2017年の結成以来、地元・京都を中心に全国のライヴハウスシーンで活動を続け、2020年にメジャーデビューを発表した3ピースロックバンド・Hakubiが、待望の1stアルバム『era』(イーラ)を9月8日にリリースする。不甲斐なさや劣等感を出しつつも、自分を信じて強く生きる希望の光を提示してくれる彼ららしい楽曲が揃った自身初となるアルバムだ。約2年をかけて制作したという本作は、サウンドアプローチで大きなチャレンジをした楽曲も多く、バンドを大きく成長させたことは言うまでもない。

そんな注目HakubiをOKMusicではメンバーソロインタビューにて紐解いていく。最後には『Hakubiメンバーへ10の質問!』と題したミニコーナーも用意したので、この機会にメンバーの魅力も知ってほしい!

計3回にわたって展開する同企画の第1回目は、フロントマンにして楽曲の作詞を担当する片桐(Vo&Gu)に話を訊いた。

■このふたりじゃなかったら 続けられなかったと思います

──音楽を好きになるきっかけはどんなことからでしたか? その当時によく聴いていたアーティストや楽曲がありましたら教えてください。

小学校高学年からアニメソングボーカロイドの曲に夢中になり、supercellの曲をよく歌っていました。その頃に歌う楽しさを知ったんです。

──アニメオタクであることはメディアで発信されていたので知っていましたが、ボーカロイドの楽曲も好きなんですね。バンドを組みたいと思った理由としては?

Lyu:Lyu(現:CIVILIAN)をライヴハウスに観に行ったことをきっかけにバンドを組みたいと思うようになりました。

──では、楽器を始めたきっかけは?

小学生の6年間はピアノを習っていましたが、アコースティックギターを弾いていた兄と父の影響で途中からアコギに興味を持って、中学と高校ではアコギを弾いていました。中学生の頃は夏休みの課題研究の代わりに弾き語りカバー曲を録音したものを提出していたり、一時期ドラムをやってみたくて、安いドラムセットを購入してボーカロイドの曲で“叩いてみた”をしたものを提出したりしていましたね(笑)。

──音楽が身近にあったとはいえ、なかなか珍しい課題研究の提出物ですね(笑)。その頃から人前で演奏をしていたのですか?

人前でライヴをやるようになったのは、TwitCasting弾き語りを始めた高校生の頃からです。岐阜駅で路上ライヴをしていましたし、岐南町にあるLive Space&CafeBarのSoul Dynaによく出演させていただいていました。

──路上ライヴも経験されていたんですね。そして、ライヴをやるようになってからは精力的に活動されていたと。では、Hakubiを結成されるまでの音楽活動で、特に思い出に残っているエピソードはありますか?

今思えば高校時代、学園祭で披露するために同級生4人でコピーバンドを組んでいたのがすごく青春でした。1万円のギターを直接アンプにつないで、SCANDALMONGOL800などを歌っていましたね。誰かの家に集まってバンド練習をしたり、夏には4人で地元の公民館を借りて夏合宿をしたりして。めちゃくちゃ田舎だったし、周りの家と家の間隔がかなり遠かったので、やりたい放題でしたよ(笑)。今はもうまったく覚えていないのですが、みんなで歌詞を考えてオリジナル楽曲を作っていた気がします。4人に似せたイラストを友達に頼んで描いてもらったものをアーティスト写真にして、学園祭でのライヴ開始時間を宣伝するフライヤーを作ったりもしたし、本気でバンドをやっていましたね。

──まさにバンドマンって感じの青春ですね! そんな片桐さんはヤスカワアル(Ba)さんとマツイユウキ(Dr)さんと出会いHakubiを結成するわけですが、おふたりと出会った時の第一印象はいかがでしたか?

マツイくんとは京都の大学で出会いました。入学した直後の学力測定テストで、テストが始まる直前に走って教室に入ってきた金髪マッシュの男の子がマツイくんだったんです(笑)。リュックサックキーホルダーがジャラジャラとついていて、動くたびに音がしていたのが印象的で。正直言って、“絶対、あの人とは仲良くなれないな”と思いましたね。軽音サークルの見学で同じ場所に来ていたマツイくんを見た時も“あぁ、このサークルやめたほうがいいかな…”と思ったし(笑)。でも、そのサークルで私が初めて作ったオリジナル曲「17」を弾き語りしたライヴを観て、めちゃくちゃキラキラした目をしながら“感動したわ!!”と言ってくれた時に、こんな本気で自分の曲を褒めてくれる人はいないと思って、めちゃくちゃ嬉しくて感動しました。面と向かって言われることはあまりなかったので恥ずかしかったですね。

──マツイさんの人柄が全面に出ている素晴らしいエピソードですね。ヤスカワさんはいかがでしたか?

アルくんはマツイくんが紹介してくれて音楽スタジオで出会ったんです。確か、当時はkatagiri(片桐の個人活動用名義)として作っていた曲を演奏してみるところから始めたんですけど、高校生からオリジナルバンドを組んでいたアルくんに自分の曲も、歌も、ギターも査定されているような気がして緊張しましたね。口数少なく、スラッとしているから、“ベーシストっぽいなぁ”と思っていました。

──その出会いからHakubiをスタートさせると。

自分はコミュニケーションが得意ではないくせに、人一倍頑固で面倒臭い人間なので、オリジナルバンドは一生組めないと思っていたんです。そんな自分を見つけて選んでくれたマツイくんが一緒にバンドをやりたいと言ってくれたけど、始めた当初は“続かないだろうし、どうせうまくやれない”と少し後ろ向きな気持ちでした。今もこうして続けられていることが不思議でならないのですが、続けられているのはふたりの寛容さのおかげです。このように奇跡的に続いているバンドだと思っているので、このふたりじゃなかったら始めていなかったし、続けられなかったと思います。

──バンドをしたいと思っていた片桐さんにとって、おふたりとの出会いは運命的なことだったのかもしれませんね。そんなおふたりは片桐さんから見てどんな人物でしょうか?

アルくんは自分が出会ってきた人の中でトップクラスの不思議な人です。ほぼ毎日一緒にいても、何を考えているか分からないことが多くて(笑)。あまり考えずシンプルに思ったことを言っている人なんだと、最近やっと分かりました。口数は少ないですが、やさしくて、自分の意見を持っていて、いろいろなことに詳しいです。Hakubiのブレーンはアルくんだったりします。マツイくんはメンバーの中で一番情熱的で猪突猛進かもしれません。意外と涙もろかったりするんですけど、イメージカラーをつけるなら赤色だと思っています。私のことを私以上によく知っているかもしれませんね。

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L→R マツイユウキ(Dr)、片桐(Vo&Gu)、ヤスカワアル(Ba)(okmusic UP's)