プレミアリーグ第1節、トッテナムvsマンチェスター・シティが15日にトッテナム・ホットスパースタジアムで行われ、ホームのトッテナムが1-0で勝利した。
 
昨シーズン、近年の最低順位となる7位でリーグ戦をフィニッシュしたトッテナム。巻き返しを図る新シーズンに向けては多くの指揮官との交渉が破談に終わった末、前ウォルバーハンプトン指揮官のヌーノ監督を新指揮官に招へい。
 
プレシーズンマッチ5試合で3勝2分けの無敗とまずまずの仕上がりを見せた中、絶対的エースFWケインの引き抜き問題で因縁生まれる昨季王者相手のビッグマッチで開幕を迎えることになった。ヌーノ監督は自身の初陣に向け、直近のアーセナルとのプレシーズンマッチと全く同じ11人を起用。前線にルーカス・モウラ、ソン・フンミン、ベルフワインが並び、新戦力のGKゴッリーニ、ロメロブライアン・ヒルがベンチ入りした一方、渦中のケインはマッチフィットネスの影響によりベンチ外となった。
 
一方、チェルシーに敗れて悲願のチャンピオンズリーグ(CL)制覇こそ逃したものの、2年ぶりのリーグ制覇とEFLカップ4連覇と国内2冠を達成したシティ。リーグ連覇とビッグイヤー獲得を目指す新シーズンに向けてはユーロ、コパ・アメリカに多くの主力を派遣した影響で難しい準備期間を過ごしており、先週のコミュニティ・シールドではレスターに0-1で惜敗。グアルディオラ監督の見立て通り、我慢の序盤戦を予感させている。
 
難敵相手の今季初陣ではレスター戦から先発3人を変更。ステッフェンに代わって守護神エデルソンが復帰し、エドジー、パーマーの若手2人に代わってスターリング、今夏1億ポンドでアストン・ビラから加入した新10番グリーリッシュがスタメンに入った。また、ケガの影響でフォーデンと共に欠場が濃厚と言われていたデ・ブライネはウォーカー、ストーンズ、ガブリエウ・ジェズスらと共にベンチ入りを果たした。
 
満員のトッテナム・ホットスパースタジアムで幕を開けた一戦は共に[4-3-3]の布陣でスタート。キックオフ直後は互いに相手の出方を窺ったものの、戦前の予想通り、地力で勝るアウェイチームが押し込んでいく。
 
開始3分に注目のグリーリッシュが左インサイドハーフの位置から縦に仕掛けてボックス手前の好位置でFKを獲得。ギュンドアンの直接FKは壁に阻まれるが、直後の左CKではGKロリスの飛び出しの判断ミスからフェルナンジーニョが際どいヘディングシュートを放つ。さらに、直後の6分にはスルスルとボックス内に上がってきたカンセロが相手の短いクリアを拾って枠のわずか左に外れるシュートを放った。
 
一連の攻防を経て引いて守るトッテナム、圧倒的にボールを保持して押し込むシティという構図が明確にできあがる。徹底的に中央を締めてまずは危険なスペースを埋め相手の外回りの攻撃を撥ね返すホームチームに対して、アウェイチームはグリーリッシュやスターリング、マフレズといった個的優位をもたらす選手の仕掛けでサイドからの打開を図る。
 
自陣深くに押し込まれながらも身体を張った守備で耐えるトッテナムは、スターリング、メンディと比較的守備に甘さが見える相手の左サイドを起点に局面を打開。21分にはホイビュルクの縦への持ち上がりからボックス手前左でパスを受けたベルフワインが良い形でフィニッシュに持ち込む。さらに、24分にはソン・フンミンのFKの流れからボックス右でルーズボールに反応したルーカスがゴール右隅を狙ったシュートを放つが、これはギュンドアンのゴールカバーに阻まれた。
 
前半半ばから終盤にかけてはトッテナムが良い守備からのスムーズなトランジションを生かした狙い通りのカウンターからよりフィニッシュの回数を増やしていく。40分には自陣深くでのホイビュルクのボール奪取からルーカスにボールが繋がり、前線でミドルパスを受けたソン・フンミンがペナルティアーク付近からカットインして右足を振り抜く。だが、DFカンセロのでん部に当たってコースが変わったシュートはわずかに枠の右へ外れた。
 
ハーフタイムにかけても両者はボックス付近で際どい場面を作り出したが、互いに守備陣の集中した対応を上回るまでには至らず。枠内シュート0でのゴールレスで試合を折り返すことになった。
 
数字上はほぼ互角も、より良いイメージを持って後半に入ったトッテナムは、前半同様に鋭いカウンターから相手ゴールへ迫っていく。すると55分、自陣ボックス内での空中戦を制してルーカスの絶妙なワンタッチパスに反応したベルフワインがピッチ中央をドリブルで持ち上がる。そして、ボックス手前で右を並走するソン・フンミンに繋ぐと、韓国代表FWがカットインでDFアケを一瞬外して左足を一閃。この鋭いシュートがゴール左下隅に突き刺さり、この試合初めての枠内シュートを先制点に結びつけた。
 
昨季王者相手の先制点に沸きに沸くスタジアムの後押しを受け、ホームチームがスウィングする。60分にはハーフウェイライン付近でのボール奪取からルーカスが中央をドリブルで運び、左サイドでフリーのベルフワインへラストパスを狙う。これはDFに触られて若干軌道がずれたが、逆に良い形でのシュートチャンスに。だが、GKエデルソンの絶妙な寄せに遭ったベルフワインの左足シュートは枠の左に外れた。
 
相手のシュートミスに救われて2失点目を逃れたシティだが、先制点によって集中力を増したトッテナムソリッドな守備を相手になかなかチャンスを作り出せない。流れを変えたいグアルディオラ監督は70分、スターリングを下げてジェズスを投入。ストライカーの投入で異なる攻撃のアプローチを見せる。すると、74分にはそのジェズスのスルーパスに抜け出したグリーリッシュがボックス左に持ち込んでシュートを放つが、これはGKロリスが冷静に対応する。
 
さらに、シティは79分にマフレズ、メンディを下げて切り札のデ・ブライネをジンチェンコと共に同時投入。開幕にギリギリ間に合わせた世界屈指の司令塔のチャンスメークに逆転を託した。そのデ・ブライネはすぐさま積極的にボールを引き出し正確なボールを散らして攻撃のリズムを変えると、84分にはボックス手前左でグリーリッシュからの短いパスを受けて得意の角度から強烈なミドルシュートを枠に飛ばす。だが、これはスパーズの守護神のビッグセーブに阻まれた。
 
その後、何とか逃げ切りたいトッテナムは殊勲のタンガンガ、ホイビュルクを下げてドハーティと新天地デビューのロメロを続けてピッチに送り出し、5バックでの逃げ切りを図る。そして、シティの猛攻を一丸の守備で何とか凌ぎ切ったトッテナムがこのまま1-0で試合をクローズした。
 
2011-12シーズン以降、開幕全勝を続けてきた昨季王者シティに見事な勝利を飾ったトッテナムが、ヌーノ新体制の初陣で会心の白星を手にした。一方、連覇を狙うシティはトッテナム・ホットスパースタジアムで4戦全敗と鬼門の地で今後に不安を残す黒星スタートとなった。

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