“からあげブーム”と言われるようになって、どれほどの年月が過ぎたでしょうか。いまだその勢いは衰える気配を見せず、新しい専門店も雨後の筍のように次々と誕生中。星の数ほどあるお店のなかから、これはウマい! と思えるからあげ店を見つけるのはなかなか大変です。
新規のからあげ専門店を見つけては食べまくっているカラアゲニストである筆者が導き出したのは「ムネ肉からあげの美味しいお店にハズレなし!」という経験則。パサつきやすく、味が淡白なムネ肉をしっとり旨みたっぷりのからあげに仕上げる店は、何を食べてもたいてい美味しいのです。これにもとづき、試食の際はたいてい「骨なしムネ肉」のからあげを食べてみます。
そして今年7月に東京・小岩にオープンしたばかりの『唐揚げ専門店 三とり』も、そうして見つけた一軒。ここのムネ肉からあげを食べた瞬間、その美味しさに驚き、思わず取材を申し込んでしまいました。
塩も醤油もめちゃくちゃウマい!
いただいたのは、塩ベースのモモ肉からあげと、醤油ベースのモモ肉、ムネ肉のからあげ(各3個・390円)。1個50g前後はありそうな大きなからあげです。
この3メニューのうち、最終的に筆者の一番のお気に入りになったのはモモ肉の塩からあげ。片栗粉のみの衣はサックリとしたやさしい食感です。塩ベースの味付けで、あっさりとしてはいますが、妙にコクのある味わいです。
代表の三上祥平さんによれば、「岩塩と昆布だしで味付けをしています」とのこと。なるほど! どうりで一般的な塩からあげよりも味に深みとふくらみがあります。塩はヒマラヤ系の岩塩であるピンクソルトを使っているとのこと。海水の塩よりも旨みやコクがあります。そこに昆布がいいアシストをしているのでしょう。
肉汁もしっかり閉じ込められており、噛めば噛むほど複層的な旨みが口の中でシャッフルされていくよう。最近はだしベースのからあげが増えていますが、多くはアゴだし。昆布はまだ珍しいんじゃないでしょうか。
醤油ベースのからあげのうち、ムネ肉はほっくりとした食感に仕上がっています。旨みも強く、なんと言っても肉がやわらかい。下処理の段階で肉が固くならないよう工夫しているそうです。一方、モモ肉は王道からあげの味。味付けはいずれもややあっさりめです。
「濃い味付けだと、人によっては飽きがくることもあります。あっさりめの味ならばお子さんにも喜んでもらえるのではないかと思っています」と代表の三上さんは話します。あっさり味付けのからあげですが、味変用のソースはサルサ、タルタル、スイートチリなど6種類用意されています。好みのフレーバーを見つける楽しみもありますね。筆者もいくつか試してみましたが、肉の味を邪魔せず、味変を楽しめるものばかり。
ところで店名の『三とり』。てっきり代表の三上さんのお名前から来ているものと想像していた筆者でしたが、これが大ハズレ。お店の立ち上げに関わった人が3人おり、そこから「三」という文字をイメージしたことが由来なのだそうです。
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