JR東日本宇都宮線日光線向けの新型車両E131系電車がお披露目されました。房総・鹿島エリアに投入されたE131系電車と同じ形式ですが、宇都宮線日光線向けならではの変更点があります。いったいなにが違うのでしょうか。

座席はすべてロングシート

JR東日本大宮支社が2021年8月19日(木)、宇都宮運転所(栃木県宇都宮市)で宇都宮線日光線向けの新型車両E131系電車を報道陣へ公開しました。

先に房総・鹿島エリアに投入されたE131系は2両編成でしたが、宇都宮線日光線向けのE131系電車は3両編成となったのが特徴です。車体の側面の帯は、宇都宮市で復元された火焔太鼓の山車をイメージした黄色と茶色。107系電車、205系電車から継承されている日光らしいレトロ調となっています。

編成はクモハE131形+モハE131形+クハE130形で、「600番台」に区分されています。中間車のモハE131形は電動車ですが、片側の台車にはモーターや動力を車輪に伝える駆動装置を搭載していません(クハ側がDT80C台車でクモハ側がTR273D台車)。つまり、2M1Tですが実質1.5M1.5Tとなっています。

また寒冷地を走行することから、クモハE131形は屋根上にパンタグラフを2基搭載。乗務員室側のパンタグラフは架線に付着した霜や氷などを掻き取る霜取り用としても使われます。

クハE130形とモハE131形の屋根上には冷房装置とともにもうひとつ、箱状のものがあります。これは発電ブレーキ用の抵抗器を収納したものです。日光線は勾配区間があるため、電気モーターを発電機として動かすことで、止まろうとする力を大きくする回生ブレーキだけでなく、抵抗器を介する発電ブレーキも搭載しています。

車内の座席は、房総・鹿島エリアのE131系が窓と平行なロングシートと向かい合わせのボックスシートを組み合わせた構造(セミクロスシート)だったのに対し、宇都宮線日光線向けのE131系はすべてロングシートです。

各車両には車内防犯カメラを設置するとともに、非常通報装置を1両につき4ヶ所に増設してセキュリティを強化。車いすやベビーカーでの利用者向けのフリースペースも各車両に、トイレは車いす対応大型洋式トイレにするなどバリアフリー化を推進しています。

車体側面にはカメラを設置。乗務員が運転台から乗降状況を確認する機能など、ワンマン運転に対応した機器も搭載しています。

JR東日本は、この宇都宮線日光線向けE131系を3両編成15本、合計45両を新造し、宇都宮線の小山~黒磯間と日光線宇都宮~日光間で2022年春頃より営業運転を行います。これに置き換わる形で、現在使用している205系600番台は引退となることが予定されています。


※一部修正しました(8月20日9時52分)。

宇都宮運転所で公開された宇都宮線・日光線向けE131系電車(2021年8月19日、伊藤真悟撮影)。