アメリカ海洋大気庁(NOAA)が、2021年7月は、7月単体で見ると、観測記録史上もっとも暑い7月だったと正式に発表した。
地面と海面をあわせた7月の温度は、20世紀平均よりも0.93度高かったそうだ。
これまで7月でもっとも暑かったのは、2016年、2019年、2020年で、これらがタイ記録で並んでいた。
しかし2021年の7月はそれらを上回ったばかりか、142年前に観測記録がつけられ始めて以来、単独でもっとも暑い月だったとのことだ。
特に暑かったのは北半球で、地表の温度は平均よりも1.54度高かった。
また同時に少なくとも5つのヒートドーム現象(高気圧がナベの蓋のように上空をおおい、暑い空気が閉じ込められる現象)が観測され、連日うだるような暑さが続いた。
アジアやヨーロッパにとってももっとも暑い7月で(前者は2010年、後者は2018年の記録を更新)、日本、トルコ、アイルランドなど各地でも記録的な暑さが観測されている。
EUの衛星画像。新しい報告書によると2021年7月は地球上で観測史上最も暑い7月となった / image credit:European Union, Copernicus Sentinel-3 imagery
イタリアでは強烈な熱波。今年は最も暑い年になる可能性が高い
こうした7月の暑さは、8月も継続するとみられており、2021年が記録史上もっとも暑い年になるだろうことを予測させるものだ。それを証明するかのように、8月11日にはイタリア、シチリア島の南部フロリディアで48.8度を観測し、世界気象機関(WMO)の検証で記録が確定すれば、ヨーロッパの記録史上最高気温となる。
これは、アフリカからの高気圧の影響で発生した熱波「ルシファー」の影響によるもので、イタリア南部では山火事が多発しており、シチリア島、カラブリア州、プーリア州で最も被害が出ている。
シシリア島ロリーディアではあまりの熱波に、カタツムリが貝殻の中で焼け死んでいるのが発見された。地面を移動中に熱が体に入り込んだとみられている。
ルシファーはこの後イタリア本土を北上する見込みで、ローマを含む各都市で気温がさらに上昇する可能性があるという。
山火事が猛威を振るうシシリア島
Wildfires blaze as Sicily records Europe's 'highest ever' temperature
山火事、洪水、台風。気候変動による自然災害
気候変動、地球温暖化の影響は、山火事の増加、台風や洪水の増加、干ばつといった形で世界各地で現れている。8月9日に国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した最新の報告書によれば、地球温暖化に人間の活動が関与していることは「明白」と述べられている。
References:It’s official: July was Earth’s hottest month on record | National Oceanic and Atmospheric Administration / AR6 Climate Change 2021: The Physical Science Basis — IPCC / written by hiroching / edited by parumo
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