コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、タカノンノさんがTwitterに投稿した、「夏なので友人達で怖い話をしたけど何かがズレてる漫画」。多くの読者が共感できる恐怖を描いた作品について、タカノンノさんに創作の背景などを伺った。

【漫画を読む】ゾゾゾ…日常に潜む“ある意味怖い”怪談に背筋が凍る

夏の風物詩「ホラー」…だが何かがズレている!

真っ暗な部屋でろうそくを囲んで座る、5人の男女。“避暑之儀式「怪談祭」”と題し、それぞれが怖い話を持ち寄り順番に語っていく。

教師として働く佐久間晶は、ある昼休みの出来事を語る。普段はオタク趣味を必死に隠している佐久間だが、教室で事務仕事に没頭しすぎていたために、生徒から「攻め」「受け」というオタク用語について聞かれたところ、自然と回答してしまったという。佐久間は「それからというもの生徒からアニメ関係の質問をされることが心なしか増えた気がします」と、オタバレしてしまったかもしれない恐怖に日々怯えていることを明かし、「隠せていると思っているのは私だけなのかもしれません…」と怪談風にしめくくる。怪談祭に同席した他のメンバーからも、「カマかける子供こえー…」「もう開き直っちゃえよ」といった反応が寄せられた。

続いて高坂誠が「これは俺がクレジットカードをつくって少し経った時のことなんだが…」と、神妙な面持ちで話し始めると、「クレカ…?」「まさか…」と一同は顔の色を変える。そして高坂が「そのまさかだ」「…支払い全部リボ払いの設定になっていた」と言うと、メンバーから「ひイイイイイイ!!」という悲鳴があがり、その場は恐怖に包まれる。その後メンバーから「最初よく確認しないとダメだって…」「バカじゃねえの」といった声をかけられ、ガックリと肩を落とす高坂の姿が描かれている。

こういった身近に潜む恐怖を集めた、怪談としては少しズレているけれど“ある意味ホラー”な物語に、「いろんな意味でホラー!」「リアルすぎて怖い」「鳥肌立った」などの声が集まっており、8月27日時点で累計4.9万いいね以上を獲得している。

今回は、タカノンノさんに創作の背景などについて話を聞いた。

■同じような怪異に出遭った方も多いのではないでしょうか

――この作品はどのようにして生まれましたか?また、作品にはタカノンさんご自身の経験なども反映されているのでしょうか?

こうなったら怖い、こういう体験が怖かった、というのは誰しもあると思うのですが、私なりに普段から怖いと思っていた物事をメモして、それを棚ざらいした感じです。複数個のエピソードなので、百物語的に怖い話を持ち寄るという構成にしたら良いんじゃないかなと思って、このような形になりました。

各エピソードは、私自身の体験や、友人に聞いた話を脚色して反映しております。だから、同じような怪異に出遭った方も多いのではないでしょうか…。

――本作に登場する「怖い話」のなかで特に気に入っているエピソードがありましたらお聞かせください。

一番気に入っているのは、スマホの着信画面を見せるくだりです。「これをいきなり見せられたら絶対ビビるよな…」と思いながら描きました。実際、作品公開後に最も反応をいただいたのがこのシーンに対する恐怖の感想だったので、とても嬉しかったです。

特にスマホでマンガを読んでいた方は、スライドしたら突然画面いっぱいにこの絵が出てくるので、怖かったと思います。私も怖いです。

――本作に登場する「怖い話」のなかでタカノンノさんが一番怖いと感じるのはどのエピソードでしょうか?

リボ払いのエピソードです…。私自身は陥ったことは無いのですが、クレジットカードの登録時に誤って設定してしまうことは大いにあり得ますから。我々のすぐ近くに潜む魔です。

――Twitterでのアップ後、とても大きな反響があったかと思います。印象に残っている読者からの反響があれば教えてください。

読者さんの「自分も同じような経験ある」という具体的なコメントをそれぞれ読むのが楽しかったです。怪異への対抗策を教えてくださる方もいらっしゃいました。例えば、将棋や武道でも「攻め」の反対を「受け」と呼ぶのだそうです。これで生きていけます。

タカノンノさんによる身近な恐怖を描いた漫画が話題