アクション俳優として知られた千葉真一さんが、新型コロナウイルス感染症による肺炎で亡くなられた、と報じられました。

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 享年82歳。ワクチン未接種であったことが報じられています。ほかにタレントの川崎麻世氏(58)など、著名人のコロナ感染が続々と報じられており、この稿を準備しました。

 データに即してお話します。2021年7月1日日本国内で新型コロナウイルス感染症に罹患している人は公表データ(https://www.worldometers.info/coronavirus/country/japan/)によると、1万6866人とカウントされています。

 それからちょうど1か月半後の、8月16日日本国内の罹患者は16万1303人と数えられている。

 10倍。

 この夏、確認されているだけでも感染者数は10倍にカウントされており、これが十分ではないと考える傍証も出てきています。

 8月18日東京都の個人PCR検査の陽性率は23.3%(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/cards/positive-rate/)と報じられています。

 こんなに多いわけがありません。何を示しているのか?

 明らかにPCR検査が不足しているから、そもそも母数が少ないから、陽性率が高くなっている。

 保健機関がパンク状態になっているから、真の感染率も把握されていないし、データに乗ってこない感染者が、まだまだいる可能性もこの異常な数値は示しています。

 同じデータを別の見方で検討してみましょう。

 7月22日、日本全国のコロナ感染者は 3万1103人とカウントされています。この日付けは、東京オリンピックの開始前時点という意味で記しています。

 五輪前は約3万人と考えておきましょう。

 東京オリンピック終了後の8月8日感染者数は11万9943人、ざっくり12万人に増えている。

 五輪の2週間で 3万人が12万人、4倍です。

 縁起でもない四などという数字ですが、これだけの感染爆発、つまり「2倍に増える」だけで大変ですが、その2乗で4倍に増えている。

オリンピックの開催と感染爆発の間に因果関係は認められない」と言いますが、本当でしょうか?

 これは幾度も挙げるデータですが、今読んでおられる時点で修正されたはずの、首相官邸が公表するワクチン接種率推移(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html)のデータです。

 7月23日前後から 明らか接種率上昇の鈍化、平坦化が見られます。

 五輪のお祭り気分を喧伝する、一種のメディア・マインドコントロールによって、国民全体が非常事態であるという意識を明らかに持てない方向にシフトさせられた。

 その具体的な相関を示す一例と言えるでしょう。

 五輪が終わった8月8日12万人であった感染者数は1週間後の15日、終戦の日には16万人つまり3分の4倍に、さらに急ピッチで激増している。

 いま、毎日本当にまずい状態です。週末に夏休み気分で人ごみに混ざれば「お土産感染」を広げます。

お土産感染」とは、若い人が人ごみでウイルスをもらい、それを自宅や実家のおじいちゃんおばあちゃんお土産のように持ち帰ること。

 お土産によって家族が発症、重症化したり、最悪の場合を導いてしまったりする新型コロナ独特の増え方として、2020年の春先から強調されている基本的な特徴です。

 しかし、すでに十分「コロナ慣れ」してしまった日本社会では「オオカミ少年」の遠吠えのように、ほとんど説得力を持っていません。

 都会の孫が、実家の、特にワクチン未接種の祖父母などを尋ねれば、完全に望ましくない「お土産」を届ける可能性がある。

 2020年、初期の北海道で、札幌雪祭りに集まった若者が、道東など田舎の、当時はワクチンなど一切未接種だったおじいちゃんおばあちゃんにウイルスを届けてしまった例以来、一貫してこの病気が伝播する一類型をなしています。

(ちなみに、尾身茂・新型インフルエンザ等対策有識者会議会長が発言したこの「伝播」を「電波」と勘違いして、新型コロナウイルスは電波が関係すると思っていたという実例を昨日知り、私は衝撃を受けました。日本の科学リテラシーの低さは、まだただ事ではない水準にあるようです)

 どうして私が、これらオリンピックの日付を記したのか?

 千葉真一さんの「入院」が8月8日との日付を目にしたからにほかなりません。

 千葉さんは、東京オリンピックの期間中、ワクチン未接種の高齢者、いわゆる「打ち漏らし」として感染し、五輪の期間中に症状を悪化させ、閉会と同時に重症化、約10日の隔離闘病生活ののち、8月19日午後5時26分、千葉県内の病院で逝去されたと報じられています。

病状はどのように進んだか?

 報道を見るかぎり、千葉真一さんは今年の7月中はごく普通で元気、先々の予定などを闊達に話し、希望に満ちておられたようです。

 健康にも自信があったのかもしれません。ただ、新型コロナウイルス感染症ワクチンは、未接種のままであったと報じられています。

 確認は取れませんが、7月23日東京オリンピック開会の時点では、新型コロナウイルスと無関係であった可能性があるでしょう。

 ところが「7月末」に症状が出てしまった。感染経路は報じられていません。

 いわゆる「軽症・中等症」の状態で自宅療養することになった。その時期がオリンピック後半と重なり、五輪の進展と並行して肺炎の症状が悪化していった。

 東京オリンピックが閉幕する8月8日千葉さんは、酸素飽和度などの条件を満たしたのだと思いますが、病院に入院され、集中的な治療を受けられるようになったと思われます。

 そこまで在宅で症状を悪くしてから、やっと入院することができたと考えることもできるでしょう。

 千葉さんはアクションスターの草分けというだけでなく、真田広之、志穂美悦子など後進を育て、この分野の人材を育成したパイオニア、立派な人柄も伝わります。

 えてして責任感の強い男性にしばしばみられる「俺は大丈夫だから、家族が感染しないように注意して」などと、気を配っていた可能性も考えられるでしょう。

 オリンピックの期間中に「感染」→「在宅治療」→「重症化して入院」→11日の隔離闘病を経て、一昨日の報道になってしまった。

 この推移が、この秋冬、日本国内で多発する可能性があると懸念されます。

 日本人男性の平均寿命は現在 84.21歳とのこと。平均よりも早く、千葉真一のような活力に満ちたアクションスターが、病気で、この世を去ると誰が想像したでしょう?

 ほんの3週間ほど前まで全く元気だった千葉さんが、この病気の特徴である「容態の急変」で取返しのつかないことになった。

 くれぐれも、「ワクチン打ち漏らし」の高齢者は、極めてデリケートな「コロナ脆弱」の状態にあることを、日本全体が今一度肝に銘じる必要があります。

 千葉さんの訃報が鳴らしている、大きな警鐘を聴き逃してはなりません。

オリパラ「感染」はもうやめて!

 8月下旬、日本のコロナはかつて史上存在しない、一番ひどい状態になります。そこで「パラリンピック」を開催することになっている。

 原則無観客であるはずの「パラリンピック」ですが、何とその「観戦」に「自治体」や「学校」が希望した場合、児童生徒を数十万~100万人単位で動員されうるリスク、との報道(https://www.fnn.jp/articles/-/225390)を目にしました。

 あり得ません。やめた方がよい。

 一切の議論を待ちません。自治体や学校は、そんな希望は出さない方が安全です。お土産感染だけでも、死者が増えるリスクが明らかです。

 まず、小学生はワクチンを打っていません。接種の日に満12歳以上になっていないと、日本では新型コロナウイルスワクチンを接種できません(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0044.html)。

 平たく言えば中学生以上であるし、ワクチンを接種していても、抗体反応が十分でなければ、普通に感染も発症もします。

 これは「観戦」ではない。「感染」です。

 もし強行するようなら、お子さんは休ませた方が安全です。

 お子さん自身の発症もあり得ますが、もし身近に、千葉真一さんのような「打ち漏らし高齢者」など、コロナ脆弱な未感染者がいた場合、一定以上の確率で「お土産感染」させ、最悪のケースも考えられる。

 ですから、絶対に大事をとった方が、同居家族も、身の回りの人も、訪れるかもしれない親類縁者などにも明らかに安全です。

 8月下旬、日本は極力「安静」にして、すでに広がってしまったパンデミックの余波をかぶらないよう、おとなしくしているべき時期です。

 お祭り騒ぎなど、言語道断と明言せねばなりません。

 末尾に重ねて、子供時代に見た「キイハンター」以来ファンであった、男らしく快活な千葉真一さんのご冥福を、心からお祈りします。大変、残念です。

[もっと知りたい!続けてお読みください →]  医師免許持っていたら専門家、日本のコロナ対策がダメな理由

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新型コロナウイルス感染症による肺炎で亡くなった俳優の千葉真一さん(2018年6月17日撮影、写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)