中国のポータルサイト・網易に17日、日本の政治家による靖国神社参拝問題について、日本人の思想を分析した上で冷静に対処すべきとする記事が掲載された。

 記事は、今年も8月15日前後に5人の閣僚を含む日本の一部政治家が靖国神社を参拝し、菅義偉首相は「自民党総裁」名義で玉串料を納めたと紹介。「靖国神社はもはや宗教法人の役割を失い、政治家や右翼主義者によるパフォーマンスの場になっている」との見方を示した。
 
 一方で、靖国神社の問題について考える際には、伝えられる表層的な部分のみを取り上げて「日本人はすべて右翼だ」という認識を持ってはいけないと指摘。靖国参拝の是非を巡っては、日本の世論でも意見が別れているのだと伝えている。
 
 その上で、靖国参拝の背景には「西側民主主義的思想、伝統的な儒教的思想、右翼の軍国主義的思想」という3つの大きな要素が複雑に交錯した事象なのだと分析。まず、戦後の日本が米国による占領政策によって戦前の制度を大きく転換させられ、西側の民主主義的思想による足枷をはめられる一方、天皇制の存続など徹底的な「改造」まで至らなかったために、日本の思想界に「先の戦争は東アジアの民族解放戦争だった」、「反帝国主義的戦争だった」など、戦争を正当化する考え方が生き残る結果になったと主張した。
 
 また、憲法上で日本政府の関係者が公職の身分で宗教法人の活動に参加することを禁じられており、政府関係者があくまでも「私人」として靖国参拝を行っていると説明。この点についても「西側民主主義的思想」による足枷であるとした。
 
 次に、日本は中国同様儒学が民衆の行動に大きな影響力を及ぼしており、儒教的思想によって日本の市民は先祖に祈りを捧げると同時に、恒久的な平和や二度と戦争を起こさないという意志、願いを持っていると紹介。一方で、右翼主義者らは天皇を頂点とするファシズム体制の復活を目論んでいると伝えた。
 
 記事は西側の民主主義的思想、儒教的思想、軍国主義的思想という3つの思想がぶつかり合う日本について、全てを「敵」とみなすのではなく「誰が敵で、誰が友なのか」という問題をちゃんと考えなければならないと指摘。「反中という要素だけで日本全国の民衆を見てしまっては、完全に民族主義にのぼせ上がってしまうことになる」とし、日本や日本人に対して冷静な視点を持つべきだと論じている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

日本人の「靖国参拝」について、少し冷静に考えるべきだ=中国メディア