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無骨な「EQG」の登場か

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

メルセデス・ベンツは、9月に開催予定のミュンヘン・モーターショーにおいて、かねてより計画していたGクラスの電動化を予告するコンセプトを発表する。

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1979年に発売以来、「ゲレンデ」などの名で広く知られるGクラスだが、EVの導入が発表されたのが2年前のこと。「最後に製造されるメルセデスはGクラスになるだろう」とも言われている。

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新型「EQG」のレンダリング    AUTOCAR

EV版Gクラスの発売は2024年を予定しており、その頃にはメルセデスのラインナップのほとんどが電動モデル(ハイブリッド含む)になっていることだろう。

ミュンヘン・モーターショーでは、GクラスがEV時代にどのように形作られていくのか、内外装のデザインプレビューとともに明らかになると期待されている。

Gクラスが42年の歴史の中で細かい進化を遂げてきたことを考えると、最大の特徴とも言える無骨な2ボックスのデザインを大きく崩すことはないと思われる。ディテールでは、他のEQモデルと同じように電動モデルであることを示すタッチが施されるだろう。

GLBベースのEQBと同様に、新形状のフロントグリルが従来のGクラスとの最大の差別化要因となるはずだ。その他、ホイールやライト、リアエンドも新デザインが採用されるだろう。そして、車名は「EQG」となると予想されている。

高いオフロード性能に期待

オフロード性能は、2020年に発表されたEQC 4×4 2(フォーバイフォー・スクエアード)コンセプトで実証されている。このコンセプトはEQCのワンオフモデルで、新しい電動オフロード車シリーズの技術的なショーケースとなっている。

開発エンジニアのユルゲン・エベルレは、「伝統的なオフロードカーには依然として大きな関心が寄せられている」とした上で、EQC 4×4 2では「EVオフロードカーの本格的なオフロード走行能力を示すことができた」と述べた。

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メルセデス・ベンツEQC 4×4 2(フォーバイフォー・スクエアード)

電動パワートレインがもたらす高いトルクと瞬時の加速は、オフロードでの走行に適している。新型EQGは、これまで多くの軍隊で使用されてきたGクラスの「どこへでも行ける」という理念に忠実であるはずだ。

メルセデスは、GLBとその兄弟車であるEQBを、家族向けのプレミアム・オフロードカーとして販売することを意図していたと考えられるが、Aクラス由来の前輪駆動のMFA2プラットフォームは、オンロードでの運用能力に明らかに偏っている。

オフロードに特化したEQGでは、新開発のEVAプラットフォームは採用されず、Gクラスのラダーフレームをベースにしている。

シャシーを改良することで、床下にリチウムイオンバッテリーを搭載するスペースを確保している。ホイールベース延長により、フラッグシップモデルのEQSに搭載されている107.8kWhのバッテリーを搭載できる可能性がある。航続距離もある程度は期待できるが、空力性能の高いセダンには及ばないだろう。

「G」の魅力は変わるのか

メルセデスはすでに「EQG 560」と「EQG 580」という名称を商標登録している。このことから、EQSと同じ523ps、87kg-mのツインモーターを搭載した上位モデルと、低出力のエントリーモデルの2種類が用意されると考えられる。

オールテレイン性能に重点を置いていることから、後輪駆動のEQG 450が登場する可能性は低いと思われる。だが、EQSに装備されているような後輪操舵システムを採用すれば、オフロード性能と街中での操作性を向上させることができるだろう。

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メルセデス・ベンツGクラス

EQGの価格は従来のGクラスより若干高くなると予想されるが、基本的な構造が近いことから、EQSとSクラスとの違いほど、差が開くことはないだろう。

インテリアでは、MBUXインフォテインメント・システムの最新版を大判のタッチスクリーンに搭載し、EV専用の表示を備えたオールデジタルのメータークラスターと組み合わせるはずだ。

Gクラスは、メルセデスの中核モデルであるAクラス、Bクラス、Cクラス、Eクラスほどの販売力はないが、重要な収益の柱であることに違いはなく、シンボルとしての役割も大きい。

2016年、Gクラスの販売台数は初めて2万台を超えた。Cクラスの42万5000台に比べれば微々たるものだが、Gクラスは定価が高く利益率も高い。2018年には、大幅に近代化された新モデルが導入されている。


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