鈴鹿サーキット三重県)は18日にF1日本GP(10月10日決勝予定)、19日にオートバイの鈴鹿8時間耐久ロードレース11月7日決勝予定)を中止すると2日続けて大きな発表をした。新型コロナウイルス感染拡大の影響によるもので、いずれも2年連続での開催断念となる。8耐は当初、東京五輪前の7月18日決勝で日程が組まれたが、3月の時点で11月への延期を決め、コロナが収束の方向に進むことを願っていたという。

2019年の鈴鹿8耐のスタートシーン(ホンダ提供)

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 これで日本で中止となったモータースポーツの世界選手権は、2輪ではトライアル世界選手権日本GP、モトGPの日本GP、世界耐久選手権の鈴鹿8耐の3大会。4輪ではF1日本GP、世界耐久選手権富士6時間レースの2大会。11月には愛知、岐阜の両県を舞台に世界ラリー選手権WRC)ラリージャパンが開催されるが、今のところ中止に関するアナウンスはない。

 F1については過密日程の影響も大きかった。前戦トルコGPの決勝は10月3日。F1は木曜日に記者会見などの公式スケジュールが入っており、その間はわずか3日しかない。日本では一部の要人などを除いて日本入国後は2週間の自主隔離が必要で、プロ野球でもいったん海外に出国して再入国した場合は14日間の待機期間が設けられている。

 海外から来訪するF1関係者は1000人以上。滞在期間は5日間程度ながら、防疫面の観点から一定の隔離期間がなく、大人数をそのまま入国させるのはさすがに厳しい。それに外部との厳重な遮断は、東京五輪期間中にガイドラインを破った関係者が続出した事情をみても状況は難しく、特例入国などの措置を得ることができなかったとみられている。

 鈴鹿側も周辺の一部ホテルを関係者専用にするなど、選手や運営関係者を隔離し、外部と接触させない大掛かりなバブル方式で臨むつもりだったが、9月から10月にかけてのコロナの情勢は五里霧中。F1関係者を大量に来日させることに伴う感染リスクを払拭(ふっしょく)することができなかった。

 その一方で鈴鹿8耐まで中止になったことには驚いた。サーキットを運営するモビリティランドは理由について「これまで開催に向けた準備を進めて参りましたが、国内チームと海外チームが混在しており、防疫のための活動単位(バブル)運用が困難であることや、現段階で海外関係者の日本入国が見込めない状況を受け、やむなく開催中止の決断をいたしました」とした。

2019年のF1日本GP(ホンダ提供)


 確かに鈴鹿8耐は世界耐久選手権の最終戦として予定されており、海外チーム、海外選手も参戦するが、シリーズの前戦は9月に予定されているボルドール24時間(フランス)。関係者らを早めに来日させて一定期間の自主隔離をさせることは日程的に可能だったと思う。

 エントリー台数は65。もともと海外チームよりも圧倒的に国内チームの方が多い。これはあくまで私見だが、開催を実現するために今年に限っては世界選手権から大会を外し、完全な国内レースとして開催することはできなかったか。

 鈴鹿8耐の中止発表と同時に代替レースとして10月9日チェコで8時間耐久レースが開催されることも決定された。世界耐久選手権にレギュラーエントリーする選手やチームは、そちらの大会に出場すればいいのだから、国内チーム向けの独自開催による鈴鹿8耐を今からでも検討してみてはいかがだろう。

 多くの観客が来場してコロナの感染拡大の温床になる恐れがあるのなら、土曜までは無観客にして、決勝がある日曜だけは入場者数を極力制限して有観客で実施する。来場者には現地で無料の抗原検査を受けさせ、感染防止対策を徹底させる。鈴鹿側も開催を目指して、さまざまな対策を講じていたはずだし、実際に今月22日には4輪のスーパーGTが鈴鹿で開催されたのだから、やれないことはない。

 中止の発表が相次いだことで、モータースポーツに嫌気が差すファンが出てくるのではないかと大変に危惧している。コロナの感染をこれ以上広げないことは最重要課題だが、日本政府がモータースポーツに対して冷たすぎるように感じるのは自分だけか。戦後、日本の経済が自動車産業に支えられてきたことをどうかお忘れなく。

[文/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)


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2年連続で「F1日本GP」中止決定の理由とは?