が平らになり翼状に発達した果実を持つ。これは翼果(よくか)と呼ばれている。これがクルクル回転したり、滑空したりしながら種子を親木から遠くまで飛ばしていくんだ。
カエデが2つのV字型の羽を持つのに対し、動画にあるフタバガキ科のショレア・シアメンシスは、5枚もの羽根を持っているから、その回転力はさらに倍増。
雨や強風にあおられると、これらの翼果が一斉に地面に落ちてくるのだそうで、まるでヘリコプター部隊のように壮観だ。
翼の長さと種の重さは絶妙なバランスで保たれているため、このように安定して回転することができるそうだ。
翼果はホバリングするハチドリのように、回転するときに翼に発生する小さな空気の渦のおかげで、翼の上方の空気圧が下がり、翼を吸い上げており、揚力を得た種子は、風に乗って空中を長時間滞空することができるそうだ。
自然の神秘すごい!
尚、この動画を撮影した山東智紀さんは、形状が独特で不思議な生態を持つ300種の植物の種子を紹介した「ビジュアル図鑑」を発行している。こういうのが大好きな人は要チェックなのだ!
追記(2021/08/16):当初は海外のTwitterから引用し「カエデ」と紹介しましたが、引用元の動画は山東智紀さんが撮影したものであるとご本人からご連絡を受け、フタバガキ科ショレア・シアメンシスと訂正し、動画をオリジナルの物へ変更し再送させていただきます。こんな木の実がたくさん載った「ふしぎな木の実図鑑」
— Tomoki SANDO (@TomokiSANDO) November 25, 2020
気になった方は、是非、出版元の創元社さんの特設サイトをのぞいてみてね。ますます虜になると思います。https://t.co/7vOehuTH3s
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