2020年2月に結成されたORβIT(オルビット)は日本人4名、韓国人3名で構成されたボーイズグループ。現在はメンバーそれぞれ日本と韓国にわかれているものの、ORβITという1つのグループとして海を超えて活動している。

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昨年11月には1stアルバム「OO(オーツー)」をリリース。レコーディングとMV撮影は日本と韓国でそれぞれ行うという普段とは異なる努力が必要だったが、作詞・作曲だけでなくジャケットやグッズデザインまで、メンバー自らこだわりぬいて制作した。そんな彼らのクリエイティビティの源と、離れていてもしっかりと結ばれたメンバーの絆について話を聞いた。

■日韓離れてのレコーディングリモート・ディレクションで克服

――ORβIT結成からこれまで、日韓のメンバーが離れている状態で活動することのほうが多かったと思いますが、この1年半の音楽活動を振り返ってみてどうですか?

JUNE韓国人メンバーと会えない時間が長くなってきて、離れてて何かいいことあるかな?って考えたこともあるんですけど、離れてていいことは1つもないです。やっぱり一緒にいないとダメですね。同じ話をしていても、言い方ひとつで全然違う解釈になっちゃったりすることもあるし。特に、僕らは言語的な問題もありますしね。

TOMO:基本的に僕らのパフォーマンスや楽曲に関しては韓国で制作をしてるので、レコーディングも全員、韓国でやれたらもっとバランスも取りやすかっただろうなとは思います。レコーディング中は日本と韓国をネットでつなぎながらリーダーのHEECHOさんがずっとディレクションしてくれてたんですけど、もし一緒にいたらもっといいモノができたんじゃないかなって。

JUNEリモートでディレクションはしてくれますけど、細かい部分は伝わりづらいしね。

TOMO:やっぱり直接、表情を見て、声色を聞いてようやくわかる感情もあると思うので、それができないのが一番大変だったというか。常にずっとそんな感じでしたね。

――結成から今日までを振り返ってみて、お互い変化したことはありますか?

JUNE:慣れはしたよね。慣れはしたけど…。

TOMO:毎日ずっと一緒にいるから、お互いがどう変わったかは正直わからないかも。

JUNE:好み以外の音楽を聞くようになったことかな。いろんなデモ曲を聞いて、自分的には微妙だなと思った曲でも、他の人がよかったと言う曲はまた後で聞いてみて、よさに気づけるようになりました。影響されやすいだけかもしれないですけど(笑)。でもそうやって聞くことで、幅が広がったかもしれないですね。TOMOがR&B好きだから、僕もR&Bを聞くようになったし。

TOMO:メンバーそれぞれ音楽の好みが違うんですよね。けど、楽曲を制作する時は自分の好みの楽曲を前面に出しすぎるんじゃなくて、グループとしてどういう音楽をやれば喜んでもらえるのかを考えたり、逆にそこを気にしすぎると自分たちの音楽じゃなくなっちゃうと思うので、あんまり固執しすぎないというか、決め込みすぎない感じでやるのは意識してます。それぞれの個性というか、楽曲を歌う上での曲とかを見極める、聞き分ける能力は多分みんなそれぞれ。楽曲制作する上で話すようになったのかなと思います。だからたぶん、耳が鍛えられたのかもしれないですね。

JUNE:パート割に関してはめちゃくちゃ揉めたみたいなことはないですね。僕が知らないとこではあるのかもしれないけど(笑)。

TOMOレコーディングしてる最中にパートが変わることもありますし、歌ってみて「別の人の方が曲全体のバランスによくなる」とかも、もちろんあります。あらかじめ決めたことが全部じゃないというか、こうじゃないといけないというのがあるわけじゃないので、そこら辺はやってみようというラフな感じでレコーディングしてます。

■「同い年だから」じゃなくて、ただ単に気が合う同士

――お2人にとってのロールモデル、目標とする人はいますか?

JUNE:ZICOさんですね。ZICOさんって昔、日本に住んでたことがあるんですよ。ZICOさんが日本から韓国に戻って仲のいい友人たちとごはんを食べるという動画を見ていたら、その中の1人に見覚えあって、なんと僕のいとこがいたんですよ(笑)。しかも、ZICOさんが日本にいた時の家が、僕の家とめっちゃ近いんです。いつかお会いできたらその話をしたいですね。ラップも作詞作曲もできて、最高にカッコいいです。学びたいところが多い人ですね。

TOMO:僕がこれまで聞いてきた音楽はR&Bが多くて、海外のアーティストの曲を聞いて音楽を好きになったんですけど、彼らをロールモデルにするということは考えたことがないですね。その人たちと同じことはできないし、自分は自分だし、自分にしかできない音楽をやらなきゃ意味がないから。例えば、誰かの曲をカバーしても、その人と同じ曲にはならないというか、比べることはできないと思うんですよね。僕はR&Bが軸ではあるけど、そうじゃない楽曲も全部やりたいし、自分の声で歌った曲をみなさんに聞いてほしいと思ってるので、ロールモデルは決めてないです。

JUNE:たしかに。参考にするぐらいですね。たとえ誰かの真似をしても、完全な真似なんてできないですしね(笑)。

――お2人のグループ内でのポジションや、それぞれの強みを教えてください。

TOMO:掃除担当とかではないです(笑)。

JUNE:掃除はみんな交互にやってるよね。

TOMO:ごはんづくりも、みんな料理できるからなあ。

JUNE:意外とね(笑)。あんまりポジションとか役割がない2人だと思います。SHUNYAは飛び抜けていろいろやってるけど。

TOMO:特に、デザインとかグッズに関してはSHUNYAですね。僕らはけっこう自由にやらせてもらってます。JUNEに関しては、ラップ担当と言っちゃうとありきたりですけど、ほぼすべてのリリックを書いてます。例えば楽曲のトラックの中に当てはまるラップを書くこともありますし、楽曲全体じゃなくてラップだけを書くこともあります。どんな曲でもリリックを書く時はやっぱりJUNEですね。

JUNE:ラップは基本、元があっても僕が後から書き直してます。ラップといっても音程も一応あるので、元のラップと全然違うものになることも多いですね。自分の言葉でラップしたほうが納得もいくし、そうするとスピードや音程も元のものとは変わってきちゃうんですよ。ORβITはメンバー全員、作詞を経験しているので、そこは強みですね。TOMOの役割は、曲の話になったら発言が一番多い。こだわりが強いのもあるし。もちろん、いい意味でね(笑)。

TOMO:あと、JUNEは架け橋的な役割が多いかも。例えばデモ曲が英語の歌詞だった時に聞き取れるのはJUNEなんですよね。デモ曲とはいえ、歌詞の内容を知りたい時もあるので、みんなして「これ、なんて言ってる?」ってJUNEに頼んで歌詞を聞き取ってもらってます。

JUNE:大体ですけどね(笑)。

TOMO:あとは自分達が作詞する時に英語の歌詞を書く時も、JUNEにこれで意味が通ってるのか確かめます。韓国語もそうですけど、語学に関しては特にみんなJUNEを頼りにしてます。

JUNE:実は裏でググってるんですよ(笑)。

TOMO:僕らもググってはいるんですけどね。やっぱり確証がほしいし、知識があるのとないのとでは調べ方も違うだろうし。

JUNE:俺も、「多分これだけど本当に合ってるのかな?」ってなる時あるから!(笑)

――お2人は同学年ですが、お互いにとってどういう存在ですか?

JUNE:空気感は似てるかもしれないですね。雰囲気というか。

TOMO:温度というかね。ORβITって、メンバー全員あんまり年齢を気にしないんですよ。だから同い年だからどうこうというよりは、普通に人として気が合う同士。2人で夜中までゲームしていることも多々ありますね。

JUNETOMOに関しては普通にオモロイ人って感じです。

TOMO:僕、もともと人見知りだったんですよ。意識してやめたので、今はそこまで人見知りしなくなったんですけど。人見知りしていいことってないなと思ったので。自分の夢を叶えるためだけじゃないけど、自分で人生を前に進めるために、人見知りは克服しました。でも、最初は人見知りだったんですよ。JUNEに対してもずっと敬語だったし。

JUNE:たしかに、人見知りしていいことって何もないよね。僕ももともと人見知りだし、知らない人とプライベートで会う時は今でも自分から話しかけたりできないけど、仕事の時はお互いを早く知った方がいいと思うんですよ、だから、そこで人見知りは出さないです。

■初ファンミーティングで気づいた「自分たちの仕事は歌って届けること」

――7月3日にORβIT初のオンラインファンミーティングを開催しました。準備する過程や本番、大変だったことはありますか?

TOMO:やってる最中は着替えも準備もバタバタで、っていうのを初めて経験しましたね。今回はバンドにお願いしてアコースティック・バージョンでやらせていただいたんですけど、生の演奏というのもありますし、自分たちだけでやってるわけじゃないから、僕たちの後ろにいる方と1つになるというか、そういう気持ちで歌うことを意識しました。だから、ただ歌ってるだけという感じはなかったですね。

JUNE:バンドをバックにパフォーマンスするのは初めてだったもんね。本当は目の前にお客さんがいてくれたら、生バンドの感じもより伝わったんじゃないかと思うんですけど。それはちょっと悲しいですけど、楽しんでる自分たちをお見せできたらと思ってました。

TOMO:オンラインならではのことといえば、外音がなかったのが個人的に大変でした。オンラインだから、スタジオに音を流す必要がなかったんですよね。だから僕が歌っている時はイヤモニから聞こえてくる音を確認する感じでした。ただ、そうするとどうしてもみんなにはどう聞こえてるのか気になっちゃって…。お客さんの反応もないし、僕の耳にはこう聞こえてるけど、みんなにはどう聞こえてるんだろうっていう不安はありました。JUNEの時は外音あったよね?

JUNE:僕はリハの段階で外音を出してもらうように頼んだんだよ。外音がないとひとりでワチャワチャしているだけみたいな感じになっちゃって、音響さんにお願いしたの。でも音が大き過ぎるとダメと言われたので、ギリギリOKな大きさの音を出してもらいました。

――リーダーのHEECHOさんが「オフラインにこだわったから、このタイミングになった」と言っていましたが、オンラインとはいえファンミーティングを終えて感じたことはありましたか?

JUNE:終わってホッとしたのはありますけど、大丈夫だったかなっていう心配のほうが大きかったですね。僕たちにとって初めてのイベントだったので、うまくできてたらいいなと。みなさんからの反響は、まだ実感がないですね。有観客だったらその場で反応がわかるんですけど、それがないからわかりにくい、というのはあります。

TOMO:本当だったら直接みなさんに会って、有観客で初めてのライブをやるのが一番いいという気持ちがあったのでイベント開催が7月まで伸びてしまったんですけど、でもこの状況でやれることをやらないと、とも思ったんですよね。僕たちの仕事はみなさんに歌を届けることなので、オンラインでも何でも、やらないよりやった方が絶対にいい。それが僕たちの本質というか、本当にやるべきことじゃないかって。そしてファンミーティングでのみなさんの反応を見て、僕たちは歌うことが仕事なんだ、届けるのが仕事なんだっていうことに改めて気づかされたので、やってよかったと思いますし、後悔はないです。直接じゃなくても、僕たちの歌を聞いてもらえたことが単純に嬉しかったですね。

――今は直接ファンの前でパフォーマンスする機会が少ない状況ですが、そんな中でモチベーションや自信を保つためにしていることは?

TOMO:直接は会えないですけど、オンライン・イベントでファンのみなさんの顔を見ることはできるので、みなさんのお顔を見て、お話しして、自分たちの曲の感想をいただいて、そこで元気をもらってますね。オンライン・イベントに参加してくれるだけでも嬉しいので、どの言葉が一番嬉しかった!というよりは、その状況、環境自体が嬉しいですし、ありがたいです。当たり前のことではないので、常に感謝し続けています。それに、僕としては音楽を制作している過程もめっちゃ好きなので、音楽に関わってる時間がモチベーションでもあります。

JUNE:ありがたいことに暇ではない日々が続いているので、1日1日のスケジュールをこなしていくという感じですね。今は目の前の仕事を1個ずつ積み重ねて、仕事があることのありがたみをモチベーションにしています。

TOMO:もちろん今回の取材もその1つです。僕たちのインタビューを掲載していただけるって聞いた時はがんばってきてよかった、どこかで見てくれている人はいるんだって思える瞬間です。これからもいいものを作れるようにがんばって、また呼んでいただけるようにしたいです。

――9月25日(土)、26日(日)には初めてのオンライン・ライブ「With」の開催が予定されています。このライブでどんなところを見せたいですか?

JUNE:初めてのライブなので、これまでで一番カッコいい僕たちをお届けできたらいいなと思ってます。そのために今、練習をがんばっているので、期待していてください!

TOMO:まだ深い話まではできていないんですけど、今はこの日のために準備を進めているところです。メンバーとスタッフが一丸となって、演出や構成についても話し合っている最中です。やっぱりライブはただ音楽を聞くだけじゃなくて、目で見て耳で聞くものなので、画として面白いものを作り上げていけたらいいなと思ってて。今は毎日、頭の中でどんなライブにしようか考えるのが楽しいです。今やってることは全部、ライブの準備につながることだと思うので。

――最後に、読者にメッセージをお願いします。

TOMO:僕たちはこれまで自分たちで楽曲制作に関わったり、ここにはいないYUGOとSHUNYAが中心に振り付けた曲もあったりと、メンバーそれぞれが個性を発揮しているグループだと自負しています。もちろん音楽が僕たちの軸ではありますが、SHUNYAが手掛けたデザインも素晴らしいですし、曲だけじゃなく目で見て楽しめるMVもあって、バランスよく楽しんでいただけると思います。メンバーもそれぞれ異なる個性の持ち主だけど、不思議とまとまってるグループなんですよね。僕たちの作った音楽に、僕たち自身の気持ちが込められているので、とにかく一度でいいから曲を聞いてみてください!

JUNE:メンバーは個性豊かだしみんなマイペースだけど、自分たちで作った音楽で自分たちの今の気持ちを発信しているから、応援していて感情移入しやすいグループだと思います。僕たちはまだまだ発展途上というか、成長している段階なので、その過程を一緒に楽しんでいただきながら、みなさんと一緒に上に行けるグループになりたいと思っています。これからもっといろんなことに挑戦して、幅を広げていければいいなと思っています。

取材・文=尹秀姫/スタイリスト=奥富思誉里/ヘア&メーク=田中文恵/衣装協力=Caka、CULLNI・SHINGO KUZUNO・WYM LIDNM(Sian PR)、セイバー(ワイティーエス)、ディーゼル(ディーゼル ジャパン)、ドクターマーチン(ドクターマーチン・エアウエア ジャパン)、ナラティブ・プラトゥーン(ロジェ)、マイナス(アドナスト)

ORβITのJUNE×TOMO/ 撮影=MARCO